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最後の言葉 《詩》

「最後の言葉」

沢山の記憶の積み重ねによって

僕等の人生は成り立っている

僕等は暗い空に浮かぶ雲の周りに
希望の縁取りを探し求める


頭上の暗雲の中に

幾つもの願い事を書き連ね

その裏側にあるはずの
明るい輝きを放つ太陽を心に描く


何処でもいいから遠くの国に行きたい

君はそう言った

その言葉は僕の中に眠る
僕自身の代弁でもあり

ふたりは胸の中にある 

それぞれの

暗雲と光を抱え共有する様に
夜空に綺麗な星を探す


帰る場所を持たない君に

行くべき場所を知らない
僕は恋をする

僕等は固有の匂いと響き 
その手触りを感じる

心の震えが同調する 

君は僕に似ている

肩を震わせながら静かに泣いていた夜

私の代わりに詩を書いと欲しい

そう君は僕に言った

其れが彼女の最後の言葉だった

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