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なぜ体調が悪くても働き続けるか〜ある障害者の切実な事情〜


初めに 私について

私は精神障害者手帳を持っている障害者です。
人より良く出来た子だと言われた幼い時代から、落第者として周りの嘲笑い者だった学生時代まで、私はかなり障害が見つかりづらいタイプだったために、不登校や引きこもりを経てようやく成人をとうに超えた頃に診断がおり、障害者となりました。
また、診断自体1つ目のIQ検査を主に判断するウェクスラー式のみ(通称WAIS)の病院では否定され、ADOSという日本ではまだ主流ではないけれど、世界的にはゴールドスタンダードの検査を受けた2つ目の病院でようやく診断が下りました。

WAISとADOSの簡単な違いは下記から↓

そんな私の診断内容は下記のとおりです。

診断内容

・ASD=自閉症スペクトラム(ADHDの随伴性の可能性の指摘あり)
・うつ病
・社交不安障害

主な診断とは異なるが主治医も認める生きづらさ

・AC(機能不全家庭出身)
・虐待サバイバー(面前DV,性虐待,過干渉と放置のダブルバインド≒いわゆる毒親,実兄からの幼少期の暴力)とそのトラウマ症状(フラッシュバックや解離性健忘、再演)
・上記等による複雑性PTSDの可能性
・チック(特にどもり、言葉が出てこない、汚言症)
・性虐待・被害による後遺症(凍りつきなど)
・離人症
・パニック発作

・IBS(過敏性腸症候群)
・気象病
(気圧の変化で体調が崩れます)
・脊柱側弯症(背骨が曲がっており、重いものを持てません)
・(たぶん)DCD(発達性協調運動障害)

診断には至ってないが困ること、診断の上で困ること


・うつ病の症状すべて
(エネルギー、思考・判断力の低下、希死念慮、落ち込み、無気力など)による仕事・日常生活レベルの低下
・人の目を見るのが怖い、人と接することが怖い、人が怖い
・注意されると過剰に落ち込む
・慣れない場所や初めての事・場所、環境変化への過度の疲労や恐怖

気象病により気圧がおかしい時はすぐに体調が悪くなる
・文字情報のない「見ればわかるでしょう」が分からない
・人の顔を覚えるのが非常に苦手(医師よりは軽度の相貌失認の可能性とのこと)
・暑さに弱く熱中症になりやすい

体調について

正直、うつ病を患って以降は常にギリギリです。
許されるなら休職した方が良い状態です


障害者雇用は正社員より仕事が楽です。
その程度の負荷にも関わらず、上記事情により私は殆ど常に体調が悪く、終業後は何も出来ずベッドに1時間位上横たわってからでないと食事も取れない日がしばしばあります。
休日に出掛けるのも消耗するので、友人と会食することですら、あって月1回ほどが限界。

仕事のある日は何とか起きますが、休日は寝坊がデフォルトです。1日中寝ている日もあります。

なぜそれでも休まず働き続けるのか

雇用形態と給与

障害者雇用の雇用形態の殆どは非正規です。私も例に漏れず、非正規です。
体調不良で1ヶ月以上も休職しようものなら、次の更新を打ち切られるのは目に見えています。

また、障害者雇用はハッキリ言って薄給です。
先ほど、仕事は正社員より楽と書きましたし、それはそうですが、近年、障害者雇用に求められる水準が高まっている事もあり、仕事内容は一般の契約社員とほぼ変わらない事もよくあります。 
人によっては、より楽な業務をさせてもらえる例もあるようですが、私の場合はさせてしまえば出来るという理由で、仕事内容は現状、一般の契約社員とほぼ同等です。

それでも一般の契約社員よりも遥かに安く、最低賃金に毛の生えたような給与です。
収支は毎月、爪に火を灯すような暮らしでないとすぐに足が出ます。
また、私は障害年金も受給対象外とのことでもらえていません。
つまり会社からの薄給一本で、綱渡りの様に毎月を食いつないでいます。

そんな雀の涙のような月給では、暫く無職でいても何とかなるような蓄えの準備など出来ません。

原家族など周囲のサポート状況

残念ながら私は原家族のサポートは受けられませんでした。
そもそも日常生活にも支障のあるレベルのうつ病を患いながら、何故わたしが一人暮らしをしているのかと言うと、家庭環境を知っている主治医から『実家に住んでいると症状が悪化するから』と勧められたからです。
触りを知っている程度の医師にも共に住まない様に勧められる家系。
そんな家庭にサポートなど求められるはずがありません。

私の原家族の歪さの片鱗はこちらから↓

またASDのコミュニケーションの障害、ACの困った時にSOSを出せない特性が今でも続き、必要なサポートや協力を周囲に仰ぐこと、それ以前にそうした事をしてもらっても良いような深い関係性を殆ど築けません。

そのため周囲からのサポートも殆どないのが実情です。

結論

これらを踏まえると、私が倒れた時、働けなくなった時、頼りになる人は誰もいません。頼れる場所もどこもありません。

「生活保護」と思った方もいるでしょう。
しかし生活保護は審査が大変厳しい上に一度受けると抜け出すことが中々難しく、結局、社会参加可能な段階になっても求人応募した先方から断られ続け、生活保護に帰する事が多いと聞きます。
その抜け出せなさについて、障害者のグループホーム運営などをしている方が話していた時の真剣な顔を見ると、簡単に「働けないなら生活保護」ということは私には出来ません。

だから私は働き続けざるを得ないのです。
視野狭窄かもしれません。
けれど、同じ状況の方ならみんな無理を押して働く方々が多いのではないでしょうか。

それ位に、原家族や周囲(近隣住民等含む)に恵まれなかった人間には、血反吐を吐きながらでも働くしか手段がないのです。

最後に

今回は「障害者雇用」の上澄みだけでなく、その切実な事情の一つも知ってほしいと思い、個人的な事情を記事にさせていただきました。

この一個人の事情が何らかの参考になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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