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科学的根拠に基づく迷信ほど厄介なものはない(個人の感想です)『世にも危険な医療の世界史』

実は昨日から(超オモシロ時代小説『十兵衛両断』を中断してまで)この本を読んでいる。

『世にも危険な医療の世界史』

かつて世界に蔓延した「危険な医療」の歴史をジャンル別に紹介した大変たのしい書物である。これは親愛なるニンジャ学会代表のかせいさんからの推挙で手に取りました。

これはなに?

水銀、ヒ素、金!様々な金属を飲み、塗り、摂取しながらあらゆる病魔に抗おうとした人々の冒険の日々が描かれた書籍です。金属は、やはり下剤と嘔吐剤として用いられることが多く、本文中ではさまざまなバリエーションをエンジョイすることができます。(古代から人々は嘔吐を娯楽にしてきたことはご存知の通りです)

下のような文中のパンチラインもイカしており軽い口調もあり次々と読み進めてしまいます。

『とにかく便をだせ!~米国建国の父 ベンジャミン・ラッシュ~』

これらの迷信は、(少しの妄信と)当時の科学的根拠に基づき処方されたものであり、その厄介さは近代人の目からしても恐るべきものです。身近に根拠の薄い健康法やダイエットに耽溺している人はいませんか? ご注意ください。

本作はバランス感覚に優れており「近代の疑似科学」については触れず、におわせる程度にとどめています。流行のものを糾弾して儲けようとする書籍ではありません。

また、誤った治療の果てに有用性を認められた薬品も同時に紹介されており、限定的ではあるが近代でも重用されるという意外な結末を迎える成分もあります。

本当にこれはおもしろい。しばらく眠れない夜が続きそうです。


なお、誤った医療近代史については『シェイドウォーカーズ(個人の感想です)』をご覧いただくとよりスッキリとした理解を得られると思います。


次はこれが気になるな。

おわりです。


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