マガジンのカバー画像

教職志望の方へ

172
教職志望の方のために、教育実習の頃から順に、予備知識として知っておくとよいだろうと思うことを書きました。またnoteでスキを付けた他の方の教育関連記事も追加しています。  教職… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

見破り力

見破り力

職員会議で提案に猛反対する先生を見ることがあります。先生方の多忙を増幅させる、子どもたちのためにならない、あれこれと理屈をつけ、とにかくその提案をなきものにしようと批判します。

なぜ、そんなにもその提案に反対するのか。よく考えてみると、その提案が通るとその日の部活動ができなくなる提案であるなどということがあります。更によくよく考えてみると、その部活動ができなくなる日の週末に、その先生がもっている

もっとみる
言語技術と言語感覚

言語技術と言語感覚

一九九○年前後から国語科における言語技術教育の必要性が叫ばれ始めました。いわく「国語の授業は何を学んだのかわからない」、いわく「国語の授業には効用感がない」、いわく「国語の授業は気持ちが悪くなるほど気持ちが問われる」、いわく「国語の授業は文学性ばかりを追い求めて実用性がない」などなど……。以来四半世紀。いまでは多くの教科書や資料集・ワークの類に「文章構成」「問題提起」「ナンバリング」「ラベリング」

もっとみる
教育評価と教育測定

教育評価と教育測定

教育評価について考えている。
一般的に、学校教育における評価という言葉は「テスト」とか「通知表」などと結びつけられがちである。しかし、本当はもっと広い文脈で語られなければならない。

教育評価の語源は「エバリュエーション」であり、この言葉には「評価は授業改善に活かされるべき」という意味合いが含まれている。つまり、仮にテストをしたとして、児童の点数が芳しくない場合は、児童の出来が悪いわけでは決してな

もっとみる
様々な国の教育制度

様々な国の教育制度

日本の公教育では、国が教科書を検定し、教育委員会が採択し、教員に教科書使用義務があります。しかし、そのような制度をもたない国もあります。二宮 皓 (監修)『こんなに違う!世界の国語教科書』などを参考に、世界の国々の教育制度の特徴をまとめてみました。

アメリカやはり自由の国だからでしょうか。教科書の制度が日本と大きく異なります。教科書は各出版社が自由に発行し、州が審査して採択リストを作成します。学

もっとみる
「主体的」とは何か、を突っ込んで考える

「主体的」とは何か、を突っ込んで考える

「他者」という概念が哲学にはある。これは、「他者」の一般的な語法である「他人」以上の意味を持つ。それは「理解を絶した事柄」である。他者における「他」を、より強調しているのだ。

<他者>の人とも呼ばれるユダヤ人哲学者であるエマニュエル・レヴィナスは、「他者」の「他」性を極めた人だと言われている。レヴィナスの議論では、もはや「私」という主体は、「他者」からの呼びかけによって存在しているとまで述べる、

もっとみる
学校業務のデジタル化今昔物語と教員プログラマーの悲哀

学校業務のデジタル化今昔物語と教員プログラマーの悲哀

高卒就職問題研究のtransactorlaboです。
気が付けばもう6月下旬。2023年夏の高卒求人公開も間近になりました。

本当にありがたいことに、こんな私のブログにもフォローしてくださる方がいらっしゃいます。励みになります。

2023年度高卒就職市場の相場予測
今夏の高卒就職市場は、昨年にも増して求人倍率が高まり、超々売り手市場となるでしょう。今年度、コロナが明けた影響もあるでしょうが、こ

もっとみる

PISA の結果をどう読み取る?

サトマイによる PISA の結果の解釈。
サトマイの展開している 3つのポイントには、とてもうなづける。

オンライン授業よりも、対面授業の方が効果的なことは同意。この動画をみて、ICT 教育に懐疑的な人は喜ぶ分があるのかもしれないが、サトマイは「動画を見るだけでは効果が薄い」と言っているだけで、ICT を用いた教育を否定しているわけではないと思います。

「アリバイづくり」のための「書類作成業務」が負担という話

「アリバイづくり」のための「書類作成業務」が負担という話


人がいなくなる学校

学校現場の疲弊感については、すでに様々な媒体によって社会の知れ渡る点となった。その証左として、教員志願者数の減少というデータがある。

例えば、2020年の3月、関東圏における教員養成課程の雄である東京学芸大学の教員養成系学部の卒業生のうち、教員になった割合は55%にとどまったというデータがある(週刊東洋経済 2022年7月23日 「学校が崩れる」p42より)。

学校から

もっとみる
ワーキングメモリシリーズ2 シフティング機能

ワーキングメモリシリーズ2 シフティング機能

ワーキングメモリは「脳のメモ帳」の他にも機能を持っています。

1)シフティング機能 シフティング機能とは「切り替えの力」のことです。
 今やっている活動から次の活動へ移行する際もワーキングメモリの助けが必要になります。
 例えば、「見ること」についても同じです。

 「①黒板の式を見る→ワーキングメモリのシフティング機能を使って→②自分のノートを見る」

というようにワーキングメモリのシフティン

もっとみる
発達障害を持つ子供の親として叫ぶぞ!

発達障害を持つ子供の親として叫ぶぞ!


1)かなしろにゃんこ。さんとの講演会 先週末、私が編集長を務める「特別支援教育総合webマガジン”ささエる”」の講演会である「ささエるフェス」を終えました。

 「ささエる」は、今年の3月にローンチされ、現在11月のフルオープンに向けて現在移行期間中ですが、すでに1565名(7月12日現在)のフォローをいただき、メンバーシップも凄い登録者数率をいただいておいてます。
 おそらく教育界のwebマガ

もっとみる
内申点・評定の歴史:なぜ相対評価が2001年まで学校で使われたのか

内申点・評定の歴史:なぜ相対評価が2001年まで学校で使われたのか

 通知表に記載される評価「評定」、俗に内申点と言われる数値です(なお後に出ますが厳密には違います)。そのうち、実際に影響力があるのは高校入試で使われる中学校の評定です。
 最高5~最低1の5段階で、現在は学習の達成度によって数値が決まります(絶対評価)。しかし、2001年までは生徒の集団内の順位で決まっていました(相対評価)。成績順に上位7%に「5」、次の24%に「4」、次の38%に「3」、次の2

もっとみる
塾業界がいまだに新聞折り込み広告を辞めない理由【変化する広告の価値】

塾業界がいまだに新聞折り込み広告を辞めない理由【変化する広告の価値】

そろそろ冬休み。となると、塾業界は夏期講習に次いでのビックイベントとなる冬期講習が始まります。

夏期講習とは違い、期間も短く、受験生とそうでない学年では温度差がかなり違うこともあり、重要度は違うものの、

高校生の場合、
受験生は、共通テスト、私立大対策への追い込み
1~2年生は、休み明けの実力テストに備えつつ、これまでの復習

は、それぞれで重要な学びの期間になります。
特に高校2年生は、可能

もっとみる
教員がiPadを買う前に絶対に読むべき記事(iPad購入者は読んじゃダメ)

教員がiPadを買う前に絶対に読むべき記事(iPad購入者は読んじゃダメ)

どうも、いせごんです。
こっそり教えますけど、実は高校で情報を教えている教師です。

情報の先生っていうぐらいなので、そういう機器をめちゃくちゃ持っててバリバリ使いこなしているんでしょって思われます。情報の先生がバリバリ情報機器を使いこなしているわけではありません。
むしろ使いこなすというよりかは、技術理解・評価のために使っているのが正しい表現です。使わないことには理解・評価できませんからね。

もっとみる
出身高校別の東大生の雰囲気

出身高校別の東大生の雰囲気

 前回の記事で周りの友人・知人の16タイプを考えていたところ、学生時代の記憶が結構蘇ってきた。最近連絡取っていない友人とも結構昔は馬鹿みたいに遊んだなと思う。東大時代はやたらと友だちが多かったので、人生の黄金期だったと思う。未だに交友関係の殆どがこの時代の遺産だ。

 さて、東大生が好む話題の1つは「出身高校」である。このようなカルチャーは早慶やその他の大学には見られない。外部の人間であっても東大

もっとみる