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未亡人日記58●エクサンプロヴァンスにて その2
広場を四角く囲んでいるマーケットの中にある日本のブースに滞在中何回も行った私は、やはり一人旅で寂しかったんだろう。その日も私はフラフラとマーケットに向かったのだった。
そのブースの前に立っていた、赤いコートにサングラス、ボブカットの背筋の伸びた女性を「日本人だろうな」と思って見ていたら、「この前あなた忘れ物したでしょう」と日本語で話しかけられた。
「そうです」
初日にこのマーケットに来
未亡人日記57●エクサンプロヴァンスにて
悲しみはもう私の肌の中に潜り込んでなかなか出てこないようになったのに、不意に温泉のように噴き出すことがあって、それは体育館でやってきた。息子の試合を見ながら、あああ、夫はこの息子のジャパンをつけた試合をどんなに見たかったろうな、と思うと、私の目からじんわりと涙が出てきた。
息子のおかげで来れるはずもないところに、一人でやってきた。私はどこまで自分が行けるかやってみたかったのだろうか。そもそも
未亡人日記53●池袋ウエストゲートパーク
東武東上線の発車のベルは、なぜかモーツァルトの「ディベルティメント」なのである。
一緒に電車乗り込んだ、東武東上線と全く生活圏が擦り合わない再従姉妹(はとこ)は、「何でクラシックなんだろうね?」と呟いた。
多分それは池袋芸術劇場があるからだろう、と私は思った。東上線のホームからすぐの「グローバルリング」に隣接する池袋芸術劇場があるから。
クラシック音楽と池袋の組み合わせは唐突だが、もう