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seiji_arita
2024年6月26日 18:36
「死んだふり」必要悪が裏の正解領域で息を殺して生き続ける人の形をした程度の分際が虹を欲する辿り着けない朝の向こうに見えた汚れた海大人の顔をした愛想が一方的な暴力を振う生まれてきた喜びや生きて行く上での業だとか慢心と理想論 遠いと思い込んでいた天国と地獄誰も悪くないのなら 何故 僕等は泣いている夢の奥底 今は黙って死んだふり傷口を固めた嘘が
2024年6月10日 23:27
「白い月の光」夜明け前の白い月に 僕達ふたりのそれぞれが抱える事柄の差異が映し出されるその白い月は夜空の端っこで暗示的な光を微かに放つ僕は迷いの中で朝を迎える其れは圧倒的な混乱とは違う 確信のある答えが欲しかっただけなんだ彼女は時計を見つめているその針は宿命的な時を示す僕は彼女の背中をそっと指先で撫で君は静かにうなずいた所有し所有される事の
2024年6月9日 21:33
「君に贈る詩」君は詩なんか読まない僕の書いた文字は透き通っていて君の瞳には映らない窓からは低くたれこめた暗い雲が見えたそうかもしれない 僕は口に出してそう言った僕がペンを持った瞬間に言葉は消えて無くなってしまう詩を読む様に独り言を呟く君は詩なんか読まない静かに雨が降りはじめたPhoto : Seiji Arita
2024年5月24日 21:58
「琥珀のグラス」物事の終わりは いつだってあっけないものだ世界は一定の原理に従い然るべき方向に流れて行く僕は夢の中の彼奴の事を探し求めている夜の闇は当たり前だけど暗いんだ彼の歌う詩は ひとりで聴くには悲しみが強すぎる危うさが勝ち過ぎている琥珀のグラスの中に想い出を留めた僕が大切にしていたものは 彼の記憶だと気が付いた妙にくっきりとした形の月と風の
2024年5月16日 15:56
「透明な風」必要な言葉は何故だかいつも遅れて後からやって来るあの日 あの時僕等に欠けているものなんて何ひとつ無いそう君に伝えたかったきっと君は微笑んでくれただろう深い緑と青い空を持つ夏だけが其処にあった僕等はもう二度とこの場所に来る事は無いそして君に逢う事も定められた場所に向かうそれぞれの道を歩み続ける僕は一度だけ振り返る其処には形を持た
2024年5月15日 21:40
「夜を忘れた花」儚い程の細い血脈にも生きた赤い血が流れている何処までも繊細で美しい君の最後の声が空に消える熟考は深い沈黙を必要とし夜を忘れた花の傍には眠りと覚醒 現実と非現実の夢が横たわる風や水が流れる様な陰影が僅かに不揃いな図形に映り込む君は居なくなったけど 君はいつでも僕の傍に居る其処にある無言の想いが言葉にならない声になる喪失と喪失
2024年5月12日 13:26
深い混乱の中に均等なふたつの光の存在を探した失われて行く時間の感覚 ある種の衝動が頭上からずれ堕ちて来る僕は夢と想像の中に言葉を探す其れは誰か特定の人に向けられた言葉では無い其処に見える憂鬱な風に包まれた名前を持たない消えかかった田園風景其の僕の中にある無名の場所を埋める為の言葉だ疵痕も残さず切り裂いた刃 大量の現実の血が流されたはずだった夜
2024年5月11日 17:47
「黄色い月」春が終わりに近づいた夜 空気は漠然とした湿り気を帯び薄靄に包まれた黄色い月がふたりを見ていた僕の隣りで不規則に美しく揺れる君のスカートの裾 僕は自分を失ってしまうほど激しく君を求めていたはぐらかす様に微笑む君の唇に静かに指先で触れた少しの間の沈黙 其れは彼女の同意を意味している全てが再び現実の位相に服すまで彼女の長い睫毛が僕の心の
2024年5月11日 10:41
「車椅子のロージー」少しの乱れも無く調和した共同体 そんな夢の中にだけ花は咲く誰かが誇らしい気にそう言った無音の雷鳴と目に見えぬ雷光 其れが脳裏に焼き付いている僕と言う固有のただひとつの人格が名前を持たぬ混沌 未明の暗闇の中でかろうじて息をしている抽象的な命題を空に描き 頭は現実とは別の場所にある恵まれてるとか 恵まれて無いとか 魅力的な微笑みを浮
2024年5月3日 08:13
「銀河鉄道を待つ夜」雲が低く流れ山肌を静かに湿らせている細かな緊張をはらんだ空気が其処に渦巻く星降る夜に ひとりの少女が夢を見た矛盾と悲しみに満ちた夢を見た其の悲しみの中に美しさと静けさを読み取る事が出来るのは きっと少女と同じ境遇を持つ人に限られる長期的に服用している薬が時間が経てば経つほど だんだんと効かなくなって来る乱雑な現実的要素
2024年5月1日 10:05
「水平線」果てしない偶然性が積み重なり今が形成される理論や整合的な説明は出来ない全ては其の偶然性に支配されている其れを必然と呼ぶのかもしれない其処には言葉に出来る何かは存在しない言葉に出来ないものの中に潜む自己規定幾つかの街が通り過ぎ 鏡の中にお前を見る深い夜と静けさが永遠に続き時を刻み命と死が交差する誰にも解き明かせない唯一が此処にある俺と
2024年4月22日 22:21
「小さな炎」僕の足元に寡黙な陽だまりを作り出す太陽時間は更に緩やかに流れる君は猫の様に暗い穴を覗き込んでいる其の先にあるものは君の瞳にしか映らないその暗い穴には深い暗示が隠されていた「今日死んでしまえば 明日は死なずにすむ」君はそう言葉にして囁く其処はいつまでも君が居る場所じゃない何度も君にそう呼び掛ける僕等はきっと何処かに行く事が出
2024年4月1日 08:53
「不動の月」花一輪 在りし日の君 香る春静かに添えた手のひら暗黒の雲に覆われた夜空にさえ音も無く浮かぶ不動の月あやかしの時は遠去かりあの日 夢見たふたりの旅其処に咲いていた小さな花は眠る事無く咲き続ける夜更けに恋をし君の名を呼ぶいつからか 君の言葉の中に愛を探してる
2024年3月31日 04:21
「月下の詩人と盲目の犬」大きな美質と大きな欠陥が背中合わせに存在する其処には見え透いた理論は無い疑問を背負ったまま僕等は今を歩き続けている一匹の盲目の犬何かに損なわれる事が無い様に僕は其の犬を抱きしめていたその失われた瞳を通して彼はこの世界に現れるそして彼の言葉が僕の意識の領域に着地する時間の歩みすら止まる気がしたソメイヨシノが香る時嘘しか