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クリスマシアン vs ハロウィニスト 【短編現代ファンタジーコメディノベル】
以前書いた『クリスマシアンの逆襲』の続編です。よろしければ、こちらもどうぞ。 https://note.com/gackey_clipper/n/n11f62b42fbd2 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 秋風に乗…
My Favorite Balloons 【短編現代ファンタジーノベル】
聞いて。なんかわたし…少し前から、ちょっと変…
人の話す言葉がね、まるで漫画の吹き出しのように…見えるんだ。Speech Balloonっていうのかな、言葉がふわふわ光りながら浮かんでる。言葉の種類によって光る色にも違いがあって、事務的な言葉は無彩色。だけど親しい人と話す言葉はいろんな色が着いていて、なかでもね、ふふっ、わたしを褒めてくれた言葉は、大好きなパステルカラーなんだ。
「まひろ、その
クリスマシアン vs ハロウィニスト 【短編現代ファンタジーコメディノベル】
以前書いた『クリスマシアンの逆襲』の続編です。よろしければ、こちらもどうぞ。
https://note.com/gackey_clipper/n/n11f62b42fbd2
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秋風に乗って金木犀の香りが漂い始めた10月初め、港近くのジャズバー『clipper』に、とある男女が訪れた。
「マスター、お久しぶりです。」
「おお、元クリポリスのタクマくんと、レイコちゃん、
休暇届〜Vacation for My Life 【短編現代ファンタジーノベル】
そこは小さな無人駅のホーム。降りたのは私一人だった。いつもより柔らかな風が、優しく髪を撫でていく。ピアスも外し、ヒールの靴はスニーカーに履き替えた。スマホも圏外になっている。
私は福井郷子、27歳。大手の広告代理店で働いている。やりがいのある仕事だが、人間関係や将来の事、プライベートの事など、いろいろと思い悩む日々だった。行き詰まり、何もかも疲れた私は、全てをリセットするために旅に出たいと思
クリスマシアンの逆襲【短編現代ファンタジーコメディノベル】
「メリクリ」「メリクリ」
「メリクリ」
冷え込みが一段と厳しくなった冬の夜、ひと組のカップルが店のドアを開けると、男が立っていた。小声で囁き合ったのは合言葉だ。カップルの二人はマスクを外すと、内側に描かれた絵を男に見せた。そこにはサンタとクリスマスツリーが描かれている。
「ようこそ。さあ、中へ」
ニヤリと微笑むと、男は二人を招き入れた。さほど広くはない店内にはすでに20人ほどの男女がいた。ほ