東島カナ

東島カナ、イギリス在住です。 といってもロンドンのようなおしゃれな感じではなく、地図で…

東島カナ

東島カナ、イギリス在住です。 といってもロンドンのようなおしゃれな感じではなく、地図でいうとイギリスの島の真ん中ちょっと左寄り。白人よりも移民が多い、コーヒーにカルダモンのスパイスを入れて飲んじゃうようなそんな場所。私の英語は、まあまあね。

マガジン

  • はじめての俳句

    俳句や俳句を通した活動に長年身を投じていた亡き母の想いに近づけるかもと思い、俳句なるものに手を付けてみました。

  • イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。

    日本で10年選手の作業療法士だった私がイギリスで再就職に励んだ話です。時々更新していきますので、お付き合いくださると嬉しいです。

  • 退屈しのぎの説教集 (聖書の話)

    退屈したときこそ創造だ。聖書のメッセージを素人目線で語ります。

記事一覧

イギリスの空にオーロラが…。

東島カナ
8日前
16

My sword。

私に住む孤独感。普段はおとなしくしているが、うっかり愛がそこを撫でたりするとひりひりと顔を出してくる。そして私は苛立っている。 別れの時、剣のようなものがキーン…

東島カナ
2週間前
17

エミリー・ブロンテの「嵐が丘」(鴻巣氏訳)を読んで好きになれなかった後でそれならと映画(と思ったらテレビシリーズだった)を観てみたら、ヒースクリフ役のトム・ハーディが格好良すぎるしセリフも演技もまじ良くてジワジワハマっている。泣きたいときに観る映画個人ランキングに入れておこう。

東島カナ
1か月前
24

喜びのない幸せは。

フェイスブックで友達が(20も年上だが) 、 「あなたの "joy" はどこから来るか。」 という質問をしていた。 こういう問いにはまんまとのせられる私である。年配の人たちの…

東島カナ
1か月前
31

嵐が丘 - エミリー・ブロンテ。

作品を読み終えて、感想を書こうかどうか迷うくらいの内容だった。 しかしせっかくだから書いておこう。大作には違いない。 「嵐が丘 - Wuthering Heights」というのはま…

東島カナ
1か月前
30

「説得」 - ジェーン・オースティン。

ああ、面白かった。 期待通りの余韻が残る。 「完璧な芸術」という歴史的評判の通り、ジェーン・オースティンの最後の小説である「説得」は、ウェールズの海、山、川へと…

東島カナ
2か月前
53

化身。

トランスフォーミング。 クリスチャンがその信仰生活の中で経験するかもしれないトランスフォーミングという現象。しばしばそれは蝶が美しい成虫に生まれ変わるようだと例…

東島カナ
3か月前
22

祈りと願いと愛と。

人はいつから祈ることを始めたのだろう、なんてふと考えてみた。 人間は古代から自然の力や生活の調和を求めて祈ってきたことが知られている。 そして祈ることは、クリス…

東島カナ
4か月前
39

久しぶりの強い吐き気に襲われた。ベッドの中でできるだけ頭を動かさないようにして身体を沈めていると、自分の息だけが感じられた。小さな息が繰り返される。自分は今この小さな呼吸と空気だけで生きている。生き物ってすごいなあ、生きるってすごいなあ、と思った。

東島カナ
4か月前
17

Afterglow 「残光」。

自分の胸にときどき溢れてくる泡のような想い。 それを手でかき集めて、外に出してあげたくなる。そうして水に流せば、なにもなかったように流れて消えていくからね。忘れ…

東島カナ
4か月前
18

続・ああ、愛しい女性たちよ。「ナショナリズムとジェンダー」上野千鶴子著

(前回からのつづき) フェミニズムを語る社会学者、上野千鶴子氏の真髄はこれだ。 ここに「相対化」という言葉を使う千鶴子節がアホの私には実に分かりにくいのだが、言い…

東島カナ
4か月前
28

旦那の一週間の海外出張中に有給を三日取った私は子供たちが学校に行く間信じられないくらい羽根を伸ばしている。グッドアイデア、私。

東島カナ
4か月前
15

ああ、愛しい女性たちよ。 「ナショナリズムとジェンダー」 上野千鶴子著

先生、初っ端から全快です。 今年初めにジェンダーについて書かれた本を読もうと思い、海外版はヴァージニア・ウルフを、そして日本版はあの東大入学式の祝辞で話題になっ…

東島カナ
4か月前
31

夏の朝 きみの涙の 乾く匂い
晴れの天気が続く5月、あたり一面洗われたような朝の空気の匂い。

東島カナ
4か月前
21

中高年の再就職、in 英語圏。3年目も終わりに近づく頃、サービス利用者から、「あなたは前の担当者より良かったわ」とか「ここのクリニックがベストだと聞いたわ」とか言ってくれる人がでてきて、今それを心の宝石箱に入れてしみじみと見つめている。

東島カナ
4か月前
18

ガチャガチャ効果。

「コントラフリーローディング効果」と呼ぶらしい。 薬学博士の池谷裕二氏の著書によると、 ネズミに、「いつでも食べられる餌」と、「レバーを押せば出てくる餌」の両方…

東島カナ
4か月前
19
My sword。

My sword。

私に住む孤独感。普段はおとなしくしているが、うっかり愛がそこを撫でたりするとひりひりと顔を出してくる。そして私は苛立っている。
別れの時、剣のようなものがキーンという音を立ててあなたの身体を貫くのを聞いた。どうやってそれが音のように聞こえたのかなんてほんとうにわからない。しかし赦された抱擁が徐々に二人の隙間をなくし、魂は二人の間を行き交うようになっていた。
それは何にも役に立つものではなかったとあ

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エミリー・ブロンテの「嵐が丘」(鴻巣氏訳)を読んで好きになれなかった後でそれならと映画(と思ったらテレビシリーズだった)を観てみたら、ヒースクリフ役のトム・ハーディが格好良すぎるしセリフも演技もまじ良くてジワジワハマっている。泣きたいときに観る映画個人ランキングに入れておこう。

喜びのない幸せは。

喜びのない幸せは。

フェイスブックで友達が(20も年上だが) 、
「あなたの "joy" はどこから来るか。」
という質問をしていた。

こういう問いにはまんまとのせられる私である。年配の人たちの答えを読むのも面白かった。「料理をして、それを誰かと分かち合うとき」、「あなたとハグをするときよ!」などなど。「喜びは神が与えるものである」とか言う一瞬居眠りしそうな回答もあった。

しかし読んでいると、どうやらみんな「喜び

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嵐が丘 - エミリー・ブロンテ。

嵐が丘 - エミリー・ブロンテ。

作品を読み終えて、感想を書こうかどうか迷うくらいの内容だった。

しかしせっかくだから書いておこう。大作には違いない。
「嵐が丘 - Wuthering Heights」というのはまさにこの物語を象徴する表題であり、言わずもがな美しい名訳だ。その名のごとく、最初から最後まで感情が吹き荒れ、ナウシカに出てくる風の谷のよりも強く、強く、風が音を立てて吹きつづける。

イギリスにそういう丘が多いのは今も

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「説得」 - ジェーン・オースティン。

「説得」 - ジェーン・オースティン。

ああ、面白かった。

期待通りの余韻が残る。
「完璧な芸術」という歴史的評判の通り、ジェーン・オースティンの最後の小説である「説得」は、ウェールズの海、山、川へと移動する夏休みのキャンプ中、私の心にずっと付き添っていた。

夏休み用にと、日本のアマゾンから購入していた数冊の本の中で、私はエミリー・ブロンテの「嵐が丘」をキャンプに持って行くつもりだった。しかし、両本数ページづつ読んでみた時点でやはり

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化身。

化身。

トランスフォーミング。
クリスチャンがその信仰生活の中で経験するかもしれないトランスフォーミングという現象。しばしばそれは蝶が美しい成虫に生まれ変わるようだと例えられるけれども、わたしはここにその脱皮の様を語ろう。

その化身の時というのは、月が満ちるように、あるいは星が落ちるようにして訪れ、時にはげしく、無防備で、抵抗できず、霊が身を貫き、同時にそれを宿す、秘密で神聖な現象である。それは天からの

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祈りと願いと愛と。

祈りと願いと愛と。

人はいつから祈ることを始めたのだろう、なんてふと考えてみた。

人間は古代から自然の力や生活の調和を求めて祈ってきたことが知られている。
そして祈ることは、クリスチャンとしての大きな特権の一つでもある。祈りを向ける存在と場所を持ち、そこに堅い信頼をおいている。
祈りと願いには違いがある。『祈り』は、個人の望みの成就を目的せず、神との対話を意味する。一方で『願い』は個人の望みを叶えてほしいと神に乞う

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久しぶりの強い吐き気に襲われた。ベッドの中でできるだけ頭を動かさないようにして身体を沈めていると、自分の息だけが感じられた。小さな息が繰り返される。自分は今この小さな呼吸と空気だけで生きている。生き物ってすごいなあ、生きるってすごいなあ、と思った。

Afterglow 「残光」。

Afterglow 「残光」。

自分の胸にときどき溢れてくる泡のような想い。

それを手でかき集めて、外に出してあげたくなる。そうして水に流せば、なにもなかったように流れて消えていくからね。忘れてもいいけど、忘れたくなくもある。だから記念に書いておこう。

-Afterglow- 
「残光」

あなたのいない春の長雨は私の頬につめたくて
スノードロップもクロッカスもまた土に還っていった

夏だというのに空は一面雲に覆われて
私を

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続・ああ、愛しい女性たちよ。「ナショナリズムとジェンダー」上野千鶴子著

続・ああ、愛しい女性たちよ。「ナショナリズムとジェンダー」上野千鶴子著

(前回からのつづき)

フェミニズムを語る社会学者、上野千鶴子氏の真髄はこれだ。

ここに「相対化」という言葉を使う千鶴子節がアホの私には実に分かりにくいのだが、言い換えるなら、それぞれのカテゴリーまたは属性を「絶対化しないこと」という意味だ。まだいまいち見えてこないので、 ChatGPTに聞いてみた。

千鶴子先生よりはお友達になれそうだ。

本書には、国民と女性、ひいては国民国家とフェミニズム

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旦那の一週間の海外出張中に有給を三日取った私は子供たちが学校に行く間信じられないくらい羽根を伸ばしている。グッドアイデア、私。

ああ、愛しい女性たちよ。 「ナショナリズムとジェンダー」 上野千鶴子著

ああ、愛しい女性たちよ。 「ナショナリズムとジェンダー」 上野千鶴子著

先生、初っ端から全快です。

今年初めにジェンダーについて書かれた本を読もうと思い、海外版はヴァージニア・ウルフを、そして日本版はあの東大入学式の祝辞で話題になった上野千鶴子氏の本を日本から取り寄せてあった。私にとっては貴重な本である。

さて、親しみやすかったウルフさんに比べて、千鶴子先生はガチな大学教授だった。

私は、のび太の部屋から突然どこでもドアで東大の講義室に入ってしまったような気分で

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夏の朝 きみの涙の 乾く匂い
晴れの天気が続く5月、あたり一面洗われたような朝の空気の匂い。

中高年の再就職、in 英語圏。3年目も終わりに近づく頃、サービス利用者から、「あなたは前の担当者より良かったわ」とか「ここのクリニックがベストだと聞いたわ」とか言ってくれる人がでてきて、今それを心の宝石箱に入れてしみじみと見つめている。

ガチャガチャ効果。

ガチャガチャ効果。

「コントラフリーローディング効果」と呼ぶらしい。

薬学博士の池谷裕二氏の著書によると、
ネズミに、「いつでも食べられる餌」と、「レバーを押せば出てくる餌」の両方を同時に与えると、レバーを押してでてくる方を選ぶ確率が高いそうだ。
これを人間で試すと、就学前の幼児ではほぼ100%でレバーを押すのだそうだ。これがコントラフリーローディング効果と呼ばれているものだ。

簡単に言うと、ガチャガチャの楽しさ

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