記事一覧
『日本人の心と社会の成り立ち 〜「甘えの構造」から見えること〜』【#2】
前回までの内容
第一回目はやすのさんからのエントリーで、土居健郎の著書「甘えの構造」の第一章「甘え」の着想から第二章「甘え」の世界までの内容を踏まながら、アニメ「鬼滅の刃」の社会的大ブームを解き明かしてくださいました。なぜ日本では、アベンジャーズよりも鬼滅の刃」が社会的な大ブームを起こしたのか?やすのさんの記事を読むと、ハリウッドのアベンジャーズに比べると「鬼滅の刃」には、日本人にはお馴染みの感
障害者就労支援 in カナダ西海岸
今回は、今年3月に見学をした、カナダBC州のバンクーバー国際空港にある、ペーパープレインカフェから見えること、思うことをシェアしたいと思います。このペーパープレインカフェの見学ツアーを企画された、「自閉症療育支援の~と」たんぽっぽのBlogも参考にしてくださいね。
(※参加した見学ツアーの様子もアップされています。こちらをどうぞ)
(注意)私自身メンタルヘルスに関わる人間です。障害と言っても、す
『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#4】
「世代間に紡がれる希望の光」〜ケイトの物語〜前回やすのさんの記事では、ランドル自身が、育ての親であるジャック・レベッカ、そしてランドルの産みの親であるウィリアムとローレルという4人の人生を知り、それぞれの人生を理解をしてゆく過程が描かれていました。その過程で、自分と親たちへの「許し」が起こり、それにより「不完全な存在であることこそが完全な人間性である」という自己受容という癒しをもたらしたことが書か
もっとみる『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#2】
『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の考察がスタートしました。1回目の前回は、やすのさんが、ケヴィンの人生に焦点を当てながら、関係性を通しての成熟プロセスを考察してくれています。ケヴィンの迷っていた心が、様々な出会いとその関係性によって統合へ向かうプロセスがとてもよく理解することができました。
今回は、物語の始まりとも言えるカップル、ジャックとレベッカに焦点を当て、人間性とは何かにつ
ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察~【#12】
前回のやすのさんの記事で、ハンドメイズテイルで重要な役である、ギレアド国の高官の妻・セリーナに焦点に当て、喪失感と、その喪失の「哀しみ」に対しては、その現実を見ることへの恐れやアンビバレントな気持ちの間で揺れ動く姿も書かれ、そんな彼女に訪れる変化も書かれています。そしてセリーナのように、哀しむことがでいない状態が、個人の精神にどのように現れ、またそれが人間関係や社会にどのような影響を与えるのか、個
もっとみる広告から見える社会と個人のメンタルヘルス
心理カウンセラーのゆうきです。
日本を離れ、北米に住み始めて気がつくことは沢山あるのですが、その中でカナダBC州の公共交通機関をよく使うようになってから気づいたことがあります。それは公共の場においての広告の違いです。
広告というのは、公共の場に掲載されるものであり、誰の目にも留まるもの。その社会における広告数やその内容を見るだけで、その社会にはどんなメッセージがあるのか、またその広告による個人の
海外ドラマ「THIS IS US /36歳これから」にみる家族とメンタルヘルス
(※ドラマのネタバレも含まれる記事です)
3世代にわたる家族のヒューマンドラマ
近年、毒親や親ガチャ、機能不全家族という言葉で表されるように、アメリカのみならず、日本でも様々な家族の問題があります。小さくても「家族」というのは、一つのコミュニティ。そのコミュニティには家族メンバーがいて、一人一人を見れば、そこには様々な人生があります。
人の人生には、幸せな時もあれば、もちろん傷つきや悲しみと
ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察〜【#10】
人は何を持って救われるのか?
(※ドラマのネタバレも含まれる記事です)
前回のやすのさんの記事では、「ハンドメイズテイル〜侍女の物語〜」に出てくる「召使」という役割を与えられたマーサに焦点をあて、性別役割分業や客体化が招く女性と女性の関係性、また共感から生まれる繋がりと団結について書いてくださいました。
Huluで放送されているハンドメイズテイルは、北米では2022年秋からシーズン5に入って
ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#8】
抑圧された社会構造と恋愛・セクシャリティ
前回のやすのさんのブログには、個人的にとても心が揺さぶられました。「ハンドメイズ・テイル〜侍女の物語〜」の登場人物としては欠かすことのできない、ギリアドという国を作った一人であるフレッド・ウォーターフォードを通して見える、家父長制、ジェンダー問題、また個人の強硬な行動の裏にある心の脆弱さなども見え、社会全体だけではなく、個人の内側で起こっている分離と抑圧
ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#6】
リディア叔母から見えるジェンダーとメンタルヘルス
前回の記事でやすのさんは、ハンドメイズテイル(侍女の物語)に登場する、性的マイノリティであり、ハンドメイドでもあるエミリーに焦点を当てながら、ギリアドの目指す「家族」という枠組みの中で生まれる暴力と、その世界で生きる性的マイノリティについて書いてくださいました。
ハンドメイズテイルには、デストピアで生きる様々なキャラクターが、実に生き生きを描か
わたしの身体は誰のもの? 〜ジェンダー、セクシャリティとメンタルヘルス〜
6月末、49年前に女性たちが勝ち取った中絶の権利が覆されたという、非常にショッキングなニュースが舞い込んできました。このニュースを知った私は、マーガレット・アウトウッドの原作「侍女の物語」で、2017年から始まったHuluドラマ「ハンドメイズテイル」のシーズン1のあるエピソードが思い浮かびました。
主人公のジューンが過去を振り返りながら、社会が徐々に変わってゆく様子、それでも人々は目覚めなかった
ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#4】
前回のジェンダーとメンタルヘルスでは、やすのさんが「客体化」について、様々な角度から詳しく書いてくださいました。そして「客体化」と聞いて思い出すのは、2017年にアメリカで始まったデズトピア・ドラマ「ハンドメイズテイル」です。このドラマは、1985年のマーガレット・アウトウッドのフェミニズム文学の一つとも言われる小説「侍女の物語」を原作とするもので、現在はシーズン4まで見ることができます♪
この
【最近気になったこと】いのちの電話ボランティア相談員不足について〜東京とカナダBC州のホットラインボランティアを比較して見えてきたこと〜
先日、日本にある、危機介入のホットラインとしては歴史もある「いのちの電話」の相談員不足という話を聞きました。なぜボランティアになり手がないのかな?と疑問に思ったのですが、話を聞くうちに、ボランティアを希望する人たちが少なくなってしまうのも、仕方ないのではないか?と思ってしまいました。
というのも、相談員は完全なるボランティアで成り立っているのですが、まず、その相談員になるのに1年半かかること、ま
ジェンダーとメンタルヘルスのこと【#2】
やすのさんからバトンを受け取って、引き続き、ジェンダーとメンタルヘルスについて書いていきたいと思います。
やすのさんが、『82年生まれ、キム・ジヨン』というジェンダーを扱った韓国のベストセラー小説を軸に、わたしたちに内在する社会構造の問題がいかに見えにくいのかという点をあげてくださいました。この小説は韓国のみならず、日本でもベストセラーになり話題を呼びました。ただ「キム・ジヨン」を通して描かれた