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【餅】今週のオススメレビュー

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#コンテンツ会議 対応記事を中心にオススメしたい作品とかギアとかなんかを保存します。なるべく初心者向けだしこわくない。 不定期刊:週に1本くらいが目安です。
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#推薦図書

【日記】2月に終わらせたもの。

【日記】2月に終わらせたもの。

『十兵衛両断』至上の歴史短編集。柳生十兵衛という稀代の剣士を主題にした短編が収録されており、特に表題作の「十兵衛両断」に関しては唸るしかない。

『FROSTPUNK』心痛シミュレーター。すばらしいレベルバランスに裏打ちされた*最高に興奮する*ストーリー展開が待つ。感想レポートがいつの間にかリプレイ日記になるレベルの傑作。

『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった』コンテナリゼーショ

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《共通規格》の発明闘争『コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった』(2007年の書籍)

《共通規格》の発明闘争『コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった』(2007年の書籍)

めちゃくちゃ面白い時代小説「十兵衛両断」を中断してまで『コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった』を読み始めている。

※本レビューは2007年版です。2019年発行の増補改訂版の内容は含みません。

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった(増補改訂版)

本記事は[代わりに読んでおいて]システムで執筆されたものです。(発注主 明石さん(悪のリスト創始者)

おおまかな話にまとめ

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『世にも危険な医療の世界史』(2019年の書籍)

『世にも危険な医療の世界史』(2019年の書籍)

世間では液体のりに新しい治療の可能性が見つかったのだとか。(前にもなかったっけ?と思ったら新しいやつらしい)

ちょっと前であれば「よし、液体のりを万能治療薬と喧伝して大儲けしようとするインチキ詐欺師の小噺でも書くか!」くらいのことを考えるのだが、『世にも危険な医療の世界史』を読んだ私は一味違う。

「よし、液体のりを万能治療薬と喧伝して大儲けしようとするインチキ詐欺師の小噺でも書くか!」同じだけ

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科学的根拠に基づく迷信ほど厄介なものはない(個人の感想です)『世にも危険な医療の世界史』

科学的根拠に基づく迷信ほど厄介なものはない(個人の感想です)『世にも危険な医療の世界史』

実は昨日から(超オモシロ時代小説『十兵衛両断』を中断してまで)この本を読んでいる。

『世にも危険な医療の世界史』かつて世界に蔓延した「危険な医療」の歴史をジャンル別に紹介した大変たのしい書物である。これは親愛なるニンジャ学会代表のかせいさんからの推挙で手に取りました。

これはなに?水銀、ヒ素、金!様々な金属を飲み、塗り、摂取しながらあらゆる病魔に抗おうとした人々の冒険の日々が描かれた書籍です。

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異世界交流ファンタジー『風雲児たち』(1979年~の漫画)

異世界交流ファンタジー『風雲児たち』(1979年~の漫画)

よくきたな。最近読んでいる本を「夏の推薦図書」に推薦するよ。

『風雲児たち』みなもと太郎やがて異世界からの来訪者が訪れ滅亡することが予言された中世風世界の400年描写する大河ファンタジー作品。

特徴的なのはそのギャグのキレ。エバーグリーンな小歩危大歩危と連載当時の時事ネタが相まって古文書のような風合いを表現している。本作品自体が近代ギャグ史の歴史書であると言っても過言ではない。

序章 1~3

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アベンジャーズロスのためのKindle Unlimitedで読めるMCUアメコミガイド

アベンジャーズロスのためのKindle Unlimitedで読めるMCUアメコミガイド

どうもお望月さんです。
そろそろエンドゲーム公開から一週間くらい経ちますので、少しずつ内容に触れていこうと思います。とはいっても、ここで触れていくのは「コミック版」を中心としています。

アベンジャーズ・エンドゲーム映画本編についての記事はこちら。

ご注意(ネタバレではないが映画のネタバレになる可能性がある)MCU(マーベルシネマティックユニバース)と原作コミック群は全く異なる世界線に存在してい

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異世界嫁姑番付バトル『かんかん橋をわたって』

異世界嫁姑番付バトル『かんかん橋をわたって』

『かんかん橋をわたって』という異世界日本の某地域を舞台にした「嫁姑番付」を扱う群像劇が非常に面白かったので紹介します。(私はKindle Unlimited 1-8巻まで読みました)

完結の9巻10巻へ進む前に一度整理をしておこうと思います。
なお、読むつもりがあるなら「先の読めない展開」を味わうために、読んできてから戻ってくることをオススメします。

これまでのあらすじ「あなた4位よ」渋沢家に

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エンタメSF「あなたの人生の物語」(2003年の短編小説集)

エンタメSF「あなたの人生の物語」(2003年の短編小説集)

テッド・チャン「あなたの人生の物語」を読みました。
短編のそれぞれが、エグいほどの切れ味を持った作品ながら、たのしい!たのしい!という読後感に包まれるという稀有な体験でした。

なお、現在Kindle版が 60%引きくらいで購入できる。(2/26時点)
「あなたの人生の物語」

それぞれがとても面白い短編であり、SF考証とエモーショナルな部分が高度に融合したエンタメであり、頭がゆだってしまうほど難

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『幻想再帰のアリュージョニスト』の第一話から第三話を振り返る。(第一章再読)

『幻想再帰のアリュージョニスト』の第一話から第三話を振り返る。(第一章再読)

よく来たな。お望月さんだよ。
先日、第二章完結まで読み進めた『幻想再帰のアリュージョニスト』の再読をしてみる。これまで意味不明だった描写が高解像度で読み取れるようになるはずだ。

この記事は「おまえならやれる」とおだてられたお望月さんが「ジャンル知識皆無で挑戦」「何を読んでも胡乱に感想出力する」という前提で高い山を登ろうとする感想まとめです。

再読してみて全体的に描写が丁寧。初読の時にもたもたし

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『幻想再帰のアリュージョニスト』を第28話まで読んだよ(第二章完結)

『幻想再帰のアリュージョニスト』を第28話まで読んだよ(第二章完結)

(前回まで)
『幻想再帰のアリュージョニスト』というWeb小説を読み始めた。読み応えとしては「霧に包まれた山」であり、少しずつ手探りでとっかかりを見つけて読み始めるという苦行を強いられることになった。

(これまでのあらすじ)
日本から迷宮都市へ転生したシナモリアキラ(ハンドルネーム)は、言葉が通じず意思疎通のできない迷宮都市で暴力に明け暮れていた。下心で彼に接近した氷血の魔女コルセスカと鮮血の魔

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「幻想再帰のアリュージョニスト」という山を登りはじめた。

「幻想再帰のアリュージョニスト」という山を登りはじめた。

高い山を登っている。頂上がまるで見えない。
その山の名を「幻想再帰のアリュージョニスト」という。

故郷で待つ酒浸りの子供が(ぼく……もう一度、山の頂からの景色が見たいな……ぼくの代わりに見てきて……くれる……ゴホッゴホッウェーゲホゲホヒック)と言い残して緊急治療室に運び込まれた。俺はその約束のために「小説家へなろう」へ登山申請を出した。

まだ山を登っている。視界は霧に包まれている。手探りで岩の

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【デビルハンター】「ジュディ婆さん」シリーズを読もう【老いと人生】

【デビルハンター】「ジュディ婆さん」シリーズを読もう【老いと人生】

よくきたな。お望月さんだよ。
たったいま【デビルハンター】シリーズの第五話が完結したところだ。俺は拳を握り人生を全うする難しさと悔しさと美しさの奔流に耐えている。俺は近々渋谷へ足を運ぶつもりだ。

今日はNote屈指の高濃度ババアアクションノベル「ジュディ婆さん」シリーズを紹介する。ジョン久作先生(あえて"先生"と呼ぼう!)の連載シリーズは多くのパルプスリンガーを虜にして、なお連載中だ。しかし、ま

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『胎界主』に挫折した俺は Kindle Unlimitedの『尾籠憲一異色短編漫画集』から再入門した。

『胎界主』に挫折した俺は Kindle Unlimitedの『尾籠憲一異色短編漫画集』から再入門した。

尾籠憲一先生という作家はご存じだろうか。俺はよく知らない。しかし、その名前を聞かない日はほぼない話題の作家だ。氏は「胎界主」という壮大なWeb Comicシリーズを連載するインターネットの巨人であり、きわめて独特な作風を知られる奇譚作家とされる。

果たして、どのような世界観をもたらしてくれるのか調査隊は、未来を拓くためのガイドを連れて胎界主第一話に潜入し──そのまま消息を絶った。

調査隊からの

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夢の商品カタログ「どこかにいってしまったものたち/クラフト・エヴィング商會」(1997年の書籍)

夢の商品カタログ「どこかにいってしまったものたち/クラフト・エヴィング商會」(1997年の書籍)

「クラフト・エヴィング商會」をご存じだろうか。明治に創業し大正昭和と駆け抜けて珍品奇品を寄せ集めた雑貨店である。本書は商會の蔵から発見された珍品やチラシや宣伝文句を掲載して往時をしのばせるノスタルジックな商品目録である。

取り扱い商品は多種多様で、地球の重力の強弱を読み取り「蝙蝠のように天井に立つ」ことを目的とした「硝子蝙蝠」。あらゆる物質を完全に癒着させる「瞬間永遠接着液」。心ウキウキの自家製

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