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女の子の主張

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どうせいつか別れてしまう僕ら

どうせいつか別れてしまう僕ら

酔っぱらった夜、突然に思う。

あれほど見返した二人の写真も、今や疎ましい。
その後気持ちが悪くなって、そして懐かしくなる。
でもどこかで何してるかななんて考えて、
気がつくとどうでも良くなって、
君は完全な知り合いへと昇華される。

あれほど近かかった人が、こんなに遠くなる現象を
私は「0の存在」と呼びたい。

だから人と付き合うかどうかを考える時、
同時にこの人ともどうせいつか別れてしまうと

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もし100年後一緒にいるのが君じゃないとしたら

もし100年後一緒にいるのが君じゃないとしたら

3年ぶりの花火が上がった。
夏を、恋を、爆発を待っていたかのように
会場には溢れんばかりの人が来ていた。

道路には車両進入禁止のポールがいくつも並べられて
警備員が笛を鳴らしながら「こっちです」と言ってた。
有料席を指す看板も、少し暗くなり始めた夕焼けの空も、
あぁ、この景気だと思った。3年も不足していた夏が
やっと来たんだと、私たちだけじゃない。
多くの人が浴衣を着て心待ちにしていた。

少し

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渋谷の空虚達

渋谷の空虚達

スクランブル交差点は洋画ではお決まりの東京の
象徴になっているし、
あの日本人特有の規則的な習性をも表現する
皮肉がきいている。

渋谷には将来を考えているのかいないのか若者が集まり、
ふらふらと何かを探している。
何を探しているのかもわからないけれど探している。

量産型ファッションと、

個性派ファッション。

ファッションはセンスを表すと思っていたけれど、
最近はどちらも本人の意思が伝わらな

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そのラブソング、誰を思って聞いてるの?

そのラブソング、誰を思って聞いてるの?

「AirPodsの新作がもうすぐ出るらしいよ。」

バイト生活で、居酒屋に行ってもいつも割り勘なのに
AirPodsの新作の情報だけは誰よりも早く取り入れて、
予約をするかしまいかと云々と悩んでいるひと。

「音楽にだけは惜しまないのね。」
「まぁね」なんて嬉しそうに言ってるけど嫌味だよ。

どれだけ一緒に過ごしてても先がないことに不安を覚えるのは女性だけらしい。

浪費家な彼は音楽もファッション

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私の出会った映画プロデューサーの話

私の出会った映画プロデューサーの話

私の知っている映画のプロデューサーは
かの有名な青春ドラマでいくつもの賞を取った人だ。

その人はオカルトが好きで、好きな映画は決まって
UFOや妖怪や怪奇現象が起きる。

「ボク、不思議なことを考えてるでしょ」というけど
いくつもの数字を考えなければならない立場の人が

一周まわったのか、

はたまたずっとそこにいるのか、

その無垢さが東京の大人にもあるのだなと思う。

でも映画を見るときは辻

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歌舞伎町の住人

歌舞伎町の住人

真夏の夜、一人で新宿の街を歩いていた。

JR新宿の東口にある交番前は定番の待ち合わせ場所で

大量の人が行き交っている。

金髪の髪の毛をツンツンに遊ばせた男、

ガリガリに痩せた女、

はたまたフリフリの女、

夜の住人が目を覚まして歌舞伎町の街まで
導かれるようにまっすぐに歩いていく。

自分の巣へ戻るようにまっすぐにである。

私も試しについていってみた。
この未知なる世界まで私も連れてい

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初めて一人暮らしをした「黄金町」という場所

初めて一人暮らしをした「黄金町」という場所

上京して初めて一人暮らしをしたのは
横浜にある「黄金町」と言うところだった。

それまでは神奈川のおばあちゃんの家に半年住み
最寄駅からおばあちゃんちまで30分を歩くのがしんどくなり、
一人暮らしすることを決心した。

京都の実家を出たのは19歳の冬。
その後大阪の梅田の隣駅にある中津と言うところで家賃、
光熱費込みで4万円でシェアハウスをしていた。

その8ヶ月後、シェアハウスの住人が増えてきて

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「おはよう」も「おやすみ」のラインも、来なくなった。そして

「おはよう」も「おやすみ」のラインも、来なくなった。そして

マッチングアプリは、
今の若者には主流の出会い方になった。

特にこの大都会、東京はその人の多さと飢え度からして、マッチングアプリは相性がいい。

会いやすく、会いまくりである。

業者や写真と全然違う人が現れるケースもあるが、

警戒するほど怖いものでもなくなった。

それよりもむしろ当たりか当たりではないかの方が重大である。

そんな私もアプリを入れては飢えをしのいだ時期もあり、

深夜に右に

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夜に現れる怪しい者たち

夜に現れる怪しい者たち

私がかつて住んでいた黄金町の町は
「黄金町 」と調べると決まって
「治安が悪い」「やばい」「スラム」「暗黒街」とまで出てくるような場所だった。

なぜそんな治安の悪い場所なのかと調べると、
以前は売春宿が線路沿いに並んでおり
風俗店が立ち並ぶ地域だったらしく、
かつては魔窟とまで言われたほど
暗黒の歴史があった街だったようで。

そんなことは住んでいる当時一ミリも知らなかったのだが、
それも無理は

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インターネットで降る雨は私たちを濡らさない

インターネットで降る雨は私たちを濡らさない

現代では私たちは声よりも先に文字でやり取りをする。

おはようとかおやすみとか言っている間に

文字のやり取りだけで終わることも少なく無い。

私は世間でいうZ世代であるのに、

文字は文章には良いが、会話には向かないと思っている。

ラインの返事に関してもこの文面は冷たすぎるとか

既読無視だとか、

絵文字で終わらせようとしているとか何とか、

私たちは必要以上に文字に踊らされていると思う。

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はじめに

初めまして。鈴です。今私はテレビ局の清掃のバイトをしながら
インフルエンサーという今っぽい事もしつつ、このエッセイを書いています。

出身は京都で、家では常に正座という京都随一の厳しい家庭に育ちました。
小学5年生の頃に作詞家になりたいと思い、二十歳の冬に上京。
紆余曲折して、今音楽番組のスタジオの清掃をするに至ります。

この街(東京)で生きていくということ。
それぞれの疑と解があると思います。

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