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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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#仕事

打ち上げはスーパー銭湯で

打ち上げはスーパー銭湯で

打ち上げという単語が縁遠くなってひさしい。

そもそも大勢のパーティは得意じゃないので、ひとりで働くようになってからはそういう“職場の飲み会”のような場が減り、ほっとしていたはずだ。

だけど……、だけど。

あまりに「打ち上げ」ていないと、わたしのような人間にも「打ち上げ欲求」というようなものが大いにひそんでいることに気づく。気づいてしまう。

そんなわたしの横で夫が言う。「昨日は◯◯の打ち上げ

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違うけど、あこがれるひと

違うけど、あこがれるひと

なつかしい、ひとから連絡がきた。

メッセンジャーの履歴をみたら、その前のやりとりは5年前だった。

でも、彼女との出会いはさらに5年前、今から10年以上前にさかのぼる。

そもそも彼女は、わたしの「クライアント」だったのだ。

* * *

彼女とわたしが出会ったのは、わたしが22歳のとき。

新卒で入った小さなPR会社で、彼女のいる会社の担当になったからだった。

4月1日に入社して右も左もわ

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気負わず、平常運転でまいりましょう

気負わず、平常運転でまいりましょう

“1月7日、ついに待ちに待った平日! 気合いいれていくぞー”。

年末年始は義実家にどっぷりとお世話になってオフラインを存分に満喫したから、きりよく月曜日からは仕事しよう、あれもやろう、これもやろうと、頭の中にはやりたいことがダバダバとあふれてむずむずしていた。

そんなわたしの思いを知ってか知らずか、1月7日の朝、娘はまた熱を出す。

その瞬間、わたしの意気込みや予定なんてものは簡単に崩れさる。

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みかん農家になった友人のこと

みかん農家になった友人のこと

サラリーマンを辞め、突如みかん農家になった20代の友人から、「初めてのみかん」が届いた。

家族3人でダンボール箱を囲んでいそいそとあけてみると、箱いっぱいのみかんがずらりとあらわれた。

みかん好きの1歳娘は思わず、その上におおいかぶさる。次々とみかんを取り出し、横にいる夫に手渡してゆく。「うれしいねえ。ごはん終わったら食べようね」。そう声をかけると、ちっちゃな手を口に運んでパクパクと食べるまね

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「保育園行かせるのかわいそう」談義に思う、二項対立のモヤモヤ。

「保育園行かせるのかわいそう」談義に思う、二項対立のモヤモヤ。

twitterでよく、「小さいうちから保育園行かせるなんてかわいそう」「全然かわいそうじゃないよ、かわいそうって思うなんて前時代的」みたいな二項対立みたいになっているのをみかけるのだけれど、そのたびにモヤっとした違和感をいだく。

なんだろうね。

べつにどっちだっていいんだよ、大切なのはその親御さんが、ちゃんと自己肯定できていることで、自分を責めて苦しくならないことで、そのためにはどちらでも、信

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やりたい仕事だけやろうと決めたお話

やりたい仕事だけやろうと決めたお話

(※だらだら長いnoteですが、自分の脳内整理のために置いておきます)

すこし前の話だが、仕事用の名刺をリニューアルするにあたって、このnoteアカウントのURLを初めて記載した。

これはわたしにとってはけっこうな賭けというか、 ひそかな決意表明みたいなものだ。これまでわたしは、ぽこねんアカウントとリアルな自分をつなげることを意識的に避けつづけてきたのだから。

ただこのたび、育休を経て仕事

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やる気スイッチ、ある人もたぶんいる

やる気スイッチ、ある人もたぶんいる

やることはたくさんあるのに、どうしても気分がのらないときというのがある。

その日の朝なんてまさにその感じで、もうどうにもこうにもやる気が出なかった。

そういうと、「君ね、やる気を出そうと思うからいけないのさ、まず、始めることだよ。とりあえず気分がどうとか言ってないで始めてしまえば、仕事は進むんだから」と、えらいひとたちが言っていたなと思い出し、自分もまあそれも一理あると思って、とりあえずPCに

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一歩手前で、少し休もう。

一歩手前で、少し休もう。

季節の変わり目、なんだかちょっと、からだがバランスを崩しているみたい。そんなひとも多いだろうか。

まさにいま、自分がそんな感じである。

30度超えの日々が続いていたのに、先週から雨が続いて気温が下がり、さらにはエアコンで除湿をかけた室内にいてからだが冷えてしまったらしい。

食欲はないし、おなかはくだすし、夜はなかなか眠れない。明け方やっと眠れたと思ったらすぐ朝がきて、睡眠不足でからだがだるい

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母であり妻であり私である自分のこと

母であり妻であり私である自分のこと

昨夜、2年以上ぶりに、ひとりで缶ビールを開けた。

「プシュッッッ!」

その音と感触が、予想していたよりもさらになつかしくて、ああほんとうに、長らくここから遠ざかっていたんだな、と気づく。

妊娠、授乳期間はアルコールを断っていたから、お酒を飲むようになったこと自体、ここ2、3ヵ月の話だ。ひとりでプシュッ、なんていつぶりか。

あえてグラスには注がず、冷たい缶に直接口をつけた。

ごく、ごく、ご

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目的なんて、なくっても。

目的なんて、なくっても。

20代なかばのころ、「会社をやめて海外へ行く」というと、だいたい聞かれることは決まっていた。

そのひとつが、「目的は?」という質問。

会社をやめるなんて、それで海外へいくなんて、そんな大きな決断をするからには、きっと何かその先に、成し遂げたい大きな目的があるのでしょう?MBAとかとるの? 将来どうするの?

そう言いたげな視線をいくつも受けとめてきた。ダイレクトにそう言われたこともある。

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暑いと人は、考えごとができないようにできている

暑いと人は、考えごとができないようにできている

暑い。

ほんとうは他のことを書こうと思っていたのに、暑すぎてもはやこれしか書けない。

こちら、予報では今日の最高気温32度だという。

まだ6月だなんてわたしは信じない、信じないぞ。

* * *

暑くなると、考えごとができない。

これはわたしのなかでけっこう確信をもっている話で、noteをはじめたばかりのころ、こんなことを書いた(もう2年半前か…!なつかしい)。

このnoteにも書いて

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見える日常、見えない日常

見える日常、見えない日常

ふだん制服姿を見慣れているひとの私服姿に偶然でくわして、どきっ!としたことはないだろうか?

昨日の夕方、いつもお世話になっている病児デイケアに娘を迎えに行った。

特に症状に変化がなければわりとスムーズに帰れるのだが、その日はいろいろと先生から説明があり、帰りが遅くなった。

スタッフ用の出口を案内され、薬局で薬をうけとり、階段をおりる。

私服姿の彼女を見かけたのは、そのときだった。

* *

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フリーランス母の葛藤

「まぁ小さい子がいると、まず『予定どおり』になんて進まないから」。

耳ではよく聞いていたはずの、その一節。

4月に仕事を再開してからはや2ヶ月、身をもって、痛いほど実感中である。

* * *

気管支炎から肺炎、無気肺という診断に発展し、1週間ほどおやすみしていた保育園。

長引いていた咳も、毎日の吸入ケアでようやくなくなり、かかりつけ医からもお墨付きを得て、ひさしぶりの登園。本人もにこにこ

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