千葉とうしろう/論理的作文講座

理屈で説得する論理的な作文講座(オンライン)開催

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記事一覧

固定された記事

精霊による衝動。ロジカル・ハイの陶酔。論理的であることのメリット

教えるという喜劇。教育に伴うリスクとは 教えるという行為は、ときに他人から滑稽に見られるものです。身の丈に合わないことを教えるのは、その典型と言えるでしょう。 …

交通違反者と大剣「ドラゴンころし」。こうして論理性は鍛えられた

 論理最大の敵は感情ですね。「論理学がわかる辞典」なる本を読んでいるのですが、「論点のすり替え」の箇所を読んでいて昔の事を思い出されました。「権威論証」だの「燻…

「セロリが好きな人もいる」から抜け出せない。思想の魅力

「何の本をよく読んでいるんですか?」 と聞かれて 「思想が好きで、よく読んでるよ」 なんて答えた会話を最近したので、そのことについて書きます。  私は思想関係の本…

運動機能のピークが6歳という不安。具体的エピソードの役割について

榊原さん方に起こったエピソード。色素性乾皮症の進行  Yahooニュースで、色素性乾皮症という病気の記事を読みました。色素性乾皮症は、「2万人に1人」という難病。愛…

論理も宗教だった。『サピエンス全史』の話

世界統一と身内の平和。サピエンス全史   『サピエンス全史』が面白い。なるほど「読みだしたら止まらない」という評価も十分に頷けます。著者であるユヴァル・ノア・ハ…

神という謎とペルソナ設定。膨大なシミュレーションを出来ないがゆえに

ペルソナ設定というマーケテイング手法の不思議 「ペルソナ」というのがあります。これは「理想の顧客像」のこと。ペルソナを決めることが商品づくりをする際の基本だと以…

本部に守護られた刃牙。 神の存在証明に「説得さ(とか)れちまった」

 「守護る」というセリフがあります。これで「まもる」と読む。「刃牙道」において、本部以蔵が好んで使ったセリフ。現代に復活した剣豪・宮本武蔵と闘う理由を、本部は「…

夏油とセネカ。呪霊操術と例証。共通する強みは何か。

セネカとは。それと、神と悪の矛盾  ルキウス・アンナエウス・セネカという人物がいます。古代ローマの政治家・哲学者。彼が著した随筆「寛容について」「幸福な人生につ…

五条悟でもないのによくぞ見抜いた。だから西洋有神論は素晴らしい

 上の引用、ずいぶんと現実離れした言葉ではないでしょうか。ここに日本文化と西洋文化の違いが見えます。というのも、我々日本人(「私」でもいいけれど)は、ここまで論…

かぐや姫の蝶々は怪異の象徴か、それとも女性問題か。反証可能性がないオタキングの古典由来説

1 かぐや姫の物語  ジブリ映画『かぐや姫の物語』を見ました。私にはまだ見ていないジブリ作品がいくつかあって、『かぐや姫の物語』もそのうちの一つ。『紅の豚』や『…

200勝は運、からの、プロの体調管理。そして激励。非論理的な文章とは

 読売新聞の朝刊に非論理的な記事を見つけました。論理的な文章の反面教師として料理してみましょう。  この記事は読み手泣かせの記事になっています。というのも、論理…

花巻東が負け、佐々木麟太郎くんが第四打席の三球目にバットを振らなかったのは事実か。 論理で正確な読解などできない

 「われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか」が面白い。進化と幸せの関係についての本。  私たちは日々、幸せを追って生きています。レストランで美味しい料理…

ベリーグッドマンのダイヤモンド。 「努力は決して無駄じゃない」は本当か

 マクドナルドは居心地がいいですね。エアコンが効いていて、電源があって、ワイファイがあって、安いコーヒーがある。近所のマックは昨年に改装されてキレイ。私は本を読…

個性をなくす家族の幸せ、よい街。 結論にはそれまでのまとめを書くべし

 ベネッセコーポレーションが提供している通信教育「進研ゼミ・小学講座」、別名「チャレンジ」。これの夏休み企画「第20回 夏のチャレンジ 全国小学生『未来』をつく…

炭治郎に愛はなく、憎珀天は論理的だった。 論理と非論理を分けるもの。

 炭治郎と憎珀天の言い合いを、論理につなげて話します。先日、「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」をとおして見ました。「遊郭編」は一話配信されるごとに見ていたのですが、子ど…

藍染惣右介は「醜態」だの「常軌を逸している」だの言わない。 それは事実なのか考えなのか。 読売新聞の社説は滑稽、あるいは…

 他人からの非難は、すべてその人の個人的意見だと考えましょう。完璧に意見を排した事実描写はあり得ないからです。  言い合いで、強い言葉で相手を避難する人、います…

精霊による衝動。ロジカル・ハイの陶酔。論理的であることのメリット

精霊による衝動。ロジカル・ハイの陶酔。論理的であることのメリット

教えるという喜劇。教育に伴うリスクとは 教えるという行為は、ときに他人から滑稽に見られるものです。身の丈に合わないことを教えるのは、その典型と言えるでしょう。

 例えば、職場での教育における笑止の沙汰。新人に仕事を教えるのは、仕事を回す上で必要なこと。けれど、その職場において仕事に精通しているわけでもない、経験の浅い者が先輩風を吹かせて新人に仕事を教えようとしている光景を目にすることがあります。

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交通違反者と大剣「ドラゴンころし」。こうして論理性は鍛えられた

交通違反者と大剣「ドラゴンころし」。こうして論理性は鍛えられた

 論理最大の敵は感情ですね。「論理学がわかる辞典」なる本を読んでいるのですが、「論点のすり替え」の箇所を読んでいて昔の事を思い出されました。「権威論証」だの「燻製ニシンの虚偽」だの「人身攻撃」だの詭弁の項を読んでいると、どうにも記憶が刺激されて、感情がフツフツと湧いてきます。論理的であろうとして「論理学がわかる事典」を読んでいるのに、目に見えて刺激されるのは感情である、というおかしな話。

交通違

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「セロリが好きな人もいる」から抜け出せない。思想の魅力

「セロリが好きな人もいる」から抜け出せない。思想の魅力

「何の本をよく読んでいるんですか?」
と聞かれて
「思想が好きで、よく読んでるよ」
なんて答えた会話を最近したので、そのことについて書きます。

 私は思想関係の本をよく読みます。というのも、思想が興味深いから。どのように興味深いのかというと、無限ループのような恐怖を感じるのです。「どうあがいても出られない」とでもいうような恐怖が、私の興味を思想に向かわせます。

その車は左折したのか直進するのか

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運動機能のピークが6歳という不安。具体的エピソードの役割について

運動機能のピークが6歳という不安。具体的エピソードの役割について

榊原さん方に起こったエピソード。色素性乾皮症の進行

 Yahooニュースで、色素性乾皮症という病気の記事を読みました。色素性乾皮症は、「2万人に1人」という難病。愛知県に住む榊原妙さんは、息子の匠さん(現在16歳)が2歳の時に、匠さんが色素性乾皮症であることを医者から告げられました。この病気に罹患すると運動機能のピークは6歳頃で、そこからはできる事が減っていくのだという。当時、小学4年の匠さんに

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論理も宗教だった。『サピエンス全史』の話

論理も宗教だった。『サピエンス全史』の話

世界統一と身内の平和。サピエンス全史

  『サピエンス全史』が面白い。なるほど「読みだしたら止まらない」という評価も十分に頷けます。著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏の書き方、及び訳者の訳が上手いのでしょう。平坦な文章にも関わらず、知的興奮を味わえる。文字の羅列の中から、マーベル映画のようなアクションが脳内で映像化される。サルから人間に進化したヒトの苦悩や、領土を広げる際のローマ皇帝の高揚が想像

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神という謎とペルソナ設定。膨大なシミュレーションを出来ないがゆえに

神という謎とペルソナ設定。膨大なシミュレーションを出来ないがゆえに

ペルソナ設定というマーケテイング手法の不思議 「ペルソナ」というのがあります。これは「理想の顧客像」のこと。ペルソナを決めることが商品づくりをする際の基本だと以前、教えられたことがあります。「こういうお客様がいたらいいなあ」とか「こういうお客様なら自分の商品が力を発揮できる」「こういうお客様に商品を売りたい」という顧客像を細かに決め、それに対して商品づくりをするのです。性別、年齢、家族構成、仕事、

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本部に守護られた刃牙。 神の存在証明に「説得さ(とか)れちまった」

本部に守護られた刃牙。 神の存在証明に「説得さ(とか)れちまった」

 「守護る」というセリフがあります。これで「まもる」と読む。「刃牙道」において、本部以蔵が好んで使ったセリフ。現代に復活した剣豪・宮本武蔵と闘う理由を、本部は「仲間を守護ること」と考えたのです。

 元々、本部はバキのキャラの中では「弱い」部類でした。古参のキャラとはいえ、大した活躍の場を与えられずに生き残っているキャラ、それが本部以蔵。

 けれど、「刃牙道」において作者・板垣先生の目(気まぐれ

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夏油とセネカ。呪霊操術と例証。共通する強みは何か。

夏油とセネカ。呪霊操術と例証。共通する強みは何か。

セネカとは。それと、神と悪の矛盾

 ルキウス・アンナエウス・セネカという人物がいます。古代ローマの政治家・哲学者。彼が著した随筆「寛容について」「幸福な人生について」「人生の短さについて」などは今でも読みつがれており、西洋思想に大きな影響を与えました。

 このセネカの随筆の魅力の出どころが、呪霊操術と同じだったのです。おそらくこの強み故に、セネカは今でも読まれ続けているのでしょう。

 たとえ

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五条悟でもないのによくぞ見抜いた。だから西洋有神論は素晴らしい

五条悟でもないのによくぞ見抜いた。だから西洋有神論は素晴らしい

 上の引用、ずいぶんと現実離れした言葉ではないでしょうか。ここに日本文化と西洋文化の違いが見えます。というのも、我々日本人(「私」でもいいけれど)は、ここまで論理を信じることができないからです。

 例えば職場で部下に仕事をさせるとしたら、てっとり早く命令します。いちいち詳細を説明などせず。その方が「自分が上司だ」という高揚感があるし、職場のような組織においては命令するのが当然ですから。もしかした

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かぐや姫の蝶々は怪異の象徴か、それとも女性問題か。反証可能性がないオタキングの古典由来説

かぐや姫の蝶々は怪異の象徴か、それとも女性問題か。反証可能性がないオタキングの古典由来説

1 かぐや姫の物語

 ジブリ映画『かぐや姫の物語』を見ました。私にはまだ見ていないジブリ作品がいくつかあって、『かぐや姫の物語』もそのうちの一つ。『紅の豚』や『風立ちぬ』もまだ見ておらず、「見るのを先延ばしにしよう」「楽しみはまだ取っておこう」と思っているうちに何年もたっています。それら「まだ見ていない楽しみ」の一つを今回、封切りしたことになります。

 『かぐや姫の物語』は面白い作品でした。C

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200勝は運、からの、プロの体調管理。そして激励。非論理的な文章とは

200勝は運、からの、プロの体調管理。そして激励。非論理的な文章とは

 読売新聞の朝刊に非論理的な記事を見つけました。論理的な文章の反面教師として料理してみましょう。

 この記事は読み手泣かせの記事になっています。というのも、論理構成がなっていないからです。ただの気持ちの羅列。脈絡なく思いを並べているだけ。「山本昌」さんの知名度と経歴があるから「そんなものかな」という共感がないでもないのですが、「山本昌」さんの名前がなかったら、とても納得できるものではありません。

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花巻東が負け、佐々木麟太郎くんが第四打席の三球目にバットを振らなかったのは事実か。 論理で正確な読解などできない

花巻東が負け、佐々木麟太郎くんが第四打席の三球目にバットを振らなかったのは事実か。 論理で正確な読解などできない

 「われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか」が面白い。進化と幸せの関係についての本。

 私たちは日々、幸せを追って生きています。レストランで美味しい料理を食べるのは食べた際の幸せを得るためだし、休日を使って本を読むのは知的好奇心を満たす幸せを得るため。けれど幸せは、論理的に説明できるものではありません。どうして幸せを感じるのか、ハッキリとわかるものではないでしょう。例えば、私たちは糖分を

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ベリーグッドマンのダイヤモンド。 「努力は決して無駄じゃない」は本当か

ベリーグッドマンのダイヤモンド。 「努力は決して無駄じゃない」は本当か

 マクドナルドは居心地がいいですね。エアコンが効いていて、電源があって、ワイファイがあって、安いコーヒーがある。近所のマックは昨年に改装されてキレイ。私は本を読む、スマホを触る、パソコンで打つ、の繰り返しで時間を過ごすので、マックにいて不自由がありません。いつまでもいられます。

 で、長時間マックにいるとBGMも気になってきます。気になるのは、ベリーグッドマンなるグループの「ダイヤモンド」という

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個性をなくす家族の幸せ、よい街。 結論にはそれまでのまとめを書くべし

個性をなくす家族の幸せ、よい街。 結論にはそれまでのまとめを書くべし

 ベネッセコーポレーションが提供している通信教育「進研ゼミ・小学講座」、別名「チャレンジ」。これの夏休み企画「第20回 夏のチャレンジ 全国小学生『未来』をつくるコンクール」にケチをつける内容です。

 夏休み期間中、暇を持て余している小学生に何かしらやる気を起こさせようという意図の企画なのでしょう。商品が目を引きます。
「任天堂スイッチ」
我が家の子どもも目の色を変えて「何すればスイッチもらえる

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炭治郎に愛はなく、憎珀天は論理的だった。 論理と非論理を分けるもの。

炭治郎に愛はなく、憎珀天は論理的だった。 論理と非論理を分けるもの。

 炭治郎と憎珀天の言い合いを、論理につなげて話します。先日、「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」をとおして見ました。「遊郭編」は一話配信されるごとに見ていたのですが、子どもたちと別居するようになって(!)アニメを見る機会が少なくなりました。「刀鍛冶の里編」を見る機会を逸していたのです。「論理的」とは何でしょうか。炭治郎と憎珀天の言い合いをとおして、「論理的とは何か」を理解できる内容です。

1.水かけ論は、

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藍染惣右介は「醜態」だの「常軌を逸している」だの言わない。 それは事実なのか考えなのか。 読売新聞の社説は滑稽、あるいは狡猾だった。

藍染惣右介は「醜態」だの「常軌を逸している」だの言わない。 それは事実なのか考えなのか。 読売新聞の社説は滑稽、あるいは狡猾だった。

 他人からの非難は、すべてその人の個人的意見だと考えましょう。完璧に意見を排した事実描写はあり得ないからです。

 言い合いで、強い言葉で相手を避難する人、いますよね。
「〇〇なのは、誰が考えも分かることじゃないか」
「そんなの当たり前だろう」
「明らかに〇〇じゃん」
 自分の側の意見が、あたかも事実であるかのように言う。それでいて相手の側の意見が愚鈍で、そんな考えに至ったのがいかにも頭の悪いこと

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