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#小説
【短編】ピッチ・ドロップ
「では、これから撮影の方を始めさせていただきます」
ディレクターはせわしなく動くスタッフたちを横目に据えながら、これまで何度も繰り返してきた言葉を述べた。
「映像はこちらで後に編集しますから、ゆっくり思いつくままにお話しいただければと思います。雑談をするつもりで」
「はいはい。雑談のつもりで、ね」
車椅子の老人は力なく繰り返し、それを見たディレクターは撮影のスタートを命じた。
老人の
お金がないなら耳目を集めろ
SNSをがんばって運用していると、もっと年上の人たちに「なんでそんなに毎日がんばってんの?お金もらってるの?」と聞かれたりする。
まぁ、1つは楽しいからやっている。正確には楽しくなるように仕組化して、楽しみながらも自分に利益が循環して、かつそれで誰かにも利益を回せるようにしたくてやっている。
もう1つは、あけっぴろげに言えば「お金がないから」だ。
言うまでもなく、SNSは初期投資がほぼ無料に
編集者とのちょっと不思議な打ち合わせから生まれた『誰死な』、執筆裏話公開!
2017年2月2日、井上悠宇氏と編集者Yは初めて出会った。
そこからいかにして『誰も死なないミステリーを君に』が生まれていったのか——その瞬間を井上氏が綴る。
(以下、井上悠宇氏による執筆裏話)
早川書房の編集者Yさんと初めて打ち合わせをしたとき、僕が思ったのは「それ、めっちゃうどん伸びるやん」だった。神戸にある行きつけの蕎麦屋で、僕はカレーうどんを頼み、Yさんも「同じものを」と言った。