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Q4「パンク・ファッションは『ブランド服』なのか?」——『教養としてのパンク・ロック』第8回 by 川崎大助

Q4「パンク・ファッションは『ブランド服』なのか?」——『教養としてのパンク・ロック』第8回 by 川崎大助

過去の連載はこちら。

第1章:なぜなにパンク・ロック早わかり、10個のFAQ〈5〉Q4「パンク・ファッションは『ブランド服』なのか?」

 少なくともまず、セックス・ピストルズは、まぎれもない「デザイナーズ・ブランド」の一丁羅を身に着けることが、よくあった。マネージャーのマルコム・マクラーレンの「本業」が洋服ブティック経営であり、店の宣伝のために、出入りしていた若者たちに声をかけ、彼が「結成させ

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リミックス・ワークにおけるコーネリアスの変遷

リミックス・ワークにおけるコーネリアスの変遷

大晦日の「SUPER DOMMUNE YEAR END DISCUSSION」をご視聴いただき、ありがとうございました。

私は第4章のコーネリアスの音楽について語るパートに「続コーネリアスのすべて」のメンバーとして出演しましたが、その前からの収録の章の放送が大幅に押していたのと、直後のカウントダウンとの兼ね合いもあってトーク部分が短くなり、生放送の難しいタイミングにまったく慣れていないせいで用意

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初心者必聴!歴史に残したい洋楽名盤10選 70年代後半編

初心者必聴!歴史に残したい洋楽名盤10選 70年代後半編

みなさんこんにちわ。

今日も今日とて洋楽名盤普及委員会をやっていこうと思います。今回はパンクロック出現によって、若者のカウンターカルチャーとしての性質を再び取り戻しただけでなく、一種の音楽産業として成立してしまったが故の商業的批判という、ロックのアイデンティティ的観点を問われることとなった激動の時代である70年代に注目しました。

というわけで10枚紹介していきたいと思います。

1.Sex P

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【バズれ】聴いてよかったインディーズバンド2020【厳選6バンド】

【バズれ】聴いてよかったインディーズバンド2020【厳選6バンド】

今年はライブを観に行けていないのでトータルの評価はしづらいところですが、最高なバンドにたくさん出会ったのでまとめ。

1.岐阜発マスロック界の新星「arne」今年出会ったバンドで一番好きな、以前ご紹介した男女ツインボーカルマスロックバンド「arne(アルネ)」。

愛らしい声、和やかな声、中毒性のあるナチュラルな変拍子が虜になる優しくポップなマスロック。残響ファンは絶対に聴いて欲しい音楽です。

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ギターもピアノも、これを知ればコードブックが必要なくなる!【音楽九九】~その1~

ギターもピアノも、これを知ればコードブックが必要なくなる!【音楽九九】~その1~

ギターで歌を歌いたいな…とか、ピアノであの曲が弾けたら素敵だろうな…と楽譜を買って習い始めると、時々「#5?b13?dim?何だこのコード?」ってことに出くわします。。

その度に、コードブックを引っ張り出して「うーん、押さえられん!」ってなりますよね。。

僕も独学でギターやピアノを弾き始めたので、当時はコードブックをいつも大事に抱えていました。

しかし20歳を過ぎてから作編曲を習った際に丸暗

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日本のロックはパラレルワールドで成立してる

日本のロックはパラレルワールドで成立してる

今回の記事は結構壮大な内容になっている。ロードオブザリングぐらいには壮大な内容だ。正直なことを言うとあまりにも壮大すぎて、無謀だったなとも思いつつある。ガンダルフとサルマンの区別がつかないくらい無謀だったと思う。え?ホビットの話はやめろって?

タイトルにもある通り日本のロックはいくつかのパラレルワールドから成り立っている。なんでかっていうと人によって、邦楽に対する歴史認識に誤差が生じていることが

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【13位】ザ・フーの1曲― 荒ぶる極大のR&Bが、怒れる若者の依り代に

【13位】ザ・フーの1曲― 荒ぶる極大のR&Bが、怒れる若者の依り代に

「マイ・ジェネレーション」ザ・フー(1965年10月/Brunswick/英)

※こちらはイタリア盤シングルのジャケットです

Genre: Rock, Hard Rock, Proto-Punk
My Generation - The Who (Oct. 65) Brunswick, UK
(Pete Townshend) Produced by Shel Talmy
(RS 11 / NME

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最近の邦楽に至るまでのボカロ文脈 ―ずとまよ・YOASOBI・ヨルシカ―

最近の邦楽に至るまでのボカロ文脈 ―ずとまよ・YOASOBI・ヨルシカ―

改訂:2021/04/09

2020年、日本のヒットチャートに目立った動向と言えば、YOASOBI「夜に駆ける」や瑛人「香水」などに代表されるTikTokやストリーミングサービス内でヒットした楽曲の台頭でしょう。その中でもYOASOBIは同じく若者を中心に大きな人気を集めているヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。と併せて「夜好性」と括られ注目を集めています。このネーミングは3組共に名前に「夜」が入

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90年代の音楽シーンを辿る旅 (HM/HR視点から)/ 歴史との符合なのか、歴史が彼らを求めたのか、、怒りを象徴するNirvana の登場

90年代の音楽シーンを辿る旅 (HM/HR視点から)/ 歴史との符合なのか、歴史が彼らを求めたのか、、怒りを象徴するNirvana の登場

⭐️70年代の音楽史はこちら

⭐️80年代の音楽史はこちら

喪失から始まった90年代90年代もまた偉大なアーチストの喪失から始まりました。この喪失をそのジャンルの大きな変革と捉えると、世の中の歴史もまた、これに歩調を合わせるかのように大きな変革のうねりがはじまっていきました。

日本では、手塚治虫、石原裕次郎、美空ひばり、松田優作が。

クラシックの世界では、カラヤン、バーンスタイン。

ジャ

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【28位】ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの1曲―「すべてはうまくいくんだよ」と、聖人のやさしきレゲエが繰り返す

【28位】ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの1曲―「すべてはうまくいくんだよ」と、聖人のやさしきレゲエが繰り返す

「ノー・ウーマン、ノー・クライ」ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(1975年8月/Island/英)

Genre: Reggae
No Woman, No Cry - Bob Marley and the Wailers (Aug. 75) Island, UK
(Vincent Ford) Produced by Bob Marley and the Wailers, Steve Smith

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スモール・タウン・ガールの見た東京 1989-1991-1999-2019

スモール・タウン・ガールの見た東京 1989-1991-1999-2019

私があのとき見た世界、そこに現れた人たちひとりびとりが、思い返せば何てきらきらしていたのだろう。私はほんとうにそこに居たのだろうか、と今も信じられないほどに。自分が見聞きしたことを粗くスケッチしたようなこの文章が、誰かの心と少しでも響き合うなら、とても嬉しいです。

+++++

手元に1冊の古い雑誌がある。1986年3月の「オリーブ」。その中に、ひときわ輝く男の子を見つけたのは、中学校卒業を間近

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フジファブリック「銀河」の転調について/音楽は知識があれば偉いものじゃないけど、それがあると心の深いところで握手できる機会が増える

フジファブリック「銀河」の転調について/音楽は知識があれば偉いものじゃないけど、それがあると心の深いところで握手できる機会が増える

ツイッターでふとつぶやいたことだけど、大事なことなのでこっちにも記述しておこう。

音楽は知識があれば偉いものじゃないけど、それがあると心の深いところで握手できる機会が増えるのよ。

そういうことを考えるきっかけになったのが、ジャズ評論家・柳樂光隆さんが「音楽の聴き方」を語るインタビュー。

正直、柳樂光隆さんの言ってることに100%頷けるか、と言えばそうじゃない。けれど、以下のポイントはすごく同

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60年代サウンドのリバイバル?

60年代サウンドのリバイバル?

最近海外のインディーを聴いていて面白いなぁと思っているのが、ローファイヒップホップの人たちがボサノヴァや60年代ソフトロックのエッセンスを取り込んでいる事です。

CucoのBossa No Séはタイトルずばりボサノヴァを取り込み、アルバムでは他の曲も60年サイケ感を上手くいかしたサウンドメイキングをしています。今やロサンゼルスのミレニアム世代を代表するcucoが仕掛けることで、ここからさらにこ

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10代の音楽が面白いことになっている。

10代の音楽が面白いことになっている。

以前から何度か書いているのだけど、ここのところ10代の中高生がつくる音楽がとても面白いことになっている気がする。10代だからという将来性があるよね、ということでもなく単純に現時点での作品として良いものが多いと言うこと。

今回取り上げている人たちは自分たちの音楽ルーツに明確で、サウンドプロダクションに対してかなり意識的であるという点で選んでみました。作詞作曲だけではなく録音物としてどうだというプロ

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