水谷俊樹

作家・漫画原作者/1979年三重県尾鷲市生まれ。現在は執筆活動のほか、歴史ジャンルを中…

水谷俊樹

作家・漫画原作者/1979年三重県尾鷲市生まれ。現在は執筆活動のほか、歴史ジャンルを中心に漫画の監修や企画・構成を手掛けている。監修を担当する漫画作品に『太陽と月の鋼』(小学館)など。東京コミュニケーションアート専門学校講師。趣味の登山はあちこち寄り道しながら日本百名山にも挑戦中

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『フォーロン・ホープ~警視庁抜刀隊戦記~』第8話〈前編〉公開【お知らせ】

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「丹鶴城公園の桜」(和歌山県新宮市)【紀伊半島を知る、伝える】

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奥武蔵「八徳の一本桜 2024」【四季折々の花、草木】〈名所編 その45〉

人は年齢を重ねるにつれて自然の奥深さに気づき、「花鳥風月」の順に興味を持つようになるのだとか。 いつからか、仕事の取材先や趣味の登山の目的地へ向かう途中に「○○…

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【桜見】“世の中にたえて桜のなかりせば”【歴史にみる年中行事の過ごし方】

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「馬越峠」|伊勢と熊野のあいだで古の旅人を思う【熊野古道「伊勢路」を歩く】

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中世の「紀伊路」、近世の「伊勢路」
いにしえより、よみがえりの聖地・熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へと通じる道は、大きく分けて「紀伊路」(古くは紀路)と「伊勢路」の2つのルートがあった。

大阪方面から和歌山を経て熊野へ入る道が「紀伊路」で、三重県の伊勢方面から僕のふるさと尾鷲市を通って南下する道が「伊勢路」だ。

後白河法皇が編纂した歌謡集『梁塵秘抄』に今様歌が残るように、

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「七里御浜の鯉のぼり」(三重県熊野市)【紀伊半島を知る、伝える】

「七里御浜の鯉のぼり」(三重県熊野市)【紀伊半島を知る、伝える】

(生まれ育った土地を“故郷”と呼ぶのなら、居を構え、もっとも長く暮らした土地は“地元”と呼ぶのだろう)

令和5年(2023)11月29日、父の三回忌法要を終えたあと、三重県の紀北町(旧・海山町)と尾鷲市にまたがる「便石山」(599m)の「象の背」に立ち、そんなことを思った。

父にとっては紀北町が故郷で、尾鷲市が地元にあたる。

父の死を機に自らのルーツを意識するようになり、45歳を前にセカンド

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【端午】「端午の節供」から「こどもの日」へ~立身出世の願いを込めて~【歴史にみる年中行事の過ごし方】

【端午】「端午の節供」から「こどもの日」へ~立身出世の願いを込めて~【歴史にみる年中行事の過ごし方】

「端午の節供」とは旧暦5月5日のことで、江戸時代に「五節供」の1つとして幕府の式日に定められ、武家を中心に男児の立身出世を願う行事として定着する。

「五節供」は明治5年(1872)12月の「明治の改暦」に伴い廃止されたものの、それぞれ旧暦の日付をそのまま新暦に引き継いで民間行事として残った。

現在5月5日は「こどもの日」とされ、子供の成長を祝う日として親しまれている。

「菖蒲の節供」とも呼ば

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【GW】首都圏から日帰りで行ける、歴史に思いを馳せる山の旅<12選>

【GW】首都圏から日帰りで行ける、歴史に思いを馳せる山の旅<12選>

いにしえより地域の人々を魅了してきた英雄がいる。

彼らの波乱に満ちた生涯は人々の口から口へ、様々な伝説・伝承に彩られながら語り継がれてきた。

【歴史に思いを馳せる山の旅】―—。
GW(ゴールデンウィーク)に、首都圏から日帰りで行ける山々を紹介する。

①200年早く武士の世を夢見た男|秩父「城峯山」に残る平将門伝説

②平将門の乱を鎮圧した男|下野「唐沢山」に伝わる藤原秀郷伝説

③時代ととも

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「激動の時代を駆け抜けた、幕末・明治の志士ゆかりの山々」〈4選〉|【歴史に思いを馳せる山の旅】

「激動の時代を駆け抜けた、幕末・明治の志士ゆかりの山々」〈4選〉|【歴史に思いを馳せる山の旅】

いにしえより地域の人々を魅了してきた英雄がいる。

彼らの波乱に満ちた生涯は人々の口から口へ、様々な伝説・伝承に彩られながら語り継がれてきた。
歴史に思いを馳せる山の旅――。
今回は「激動の時代を駆け抜けた、幕末・明治の志士ゆかりの山々〈4選〉」を紹介する。

「激動の時代を駆け抜けた、幕末・明治の志士ゆかりの山々」〈4選〉
①江戸無血開城の立役者|東海道随一の景勝地「薩埵峠」と山岡鉄舟

②徳川

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「源平争乱を駆け抜けた、鎌倉武士ゆかりの山々」〈4選〉|【歴史に思いを馳せる山の旅】

「源平争乱を駆け抜けた、鎌倉武士ゆかりの山々」〈4選〉|【歴史に思いを馳せる山の旅】

いにしえより地域の人々を魅了してきた英雄がいる。

彼らの波乱に満ちた生涯は人々の口から口へ、様々な伝説・伝承に彩られながら語り継がれてきた。

歴史に思いを馳せる山の旅――。
今回は「源平争乱を駆け抜けた、鎌倉武士ゆかりの山々〈4選〉」を紹介する。

「源平争乱を駆け抜けた、鎌倉武士ゆかりの山々」〈4選〉
①人びとの願望を具現化した英雄|奥武蔵に残る源義経伝説

②鎌倉幕府を開いた武家の棟梁|湯

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「平安の風渡る、東国武士ゆかりの山々」〈4選〉|【歴史に思いを馳せる山の旅】

「平安の風渡る、東国武士ゆかりの山々」〈4選〉|【歴史に思いを馳せる山の旅】

いにしえより地域の人々を魅了してきた英雄がいる。

彼らの波乱に満ちた生涯は人々の口から口へ、様々な伝説・伝承に彩られながら語り継がれてきた。

歴史に思いを馳せる山の旅――。
今回は「平安の風渡る、東国武士ゆかりの山々〈4選〉」を紹介する。

平安の風渡る、東国武士ゆかりの山々〈4選〉
①200年早く武士の世を夢見た男|秩父「城峯山」に残る平将門伝説

②人びとの願望を具現化した英雄|奥武蔵「顔

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「道の駅 紀宝町ウミガメ公園」(三重県南牟婁郡紀宝町)【紀伊半島を知る、伝える】

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(生まれ育った土地を“故郷”と呼ぶのなら、居を構え、もっとも長く暮らした土地は“地元”と呼ぶのだろう)

令和5年(2023)11月29日、父の三回忌法要を終えたあと、三重県の紀北町(旧・海山町)と尾鷲市にまたがる「便石山」(599m)の「象の背」に立ち、そんなことを思った。

父にとっては紀北町が故郷で、尾鷲市が地元にあたる。

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『フォーロン・ホープ~警視庁抜刀隊戦記~』第8話〈前編〉公開【お知らせ】

『フォーロン・ホープ~警視庁抜刀隊戦記~』第8話〈前編〉公開【お知らせ】


本日(2024.04.26)『フォーロン・ホープ~警視庁抜刀隊戦記~』(原作:井出圭亮先生/作画:TAKUMIサメ男先生)の【第8話〈前編〉】が公開になりました。

時代考証家・歴史家の久山登氏と監修を担当しています。
ぜひご覧ください。

↓第1話はこちら↓

↓第2話はこちら↓

↓第3話はこちら↓

↓第4話〈前編〉はこちら↓

↓第4話〈後編〉はこちら↓

↓第5話〈前編〉はこちら↓

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「道の駅 茶倉駅」(三重県松阪市飯南町)【紀伊半島を知る、伝える】

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(生まれ育った土地を“故郷”と呼ぶのなら、居を構え、もっとも長く暮らした土地は“地元”と呼ぶのだろう)

令和5年(2023)11月29日、父の三回忌法要を終えたあと、三重県の紀北町(旧・海山町)と尾鷲市にまたがる「便石山」(599m)の「象の背」に立ち、そんなことを思った。

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「高川山」(976m)【秀麗富嶽十二景で「富士山」を撮る】

「高川山」(976m)【秀麗富嶽十二景で「富士山」を撮る】

「秀麗富嶽十二景」とは、山梨県大月市が選定した市域周辺の12地域・19座の「富士山」の展望に優れた山のこと。

「秀麗富嶽十二景」の山行記録、そして日本の名峰「富士山」の撮影記録として、これまでSNSに投稿した情報や画像を紹介していく。

秀麗富嶽十二景で「富士山」を撮る

「高川山」(979m)

【撮影日】令和3年(2021)11月14日

【所在地】
山梨県大月市と都留市の境

【メモ/雑学

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「丹鶴城公園の桜」(和歌山県新宮市)【紀伊半島を知る、伝える】

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父にとっては紀北町が故郷で、尾鷲市が地元にあたる。

父の死を機に自らのルーツを意識するようになり、45歳を前にセカンド

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「寺谷総合公園の桜」(三重県南牟婁郡御浜町)【紀伊半島を知る、伝える】

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(生まれ育った土地を“故郷”と呼ぶのなら、居を構え、もっとも長く暮らした土地は“地元”と呼ぶのだろう)

令和5年(2023)11月29日、父の三回忌法要を終えたあと、三重県の紀北町(旧・海山町)と尾鷲市にまたがる「便石山」(599m)の「象の背」に立ち、そんなことを思った。

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父の死を機に自らのルーツを意識するようになり、45歳を前にセカンド

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奥武蔵「八徳の一本桜 2024」【四季折々の花、草木】〈名所編 その45〉

奥武蔵「八徳の一本桜 2024」【四季折々の花、草木】〈名所編 その45〉

人は年齢を重ねるにつれて自然の奥深さに気づき、「花鳥風月」の順に興味を持つようになるのだとか。

いつからか、仕事の取材先や趣味の登山の目的地へ向かう途中に「○○の○○」と呼ばれる花や草木にまつわる名所を見つけると、立ち寄るようになった。

これまでSNSに投稿した全国各地の名所(画像)を、その時季に合わせて紹介していく。

【四季折々の花、草木】〈名所編〉その45「八徳の一本桜 2024」【撮影

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「赤木城跡の桜」(三重県熊野市)【紀伊半島を知る、伝える】

「赤木城跡の桜」(三重県熊野市)【紀伊半島を知る、伝える】

(生まれ育った土地を“故郷”と呼ぶのなら、居を構え、もっとも長く暮らした土地は“地元”と呼ぶのだろう)

令和5年(2023)11月29日、父の三回忌法要を終えたあと、三重県の紀北町(旧・海山町)と尾鷲市にまたがる「便石山」(599m)の「象の背」に立ち、そんなことを思った。

父にとっては紀北町が故郷で、尾鷲市が地元にあたる。

父の死を機に自らのルーツを意識するようになり、45歳を前にセカンド

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【桜見】“世の中にたえて桜のなかりせば”【歴史にみる年中行事の過ごし方】

【桜見】“世の中にたえて桜のなかりせば”【歴史にみる年中行事の過ごし方】

もともと桜は梅とともに春を代表する自然美の風物で、ただただ純粋に賞美する対象だった。

やがて咲き散る花の姿に、自らを重ね合わせて一喜一憂するようになったものの、散りゆく桜に「潔さ」を見るようになったのは江戸時代中期以降のことで、それ以前はどちらかといえば「惜しむ」といった感情の方が強かった。

令和6年(2024)の桜が散る前に、桜と花見の歴史を振り返りたい。

目次

・『万葉集』の桜は「ヤマ

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