カンブリア大爆発

虚実に溺れるしがねぇ浮草。漂着したり、流されたり、ゆく河の流れは絶えずして、しかももと…

カンブリア大爆発

虚実に溺れるしがねぇ浮草。漂着したり、流されたり、ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

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記事一覧

結城座の変身

そもそも結城座とは、カフカの「変身」とは、なんぞや。ざっくりとした概要から。 江戸糸あやつり人形「結城座」結城座は、創立寛永十二年。 紆余曲折ありながら、継承さ…

追憶「愛すべき役者、文楽人形」

 私が文楽人形と初めて対面したのは、小学6年生の頃だった。  国立劇場の小劇場で公演を行っている文楽の舞台裏見学ツアーに参加した際に、楽屋の廊下で見た時が「初め…

傀儡師の追憶『へルマン』

今頃になって、ようやく初夢を見た。 へルマン・ヘッセの夢を見た。 備忘録として、私見をここに記します。 あらすじ程度で詳細は書いてないつもりですが、少々ネタバレ…

真夜中の果実酒

最近、母が自家製の果実酒づくりにハマっている。 柚子、金柑、グリーンカルダモン、シナモン、ローズマリー、畑で育てた黄金しょうが、その他もろもろのスパイスを梅酒用…

音に聞く【晴の会】開幕

芝居の空気。角の芝居、のちに中の芝居と、そう呼ばれた芝居小屋がかつての道頓堀には存在した。どういう芝居小屋だったか。その小屋の空気を吸ったことはない。だから、そ…

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おれはニワカだ。

観劇ファンなら誰でも聞いたことがあるだろうことば 舞台はナマモノ。 これは芝居に限らない。プロレス界隈でも言う。興行というものは、いずれもナマモノである。目にす…

平成中村座 姫路城公演 立見チャレンジに挑んだものの、ものの見事に失敗した話。

お城で歌舞伎のお芝居。夢といえば夢のような話である。 姫路城下で歌舞伎の芝居が観れるというのは。 しかも、あの泉鏡花の『天守物語』を上演する。 と、なれば「これ…

俗世から離れたくなって能楽堂へ行ったら幽体離脱したあとで地獄の呵責を見た話

いざ行かん、能楽堂チラシで知った大島能楽堂 先日、職場でとあるチラシを見つけた。 広島県の福山に能楽堂があるらしい。 地図を見てみると福山駅からちょっと歩いたと…

結城座の変身

結城座の変身

そもそも結城座とは、カフカの「変身」とは、なんぞや。ざっくりとした概要から。

江戸糸あやつり人形「結城座」結城座は、創立寛永十二年。
紆余曲折ありながら、継承され、現代に至るまで生き残っている江戸糸あやつり人形座。

フランツ・カフカ「変身」

グレゴール・ザムザという営業マンの青年が、ある朝起きたら身も毛もよだつ大きな虫になっていた話。

スタッフ

糸あやつり人形と言えば

「サンダーバード

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追憶「愛すべき役者、文楽人形」

追憶「愛すべき役者、文楽人形」

 私が文楽人形と初めて対面したのは、小学6年生の頃だった。

 国立劇場の小劇場で公演を行っている文楽の舞台裏見学ツアーに参加した際に、楽屋の廊下で見た時が「初めての出会い」だった
と記憶している。

 人形遣いさんが参加者の親子らを案内をしながら、名越昭司先生が人形の髪を結う床山部屋を見学したり、小道具さんの部屋を覗いたり、大道具が置いてある舞台で写真撮影をしたり、そんな見学ツアーだった。

 

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傀儡師の追憶『へルマン』

傀儡師の追憶『へルマン』

今頃になって、ようやく初夢を見た。

へルマン・ヘッセの夢を見た。

備忘録として、私見をここに記します。

あらすじ程度で詳細は書いてないつもりですが、少々ネタバレ気味かもしれません。

観劇前に知りたくない方は読むのをお控えください。

まずは、麿赤兒。おのれの影を操れる人間を、初めて目撃した。

かの有名なタップダンサーのフレッド・アステアは、影を操れる大スターだった。

そのアステアとタイ

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真夜中の果実酒

真夜中の果実酒

最近、母が自家製の果実酒づくりにハマっている。

柚子、金柑、グリーンカルダモン、シナモン、ローズマリー、畑で育てた黄金しょうが、その他もろもろのスパイスを梅酒用の日本酒に漬け込んだもの。(アルコール度数が20度以下のお酒を使って作ることは酒税法で禁止されている)

それを作っては、からだに良いから寝る前に飲めとしつこく言ってくるので、仕事を終えてから、深夜にチビチビといただいている。

はじめ、

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音に聞く【晴の会】開幕

音に聞く【晴の会】開幕

芝居の空気。角の芝居、のちに中の芝居と、そう呼ばれた芝居小屋がかつての道頓堀には存在した。どういう芝居小屋だったか。その小屋の空気を吸ったことはない。だから、その味も、においも、正確には分からない。少しばかり芸談を聴いたり、見たりするぐらいで、味わいはなかなか知り得ない。そうして、その空気を知っている人間も、今やほとんどがお隠れあそばした。

十五代目 片岡仁左衛門は、そういう道頓堀の芝居の空気を

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おれはニワカだ。

おれはニワカだ。

観劇ファンなら誰でも聞いたことがあるだろうことば

舞台はナマモノ。
これは芝居に限らない。プロレス界隈でも言う。興行というものは、いずれもナマモノである。目にする俳優の表情や息遣いは、その時だけ、そこに存在している。だから、いつも

一期一会

茶道発祥のことばを思い出す。目の前にある舞台は、始まりであり、終わりであり、永遠であり、そして刹那。最初で最後だ。二度と出会えない。「またいつかやるだろ

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平成中村座 姫路城公演 立見チャレンジに挑んだものの、ものの見事に失敗した話。

平成中村座 姫路城公演 立見チャレンジに挑んだものの、ものの見事に失敗した話。

お城で歌舞伎のお芝居。夢といえば夢のような話である。

姫路城下で歌舞伎の芝居が観れるというのは。

しかも、あの泉鏡花の『天守物語』を上演する。

と、なれば「これは間違いない」と。

しかし、能天気な私はうっかり前売り券を取り逃がした。

そもそも平成中村座の公演はいつも大人気だというのに。

仕方ない。とりあえず一縷の望みを、当日にかけるしかない。

立見席の販売決定!!

(おお!これはあ

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俗世から離れたくなって能楽堂へ行ったら幽体離脱したあとで地獄の呵責を見た話

いざ行かん、能楽堂チラシで知った大島能楽堂

先日、職場でとあるチラシを見つけた。

広島県の福山に能楽堂があるらしい。

地図を見てみると福山駅からちょっと歩いたところに、大島能楽堂はある。

上司にそれとなく聞いてみたところ、大島さんという方が個人でされている能楽堂。

この春、ここで美しい桜の情景を舞台にした「湯谷」(他流派では「熊野」表記)

そして「阿漕」が上演されるとのこと。

ストレ

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