記事一覧
モナコ大公アルベール2世:海洋と気候を守る環境リーダー
モナコ大公アルベール2世が環境問題に取り組み始めたきっかけは、個人的な経験と彼の高祖父の影響を受けています。彼の高祖父であるアルベール1世は、海洋学や環境保護に熱心で、モナコ海洋博物館を1910年に創設し、海洋生物学や海洋保護に関する研究を支援した方なのです。
モナコ大公アルベール1世の科学探検
アルベール1世は、海洋学の発展にも大きく貢献しました。彼自身が多くの科学探査に参加し、特に地中海や
Two years to save the world(世界を救う2年)
ロンドンのChatham Houseで、今年の春、国連気候変動事務局長のサイモン・スティール氏の「世界を救う2年」'Two years to save the world’と題した講演会を聞きました。少しタイムラグがあるのですが、記録としてここに残しておきます。
気候変動対策に関して、世界は否定から先延ばしへと変わり、科学を否定することで擁護されるのではなく、行動に起こすために「コストがかかりす
COP29の裏側 アゼルバイジャンの「未来のための気候投資基金」について
今年の11月にアゼルバイジャンで開催されるCOP29。2年連続で産油国での開催となるため、進捗に懐疑的な人もいるかもしれません。私の知人の中には、少々諦めモードの人もいます。しかし、一方で、産油国であるが故に実現しそうな提案も見えてきています。COP期間中の発表を目指して、準備会合で話し合いが行われている発展途上国への脱炭素投資基金を例に取って、その息遣いをお伝えしてみようと思います。
この発
Frieze London 2024まで1ヶ月余り。サステイナブルな未来へ。進化するアートフェア
Frieze Londonは、2003年に創設されて以来、コンテンポラリーアート界において世界的に重要な存在として成長を遂げてきました。当初はFrieze Magazineの延長として始まり、リージェント・パークでの小さなイベントだったものが、現在では国際的なギャラリーやアーティスト、コレクターが集う大規模なアートフェアに成長しました。さらに、姉妹イベントのFrieze Mastersも加わり、そ
もっとみる風力発電施設から発生する低周波音という課題
将来にわたり持続可能な社会をめざした再生可能エネルギーのビジネスが増えてきており、その一つが風力発電です。
音は、スペクトラム(連続体)を持っており、私たちの耳で感知できる範囲はその中のごく一部に過ぎません。現在、世界のいくつかの国では、音響スペクトラムの中でも特に低周波音、特に超低周波音が健康に与える影響について研究が進められています。これらは耳には聞こえませんが、身体に異常を引き起こす可能性
イェール大学、気候変動と生物多様性の危機に挑むサミットをNYで開催 — トム・ステイヤー氏とジョン・ケリー氏も参加
来月、イェール大学はニューヨーク市で4日間にわたる重要なサミットを開催し、気候変動と生物多様性の喪失という現代社会が直面する最も深刻な課題に対する大学の取り組みを紹介します。このサミットは、「Climate Week NYC」と国連総会の年次会合に合わせて開催され、イェール大学の「Yale Planetary Solutions(YPS)」を通じて、地球規模の問題に対し解決策を模索します。
Ya
ヨーロッパの繊維廃棄物問題:新たな法規制で持続可能性を目指す
欧州連合(EU)は、繊維廃棄物の問題に対する革新的なアプローチを打ち出しつつあります。これは、ファッション業界の高い生産量と低品質な商品による膨大な廃棄物を削減しようとする取り組みです。毎年、EU内で約1,260万トン、つまり一人当たり約12キログラムの繊維廃棄物が発生していますが、これまではその処理の費用を企業が負担することはありませんでした。
繊維廃棄物に対する「拡大生産者責任(EPR)」導
サウジアラビアの未来都市Neom
約1万年前から7千年前にかけて、サウジアラビアを含むアラビア半島の気候は、現在よりも湿潤で、サバンナや湖沼があったそうです。この時代は「緑のサウジアラビア」とも呼ばれ、当時のアラビア半島には豊かな動植物が生息していたと考えられています。古代の人々はこの地域で狩猟採集生活を営み、後には農耕や牧畜が行われるようになったそうです。アラビア半島が砂漠化し始めたのは約6千年前から4千年前の間で、気候変動によ
もっとみる地熱発電:世界の動向 (特にケニアとアメリカを中心に)
地熱発電は、地球が発する熱を利用したエネルギー源です。地球が発する熱は、地球上に均等に存在しているわけではなく、地熱発電には適している地域とそうでない地域があるのです。地球中心部の熱源は、プレートの境目に付近に多く表出しており、ホットスポットと呼ばれています。
地熱資源量が多い国のうち、アメリカ、インドネシア、日本、フィリピン、メキシコは全て環太平洋火山帯(Ring of Fire)に属していま
COP28でのカーボンクレジットに関する発表とタンザニアの取り組み
カーボンクレジットとは何か?
カーボンクレジットとは、二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガス(GHG)の排出を削減、除去、または吸収する活動に対して与えられる証書であり、企業や国が排出する温室効果ガスのオフセット(相殺)を行うために使用されます。1単位のカーボンクレジットは、1トンのCO2e(CO2換算)の削減を表し、その価値は市場で取引されます。また、削減分として利用されると、カーボンクレジッ
英国の気候変動対策:前政権とスターマー政権のアプローチの違い
はじめに
労働党への政権交代に伴い、英国の気候変動対策にはいくつかの変化が見られました。今回は、リシ・スナク前首相の気候変動対策に対する消極姿勢と、キア・スターマー新首相の積極的なアプローチを比較し、それぞれの政策の違いをご紹介いたします。また、過去の英国の気候変動対策の取り組みにも触れたいと思います。
リシ・スナク前首相の気候変動対策に対する消極姿勢
リシ・スナク前首相は、経済的な負担を
チャールズ国王のスピーチ
日本でも話題になり、きっとみなさんもよくご存知の気候変動の国際会議COP。私は縁あって2019年にマドリードで開催されたCOP25から参加をしています。参加されたことがある方にはわかるかもしれませんが、会場でまず初めに話題になるのは、いつから参加をしているかです。パリ協定のCOP21から参加をしている方も多くお目にかかりましたし、古い方だと、COP3、これは日本で開催された会で、京都議定書が有名な
もっとみるCOP28関連トピックス〜ファッション業界が取り組もうとしていること〜
COP28では、ファッション業界の関係者からいくつかの重要な発表があり、主に持続可能性の向上、温室効果ガス排出量の削減、環境への影響の軽減を目指す取り組みに焦点を当てていました。
それをお話しする前に、現在、ファッション業界が環境にどのような影響を及ぼしているのかを以下にまとめます。
ファッション業界が環境に与える影響
温室効果ガス排出量
ファッション産業は全世界のCO2排出量の約2-10
キャサリン妃とRHS チェルシーフラワーショー
花とガーデンの祭典、王立園芸協会(RHS)主催のチェルシーフラワーショー。2024年度は、5月21日から25日まで開催されます。100年以上の歴史をもつ、英国最古の世界的な園芸の祭典で、英国王室の皆様も初日に参加されたり、過去には、チャールズ国王やキャサリン妃も出展し特に人気が高まったと言われています。そして、会場となるロンドンのスローンスクエア駅近くにある、チェルシー王立病院・ロイアルホスピタル
もっとみる