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一歩手前で、少し休もう。

季節の変わり目、なんだかちょっと、からだがバランスを崩しているみたい。そんなひとも多いだろうか。

まさにいま、自分がそんな感じである。

30度超えの日々が続いていたのに、先週から雨が続いて気温が下がり、さらにはエアコンで除湿をかけた室内にいてからだが冷えてしまったらしい。

食欲はないし、おなかはくだすし、夜はなかなか眠れない。明け方やっと眠れたと思ったらすぐ朝がきて、睡眠不足でからだがだるい。ループ。

うーん自律神経が乱れているなぁ、なんてわかったように思いをめぐらせる。

* * *

そんなとき、なんとか早い段階で自覚的に「休む」ということをしたい。

“したい”と書いているのは、やはりなかなかそうできない状況も多い、とは思うからだ。

仕事が立て込んでいてそれどころじゃないんです、という方もいれば、育児で赤ちゃんのお世話(24時間体制勤務)をしていてそれどころじゃない!という方もいるだろう。状況は違えど、そうやすやすと「ほいっ!」と休めるものではない。

……そうなのだ。そうなのだけれど。

そこをなんとか、最低限のことをやりくりして、「ほいっ!」と休んでしまおうぜと言いたい。

倒れたり寝込んだりする「前」に、その一歩手前で休むことが、もっともっと普通になれば、と思う。回復までの時間は、そのほうが早いからだ。

* * *

かくいうわたしも、去年の夏は風邪をこじらせ、自分が高熱を出しても娘の授乳やお風呂の世話などを遂行した結果、肺炎になってえらく長いこと苦しめられるはめになった。

えらそうなことは、言えない。

人間、目の前に締切の迫った仕事があったり、目の前に大声で泣き叫ぶ我が子がいると、その場では火事場のなんとやらで、多少の無理ができてしまうものだ。

そして「咳がつらいけど寝込んでいるわけじゃないし」とか、「ちょっと疲れているけどなんとか大丈夫」とか言いながら、無理をしてしまうひとが多い。

体力に自身のある方ならば、それでも問題ないだろう。けれどそうでなければ「無理をしている」のは事実なので、そのつけはいずれ後で回ってくる。

コップの水があふれるように、限界がくると、一気に高熱を出したり、大きな病気になったりと、からだにあらわれてしまうことが多いのだ。

* * *

これはわたしの感覚ベースの話だけれど、体感として日本人はやっぱり、ほかの国のひとに比べて休むことが下手なのだろうなぁ、と思う。自分も含めて。

1年に数ヵ月はロングバケーションをとって旅行する、なんて長期スパンの話もそうだし、日々の、1日スパンでの話でもそうだ。

昔、こんなnoteを書いた。夫があるとき導入していた“自宅で過ごす昼休憩”の話と、そこから思い出した、外国のステイ先での仕事休憩の話。

当時ステイさせてもらっていたある農場では、朝8時半くらいから2時間半ほど働き、午前10時半頃には必ず、「モーニングティー」なる時間があった。

時間自体は15分ほどだったと思うのだが、そこでお茶とお菓子を囲みながらしっかりと皆で「休む」時間をとるのだ。そしてその時間が必ずあることで、ダラダラと作業を続けるよりも作業の効率があがったと感じた。

「よく休むことは、よく働くことだよ」

このエッセイのタイトルにも置いたこの言葉は、確かファームステイ中、どこかのホストマザーかホストファザーがくれた言葉だったと思う。

ちなみに、ここでいう「よく」は頻度が高いの意味ではなくて、「じょうずに」の意味。

上手に休むことは、上手に働くこと、だ。

休むときは、しっかりと休む。疲れきったから休むのではなくて、疲れすぎないうちに、次の作業に向けて上手に休む。

この教えは、「モーニンティ!」の掛け声とともに、当時の学びとしてしかと心に刻まれている。
“そう、いろいろ立て込んでいるときこそ、パンクする前に、「よく休む」ことが大切だし、必要だ。”

このnoteでもそう書いているけれど、年を重ねて以前ほど無理がきかないからだになってきて、あらためて、当時教わったことを肝に銘じる日々である。

* * *

「このくらいで簡単に休むわけにはいかない」。

そんなことを思う方も多いかもしれない。わたしもそう思ってきた節があるし、いまでもそう思ってしまうときもある。

でも最近は、以前よりは選択肢を増やせるようになったと思う。

たしかにほんとうにやむを得ないという状況は「ある」と思うけれど、ほんとうは「ごくごく一部」で、ほかの大半のことは、調整がきくことなのかもしれない、と思うようになったのだ。

ただそれには「他のひとやサービスに頼る」ことが前提となる。逆にいえば、「他のひとやサービスに頼る」ことを前提にすれば、「休む」ことを予定にいれたり、捻出できたりするのである。

会社員の方でも、ちょっと調子が出ないなぁという日は、少しやりくりをして半休にしてみる、早退してリフレッシュしてみる。どこか遠くへ行く予定がなくても、有給や代休をとってみる。

なにか病気になってから、だけではなくて、そんなふうに一歩手前で自覚的に「休む」ことを取り入れていくのが、もっともっと、普通のことになったらいいなぁと思う。

それは既婚未婚とか、育児中か否かとかそういうことにとらわれずに、あらゆる立場の人において。

上手に休む、ことは、上手にはたらくためだものね。そんな認識が、もっと浸透したらいいのになと思う。

* * *

さぁ、今日はどうしようか。

とりあえず、あたたかいお風呂でもいれようか。

最近はシャワーですませることばかりだったし、完全に清潔のためだけの入浴で、リラックスタイムとしての機能はほとんどなかった。娘と入ればなおさら、任務としての入浴で気が張って、リラックスどころではない。

ぬるめのおふろにゆったり使って、しっかり汗をかいて。

深呼吸して、ちょっと横になって、まずはからだをリセットしたい。考えごとはそれからだ。

明日からの日常を、いつもどおり過ごせるように。今日やれば5倍の時間がかかってしまうであろう作業を、明日にはいつものペースで進められるように。今日無理をして、明日、倒れていることがないように。

一歩手前で、少し休もう。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。