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平成中村座 姫路城公演 立見チャレンジに挑んだものの、ものの見事に失敗した話。

お城で歌舞伎のお芝居。

夢といえば夢のような話である。

姫路城下で歌舞伎の芝居が観れるというのは。

しかも、あの泉鏡花の『天守物語』を上演する。

と、なれば「これは間違いない」と。

しかし、能天気な私はうっかり前売り券を取り逃がした。

そもそも平成中村座の公演はいつも大人気だというのに。

仕方ない。とりあえず一縷の望みを、当日にかけるしかない。

立見席の販売決定!!

(おお!これはありがたいこっちゃ)

意気揚々と「ま、行ってみるか」

(午後の部なら当日券が買えるかもしれない)

至って楽観的に考えていた。


甘すぎた計画

午後の部は16時開演。

当日券は1時間前から発売されるらしい。

「よし!!昼頃を目安に向かえば当日券は買えるだろう!」

ついにその日がきた

私は鈍行列車に揺られながら、のんびりと姫路へ向かった。

その後、姫路駅に着いてからのんびりと姫路城へ歩いていった。

平成中村座の芝居小屋に到着したのは、昼前だった。

のんびりしたわりには、早く着いた

にも、関わらず

当日券の行列は長く連なっている。

やっぱり、のんびりしすぎた。

(………………やっちまった……これは厳しいかもしれない)

一応スタッフの方に聞いてみる。

「あの、当日券って何枚販売されるのでしたっけ?」

「18枚です」

「……………18枚」

すぐさま列に並ぶ人数を数えてみた。

(12345678………18、19?…19?20?)

この時点で終わったも同然である。

「いや、もしかしたら?もしかしたらいけるかも??」

とりあえず並んでみたけれど

(うわ……どう数えても……やっぱり無理だな……これ……なんか並んでる人々……ほとんどお一人様じゃない……お連れ様いらっしゃる感じだ………)

心の声がだだ漏れだったせいか

私の前にいた最後尾の女性お二人が話しかけてくださり、ちょっとした会話が弾んだ。

そのうちの一人は大阪からきたおばちゃんで

三月に平成中村座を観たのがきっかけで、姫路城公演にも来たらしい。

もう一人の女性は中村屋の(たぶん七之助さんの贔屓だろうか)ファン。

しっかりとした性格をされてそうな(なんとなく頭脳明晰そうな)眼鏡の女性。

「どなたの贔屓?誰、目当て?」そんなことを聞かれて

「今回はちょっと天守物語が観たいと。虎之介さんが図書之助をやるという配役が気になって…どんな風にされるかと思いまして」

眼鏡の女性「なるほどねー」

大阪のおばちゃん「天守物語??」

私「泉鏡花です」

(うんうん)と、うなずく眼鏡の女性。

(??)キョトン顔している大阪のおばちゃん。
どうやら泉鏡花と聞いてもピンと来ていないらしい。

私&眼鏡の女性の内なる声(おい、まさか、このおばちゃん泉鏡花を知らんのか………)

おばちゃんの無知ぶりにちょっとドン引きして冷めた目をしてしまった。

泣いても笑っても当日券は18枚ポッキリ(→現在は20枚程度となりました)

どうやらそこへは食い込めなさそうである。

望み薄な最後尾メンバー三人のちょっとした井戸端会議が一段落したところで、

午前の部、開演。

(…あ…開幕の拍子木の音が聴こえる)

眼鏡の女性「どうやら、始まったみたいね」

私「そうですね」

突如、動き出す行列。

((ザワザワ))

「あ、お茶子さんたちが出てきたわ」

(お茶子さんたちの誘導で日陰へ移動する行列)

木陰に溜まる行列についてゆくと、

眼鏡の女性、大阪のおばちゃん、私に向けて

お茶子さんが振り向いた。

「ここからあとの方は…」(厳しいと思います)

ついに、惨敗が確定。

眼鏡の女性「ここから、あとが」

お茶子さん「はい、この方(眼鏡の女性の前の人)までは、もしかしたら微妙に入るかもというラインで」(…申し訳なさそう)

眼鏡の女性「わかりました!それなら私はこれで失礼します!」(とても潔い)

私(…だろうなぁとは思ったけれど…やっぱり無理だったか……とりあえずせっかくだし城へ行こう)

大阪のおばちゃん「並んどくわ」(的なこと言っていた)

それぞれのエンディング

おばちゃんはまさかの残るという選択をした。

私(…この暑いなかよくやるものだな……)

さて、切り替えて行こう。こうなったら私は姫路城へ登ろう。

と、思いつつ、しばし中村座のお土産ブース付近をふらふら漂っていると

見覚えのある女性が近づいてきた。

眼鏡の女性「あ、参考までに!さっきね、列の先頭の方に聞いたら朝8時半から並んでいたそうよ」

私「ぅえっ!……朝8時半??…うわぁ…凄い…そうですか…あ、ありがとうございます」

眼鏡の女性「(ニコッ)これで失礼します」

私(最後の最後までしっかりした人だった……何だかあの人がとてもまぶしい………)

炎天下のなか姫路城へ

姫路城

文句のつけようがない美しい城である。

やはり姫路城を拝まずして、天守物語は始まらない。

私は最上階へ登りながら、泉鏡花の世界をより鮮明にイメージできるように、城の内部を観察しつつ、その城の雰囲気を正確に感じ取ろうと努めた。

天守閣の階段

城内部の造りは堅固かつ機能性に優れ、外から見たときよりも遥かに広く感じた。

夜ともなれば、天守物語の人ならぬものどもが現れても不思議ではない。

積みかさねた永い時間の流れ、

その痕跡と匂いが遺された貴重な城。

姫路城 天守内部

城を降りてからも、西の丸やら、何やらをうろうろ歩いて回りましたが、本当に広い城郭。

(百間廊下も面白かったのですがここでは割愛)

さすがにこの夏日の暑さにバテてきたので、

涼を求めて駅方面へ

ふと見やれば、商店街があったのでちょっとぶらついていると

なんか出てきました

七福座 (寄席)

こんなところに寄席が。

タイミング合わず、開演してだいぶ経っていたので諦めましたが

平成中村座の立見が買えず無念となった方は

落語を聴いて帰ったらいいですね。(落語会がある日だったらラッキー)

姫路城の近くの商店街に七福座はあります。

その後、山陽百貨店の北海道物産展で

おやっさんにそそのかされて買った海鮮弁当と

平成中村座の土産ものブースで買った日本酒を(土産ものらしいド派手なお猪口がついてくる)

見た目は豪華なディナー

姫路の某ホテル大浴場の炭酸泉やら、サウナやら、水風呂で無事にととのったあとで

いただきました。ご馳走さまでした。

海鮮は、やっぱり美味しい。(間違いない)

あと、この日本酒にとても合う。(間違いない)

この日本酒は美味しすぎます。(オススメです)

気をつけてください。(飲み過ぎに)

そんな今宵のエンディングの一曲は

夏っぽい雰囲気のAORの名曲(まるで歌舞伎に関係ない)

もしかしたら、私も

もう一回くらいチャレンジできるか…?

平成中村座 姫路城公演 立見チャレンジ

やれる方はやってみてください。

(こまめに水分補給しましょう!)

『平成中村座』立て看板

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