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雑感102:日本語と外国語

辞書を頼りに小説や文献を読んでいるだけでは,他国や他民族の理解は難しいのではないか.六色の虹,黄色い太陽,恥部としての足など,興味深い例をあげながら,国による文化の違いを語るとともに,漢字の知られざる働きに光を当てて日本語の長所をも浮き彫りにする.真の国際理解を進める上で必読の,ことばについてのユニークな考察.

amazonより

妻の実家に帰省した際にこの本が書棚にあって、読み始めたら面白く、ちょうどお盆が明ける前に読み終わりました。

何が面白かったかというと、『日本語と外国語』という主題ですが、構造主義的なメカニズムを感じ取りました。

私は日本、日本人という社会集団に属していて、知らぬ間に意識の外に置いているモノの見方や価値観がある。日本人同士で話している限り、無意識に排除してしまっている物事は当然に議論になることはないし、そういう意味で日本人である限り縦横無尽に自由に物事を考えることはできない。

・・・といったようなことを以前、構造主義の書籍で読みましたが、言語もその文化圏の物事の捉え方・認知の仕方の一種の制約条件になってしまっているということかと。

文化人類学では
人類の数多い文化を、すべて価値の上で対等なものと考え、それぞれの文化に固有な神話や世界観、生活様式や価値の構造などを、相対的な枠組の中で解明することを基本的な姿勢とする文化人類学では、虹の色が民族により異なって把握されているという事実を見逃さなかった。

第2章 虹は七色か

1990年が初版で、今から30年以上昔の本ですが、全然現代社会にも通用する内容です。著者の鈴木孝夫先生のことが気になったので調べてみると、2021年に亡くなられていました。

ふとネットをサーフィンしていると、以下のようなYoutubeを発見。

お話が面白くって1時間聞いてしまいましたが、世界の文化や歴史を勉強・研究して、一周回って誇り高き日本語(日本人)を説いているように感じました。

日本(と、その周辺の一部)のことしか知らない人が日本を中心的に語るのとは違う深みがあります。あと、話が面白い。

浅く広く本を読んでいると、時に、学問と学問が想定していなかった繋がりを見せることがあり、非常に痛快です。

と言いつつ、学問も所詮は切れないものを人間が無理やり切って区分しているだけなので、当然と言えば当然か。

終わります。

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