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本のご紹介

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私が読んだ本の紹介📚と書評📝をやっていきます。 ⭐️で本の評価を示します。なかなか本を読む時間も取れませんので、要点・ポイント🅿️を抑えて読まずとも読書した知識を得たりや、読書した感…
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記事一覧

みだれ髪…情熱、官能、青春の美を詠う

みだれ髪…情熱、官能、青春の美を詠う

書評 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

歌人の与謝野晶子は、現在の大阪府堺市に三女として生まれました。宿院尋常小学校🎒を卒業すると、そのまま堺区堺女学校🏫(現在の大阪府立泉陽高等学校)に入学しますが、家政の授業量がカリキュラム全体の七割近くを占めていることに不満を持ち、補習科に通いますが中途で退学したと言われています。算術が得意で仕事の早い晶子には実家の和菓子商を担う事が期待されますが、読書遍歴の晶子は

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読書について…現代情報爆発社会💥への箴言

読書について…現代情報爆発社会💥への箴言

書評 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

ドイツの哲学者ショウペン・ハウエルの著です。本著📙は色褪せない、現代の情報化社会への普遍的な箴言と捉える事が出来ると思います。表題の『読書について』の他、『思索』、『著作と文体』の二本が収められています。 

現代はショウペン・ハウエルの時代と異なり書籍📖のみでは無く、テレビや新聞、特にインターネットの発達により個人が追いかけ得る能力以上の情報が社会に溢れており情

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台湾人と日本精神…二つの祖国 台湾と日本 その1

台湾人と日本精神…二つの祖国 台湾と日本 その1

書評⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

もう亡くなられましたが蔡焜燦氏の著による元日本人である台湾人の真情が余すところなく吐露された著書です。蔡焜燦氏は日本統治下🇯🇵の台湾に生まれ、日本教育を受けて育ち、先の戦時下の昭和20年、18歳で少年航空兵として岐阜陸軍航空整備学校奈良教育隊に入学します。そこで終戦を迎えられた後は、台湾に戻り体育教員として勤務された後に、実業家に転身され半導体デザイン会社を設立され

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コンビニ人間…多様性とか普通とか

コンビニ人間…多様性とか普通とか

書評⭐️⭐️⭐️⭐️

この物語の主人公は世間からは一風変わった目で見られるであろう36歳のコンビニ🏪アルバイトの女性が主人公です。彼女の目を通じて見える世界は、普段、我々が普通と考えている(と思われる)世界観や、価値観からは逸脱したものに映ります。しかし、そう言う彼女が社会で自分の生き方をどう見い出して行くか、それが一つのテーマになっている様に思います。

損得は別にして、現代社会で多様性と言

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最終戦争論…最終決戦戦争の果てに その1

最終戦争論…最終決戦戦争の果てに その1

書評⭐️⭐️⭐️⭐️💫

戦前の満州国樹立へと繋がる満州事変に深く関与した石原莞爾の著書です。公演をまとめて製本したもので公演内容と共に質疑応答が収められています。軍事思想家であった石原莞爾の思想が分かるもので、宗教への信仰によって信じられている最終戦争への彼の予感が、専門である軍事科学の観点から、具体的に考察されたものとなっています。本著では最終決戦戦争後の石原莞爾の世界の統一に関する考えも述

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太宰治 女生徒…戸惑い、迷い、明るさ

太宰治 女生徒…戸惑い、迷い、明るさ

書評⭐️⭐️⭐️⭐️

本書は太宰治の短篇を集めたもので、中でも本書のタイトルになっている女生徒をご紹介します。

主人公の少女👧は、女学校🏫?に通う女学生です。お父さんを去年(おそらく)に亡くし、お姉さんは北海道にお嫁に行って、今はお母さんと、ペットのとジャピィとカァと言う犬🐩二匹と暮らしています。その様な少女の、日々の生活を送っていく中での心のうちが本書のテーマとなっています。お父さんが

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著作権の窓から…身近に感じる著作権

著作権の窓から…身近に感じる著作権

書評⭐️⭐️⭐️⭐️

本書の著者である半田正夫先生は著作権法研究に四七年当たって来られた先生で、民法学の助手時代に「著作権の一元的構成」と言う論文を書いておられます。それから先生の著作権法の研究が始まりました。本著は全47篇の著作権法に関わるエッセイからなり、それほど難しい法律用語は用いられずに比較的に平易に書かれた著作権法の解説です。エッセイの中身も生活に身近な話題から取られており、すんなり入

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坂口安吾 その1 堕落論・続堕落論

坂口安吾 その1 堕落論・続堕落論

書評 ⭐️⭐️⭐️⭐️💫

坂口安吾のエッセイ集22篇からテーマ毎に選んだものを紹介したいと思います。先ずは堕落論と続堕落論です。

この堕落論及び続堕落論は先の対戦の戦中から戦後に渡る時代の過渡期に渡って書かれたもので、著者の戦争体験も含めて論旨が展開されています。

なかでも戦時下における国民道徳に触れて、文士が未亡人の恋愛を書くことを禁止されていたり(つまりは未亡人に使途の余生を送らせまい

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天皇と原爆…米国🇺🇸観の見直し その1

天皇と原爆…米国🇺🇸観の見直し その1

書評⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

ややセンセーショナルなタイトルで始まる保守論壇の大御所の西尾幹二先生の著です。先ずはマルクス主義史観の説明から入る本書は、例えば、日本の戦争時代の歴史を語る時も、17、18世紀から始まる西洋のアジア侵略の歴史を先に置き、日本と中国とヨーロッパの歴史をパラレルに比較させて見る必要性を説き、世界の現実の動きを見る事を抑えた自閉的で自足的な、偏頗(へんぱ)な歴史観を戒めます。

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痴人の愛…女の美に男は溺れ平伏する

痴人の愛…女の美に男は溺れ平伏する

書評 ⭐️⭐️⭐️⭐️💫

※ネタバレも含めますのでご注意下さい。

女の美しさそしてその魅力の前には男は平伏して頭を垂れるしかなす術が無いのだ。女の肉体から溢れる甘美な誘惑を前にして男はその抗いがたいエロティシズムに惚れて陶酔してしまうのだ。それは相まった男と女の関係性の一面であるだろう。

そんな上記の様な考えを体現して示した小説が谷崎潤一郎の本著であると考えています😌これはとある夫婦の奇

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反日種族主義…韓国🇰🇷発の反日反作用力

反日種族主義…韓国🇰🇷発の反日反作用力

書評 ⭐️⭐️⭐️⭐️

韓国🇰🇷文政権の日本に対する反日攻勢は、現在まで留まるところ無く繰り返されておりますが、コロナ禍により日本のメディアの関心そして国民の関心もそちらに移り、韓国の反日攻勢は仮初めにもなりを潜めたかに見えます。しかし、水面下では日本の輸出規制破棄を要求する為、またも日本🇯🇵との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)カード💳を持ち出しそうだとか。前回は米国🇺🇸にこっ

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ベルクソン哲学の遺言…ベルクソン哲学の入り口として

ベルクソン哲学の遺言…ベルクソン哲学の入り口として

書評 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

私はフランス🇫🇷の哲学者ベルクソンに傾倒してその著者のいくつかを熱心に読んだ一人です。今ではベルクソンも古典となってしまい、その著書に触れる人もいくばかりであろうか…と言ったところかもしれません。しかし、現代において改めてそれを掘り起こして読んでもらいたい哲学者の一人です。

ベルクソンはその生涯に渡って主要な四つの著書を書き上げます。「意識の直接与件に関する試練

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