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2020年5月にnote開始、現在子育て中の30代メーカー社員(男)です/非常に雑な読…

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2020年5月にnote開始、現在子育て中の30代メーカー社員(男)です/非常に雑な読書感想を書きますので、サクッと読んで頂けると幸いです/読む本は雑食です/投稿のペースはワークライフバランスに依ります/真面目で誠実な性格です/作品ではなく雑感です

記事一覧

雑感96:〈悪の凡庸さ〉を問い直す

ハンナ・アーレントの著書『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』の中で本編で一度、追記も入れると二度だけ登場した<悪の凡庸さ>という言葉。 この言葉…

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2週間前
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雑感95:はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

この雑感でも紹介させていただいた『暇と退屈の倫理学』の國分 功一郎先生のスピノザ本。 スピノザの代表作である『エチカ』を阿呆にも分かるように平易に解説してくださ…

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3か月前
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雑感94:稲盛和夫最後の闘い: JAL再生にかけた経営者人生

稲盛さんが会社更生法を申請、JALを再生させ、取締役を退くまで。2010年2月1日から2013年3月31日までの1055日の物語。 物語というか、この再生劇を様々な切り口から語った…

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3か月前
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雑感93:田中角栄という生き方

1918年に生まれて1993年に亡くなられたということで、私にとっては歴史上の人物になります。 政治家としての昇り詰めるための処世術的な項は、生きている世界が違いすぎる…

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3か月前
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雑感92:GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた

GitLabハンドブックとはこちらです。 いい機会だったので、このGitLabハンドブックを結構じっくり見てみたのですが、単なる社内イントラではなく、各ページに執筆者の魂が…

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3か月前
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雑感91:あの戦争と日本人

年明け1冊目は日本の戦争史になりました。 日露戦争から太平洋戦争まで。 この半藤さんという方、大変に世間知らずな私は存じ上げなかったのですが、『日本のいちばん長い…

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4か月前
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雑感90:職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

「毎日仕事でストレスばっか…」の原因を集大成して見える化! 「“残業するな"と上司がうるさいので、帰ったことにして家で仕事している」 「残業はすべて管理職が肩代…

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5か月前
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雑感89:世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

2018年、コロナ前に出版された本です。 「心理的安全性」という言葉も、まだあまり知られていなかった時期でしょうか。 以下、いくつか私の印象に残ったところを。。。 …

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5か月前
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雑感88:プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン - 実績・省察・評価・総括 -

紹介文の通り、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を一つのプロジェクトとして評価・総括している本です。 冒頭で、著者の前職はJAXAだったと書かれており、ふむふむ日本の…

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5か月前
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雑感87:訂正する力

***** 本書と全然関係ない気もするのですが、私が入社した時の上司は、「朝令暮改」という言葉が非常に似合う(?)人でした。 朝言っていた指示と、夕方に言ってい…

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6か月前
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雑感86:ロベスピエール:世論を支配した革命家(世界史リブレット 人 61)

***** 私の高校の世界史の授業はそれはもう詰め込み式学習の権化のような代物で、人物や事件が空欄になったA3の穴埋め式プリントが大量に配られ、先生は黒板に黙々と…

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6か月前
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雑感85:始まりの木

藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ…

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6か月前
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雑感84:もういちど読む山川倫理

雑感 「倫理」という学問と私の接点と言えば、やはりそれは大学入試センター試験であり、哲学者の名前と彼/彼女のキーワード・著作物をひたすらに結び続け、暗記し続ける…

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7か月前
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雑感83:河童 他二篇

「河童」は,ある精神病患者の談話を筆録したという形で書かれたユートピア小説.ここに描かれた奇妙な河童の国は,戯画化された昭和初期の日本社会であり,また,生活に,…

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11か月前
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雑感82:さいはての彼女

脇目もふらず猛烈に働き続けてきた女性経営者が恋にも仕事にも疲れて旅に出た。信頼していた秘書が手配したチケットはは行き先違いで――? 女性と旅と再生をテーマにした、…

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11か月前
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雑感81:客観性の落とし穴

「エビデンスはあるんですか」「数字で示してもらえますか」「その意見って、客観的なものですか」 数値化が当たり前になった今、こうした考え方が世にはびこっている。そ…

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11か月前
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雑感96:〈悪の凡庸さ〉を問い直す

雑感96:〈悪の凡庸さ〉を問い直す

ハンナ・アーレントの著書『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』の中で本編で一度、追記も入れると二度だけ登場した<悪の凡庸さ>という言葉。

この言葉、というか概念の意味合いや解釈、意義について、歴史学者、思想家、哲学者の方々の意見が述べられ、交わされている本です。

この本に出会うまで私はというと、まず最初に『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』を読もうと思って買ったの

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雑感95:はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

雑感95:はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

この雑感でも紹介させていただいた『暇と退屈の倫理学』の國分 功一郎先生のスピノザ本。

スピノザの代表作である『エチカ』を阿呆にも分かるように平易に解説してくださっている本です。

なんというか、脳の底の沈殿物(固定観念?)を洗濯して、洗濯ロープで干されたような気分です。よく分かんない喩えですみません。目から鱗に近いです。

さて、まず善悪とは組み合わせであると。
「音楽」を例にとっても、時と場合

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雑感94:稲盛和夫最後の闘い: JAL再生にかけた経営者人生

雑感94:稲盛和夫最後の闘い: JAL再生にかけた経営者人生

稲盛さんが会社更生法を申請、JALを再生させ、取締役を退くまで。2010年2月1日から2013年3月31日までの1055日の物語。

物語というか、この再生劇を様々な切り口から語ったもの、という感じでしょうか。サクセスストーリーが時系列的に語られているわけではないです、この本は。生き方、アメーバ経営、対労組、人材育成などなど、章ごとに明確なテーマがある訳でもなかったと思いますが、1055日の間に起

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雑感93:田中角栄という生き方

雑感93:田中角栄という生き方

1918年に生まれて1993年に亡くなられたということで、私にとっては歴史上の人物になります。

政治家としての昇り詰めるための処世術的な項は、生きている世界が違いすぎるし、興味があるわけでもないので正直読み飛ばしてしまったのですが、サラリーマン的に響いた言葉を二つ。

一つ目は1962年、今から60年以上前に田中角栄が発した言葉。「熱き想いを持つものよ、集え」的なメッセージですが、最後の一言。こ

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雑感92:GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた

雑感92:GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた

GitLabハンドブックとはこちらです。

いい機会だったので、このGitLabハンドブックを結構じっくり見てみたのですが、単なる社内イントラではなく、各ページに執筆者の魂が乗っている感じが読んでいて面白い。結構冗長な表現もあったりする。

ちょっと言い過ぎかもしれないけれど、このハンドブックをじっくり読んでいるとオフィスで働いているような臨場感を感じられるかも。
私の職場のポータルサイトが無味無

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雑感91:あの戦争と日本人

雑感91:あの戦争と日本人

年明け1冊目は日本の戦争史になりました。
日露戦争から太平洋戦争まで。

この半藤さんという方、大変に世間知らずな私は存じ上げなかったのですが、『日本のいちばん長い日』の著者であった。随分前に読みたい本リストに積んだままであったが、こうやって別の作品を先に読むことになるとは。

実家に帰省して親の本棚をボーッと眺めていたらたまたま見つけたのが本書です。本はこういった巡り合わせがあるから面白い。

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雑感90:職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

雑感90:職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

「毎日仕事でストレスばっか…」の原因を集大成して見える化!

「“残業するな"と上司がうるさいので、帰ったことにして家で仕事している」
「残業はすべて管理職が肩代わり、管理職はいつもゲッソリ……」
「他人に構う余裕がなく、会話がなくなった」
「裁量労働制……お金にならない残業が増えただけ」
そんな職場の“あるある"な問題は、なぜ起こるのか? 原因と全体像を図解しながら、解決策を教えます。

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雑感89:世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

雑感89:世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

2018年、コロナ前に出版された本です。
「心理的安全性」という言葉も、まだあまり知られていなかった時期でしょうか。

以下、いくつか私の印象に残ったところを。。。

「目の前にいる人はいい人」と考える

これ、とても重要に思います。
私は割と警戒心が強い方で、どうも性悪説的に考えてしまうところがある。加えて、「そもそもこの人は私とは違うタイプの人だな」みたいな感じで、初対面のうちから距離を置いて

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雑感88:プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン - 実績・省察・評価・総括 -

雑感88:プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン - 実績・省察・評価・総括 -

紹介文の通り、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を一つのプロジェクトとして評価・総括している本です。

冒頭で、著者の前職はJAXAだったと書かれており、ふむふむ日本の宇宙科学の最前線(?)でプロジェクトマネジメントに触れてきた方なのだろうか、などと勝手に想像し、読み進める前から本書の構成に妙な安心感を持ってしまった感は否めなかった。

私個人の雑感としては、プロジェクトとしての定量的・定性的評価は

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雑感87:訂正する力

雑感87:訂正する力

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本書と全然関係ない気もするのですが、私が入社した時の上司は、「朝令暮改」という言葉が非常に似合う(?)人でした。

朝言っていた指示と、夕方に言っている指示が違う。
しかしながら、理不尽な印象は受けず、それなりに皆が納得するような筋書きや説明がある。

朝夕どちらの指示に従っても、大勢には影響ない。概ね同じような結論に辿り着く。

確かにこの上司は「考えがすぐ変わるよね」と言われては

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雑感86:ロベスピエール:世論を支配した革命家(世界史リブレット 人 61)

雑感86:ロベスピエール:世論を支配した革命家(世界史リブレット 人 61)

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私の高校の世界史の授業はそれはもう詰め込み式学習の権化のような代物で、人物や事件が空欄になったA3の穴埋め式プリントが大量に配られ、先生は黒板に黙々と答えを板書し続けるというものでした。

たまに歴史上の人物や事件に関して補足的な情報を話すこともあった気がしますが、如何せん板書のスピードが速く、しかも同じイタリアのことをイタリーと書いたり、ソクラテスと書いたりソークラテスと書いたりと

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雑感85:始まりの木

雑感85:始まりの木

藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は北から南へ練り歩くフィールドワークを通して、“現代日本人の失ったもの”を藤崎に問いかけてゆく。学問と旅をめぐる、不思議な冒険が、始まる。
“旅の準備をしたまえ”

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FACEBOOKで読ん

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雑感84:もういちど読む山川倫理

雑感84:もういちど読む山川倫理

雑感

「倫理」という学問と私の接点と言えば、やはりそれは大学入試センター試験であり、哲学者の名前と彼/彼女のキーワード・著作物をひたすらに結び続け、暗記し続ける一種のゲームの様相が非常に強かった。この活動そのものが面白いかつまらないかというと、面白くはない。

が、今振り返ると授業そのものは面白かった記憶がある。恐らく当時20代そこそこだった倫理の先生が、イデアの洞窟の比喩とか、アウフヘーベンと

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雑感83:河童 他二篇

雑感83:河童 他二篇

「河童」は,ある精神病患者の談話を筆録したという形で書かれたユートピア小説.ここに描かれた奇妙な河童の国は,戯画化された昭和初期の日本社会であり,また,生活に,創作に行きづまっていた作者の不安と苦悩が色濃く影を落している.脱稿後半年を経ずして,芥川は自ら命を断った.(解説=吉田精一)

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この芥川龍之介の『河童』を読んだ後に、どのようにネットサーフィンしたか覚えていないのですが、以下の

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雑感82:さいはての彼女

雑感82:さいはての彼女

脇目もふらず猛烈に働き続けてきた女性経営者が恋にも仕事にも疲れて旅に出た。信頼していた秘書が手配したチケットはは行き先違いで――? 女性と旅と再生をテーマにした、爽やかに泣ける短篇集。

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はい、都会に疲れ、仕事に疲れた女性がさまざまな理由で、時に不可抗力で旅に出る、そんな短編集です。

仕事を投げ出して、旅に出たくなりました。私にそんな度胸はありません。

さて、作中に「サイハテ」と

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雑感81:客観性の落とし穴

雑感81:客観性の落とし穴

「エビデンスはあるんですか」「数字で示してもらえますか」「その意見って、客観的なものですか」
数値化が当たり前になった今、こうした考え方が世にはびこっている。その原因を探り、失われたものを明らかにする。

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客観性のみを判断基準とすること、ある意味妄信することに警鐘を鳴らした作品。

前半は客観性にまつわる人類の歴史、後半はそれらを踏まえた上でどのように生きていくべきか、数値だけでは決

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