NATSUKO

アートとヨーロッパ一人旅が好きな社会人芸大生。アートライティングを勉強中です。アートに…

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アートとヨーロッパ一人旅が好きな社会人芸大生。アートライティングを勉強中です。アートについて書くときは、拙くても、自分の視点を提示することを心がけたい。そういう見方もあるね、と受け取ってもらえたら、それは私にとって何よりのプレゼント!そんな素敵な連鎖が生まれますように……。

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固定された記事

自己紹介|社会人芸大生|2022年8月 note始めました。

はじめまして、NATSUKOです。 私は、アートについて書くことを仕事にしたいと思っています。そのせいでしょうか。最近やたらと「note」の文字が目に留まるようになりまし…

NATSUKO
2年前
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「世界のオザワ」が遺してくれた最後のオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』

2024年3月23日、小澤征爾音楽塾のオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』を東京文化会館で鑑賞しました。小澤征爾氏が音楽監督を務めた最後のオペラです。 開演に先立ち、献…

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3か月前
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水面のゆらぎ/抽象画の兆し〜展覧会「モネ 連作の情景」@上野の森美術館

2024年に入って初めて訪れた展覧会が、「モネ 連作の情景」です。 会場の上野の森美術館はかなり混雑していました。さすがモネ!大人気ですね。 第1回印象派展(1874年…

NATSUKO
6か月前
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アート | されど光〜名和晃平「PixCell」シリーズに見た光の功罪

モノを見るには光が必要です。 美術鑑賞の場においても、照明は大事です。作品に光が当たっていればいい、というわけにはいきません。時に光は作品本来の姿を隠すことが…

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7か月前
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記録・技術・アート 〜 展覧会「植物と歩く」@練馬区立美術館

8月6日、「練馬区立美術館コレクション+ 植物と歩く」(7/2~8/25 練馬区立美術館)を観に行きました。 本展は、練馬区立美術館の所蔵作品を軸にした企画展です。大学生は3…

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10か月前
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ディオール展でコラボ!繊細でラグジュアリーな切り絵アート~展覧会「柴田あゆみ かみがみの森」より

切り絵アーティスト・柴田あゆみさんをご存知でしょうか。 「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」展(東京都現代美術館)のB1展示室で、モネが愛したシヴェルニ…

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1年前
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展覧会「ルーヴル美術館展」@国立新美術館〜太陽王は魔女アルミ―ダの恋物語がお好き♡

3月3日、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(国立新美術館)に行きました。 夜間開館を利用して鑑賞しました。会期がはじまったばかりで、お客さんは少なめ。おかげで作品が…

NATSUKO
1年前
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展覧会「エゴン・シーレ展」@東京都美術館✖「肉体と精神、タブー」@mumok(ウィーン)から見えてきたこと

2月4日、東京都美術館(以下、都美)で開催中の「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」を観に行きました。 本展はエゴン・シーレの個展ではあ…

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1年前
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キモかっこいい!?最高峰のフラメンコ|スペインのカリスマ=ヘスス・カルモナ《THE GAME》を観て

1月27日、世界的なフラメンコダンサー、ヘスス・カルモナの舞台《THE GAME》(渋谷区文化総合センター大和田)を観てきました! NYタイムズが「フラメンコ界の鬼才」と絶…

NATSUKO
1年前
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もの派がもつ日本的なもの/変貌する余白~展覧会「李禹煥」@国立新美術館を起点に考えたこと

11月5日、終了間近の「李禹煥」展(8/10〜11/7国立新美術館)へ行きました。 「ものともの」「ものと人」の関係性を問う「もの派」を牽引し理論化した、李禹煥の回顧展で…

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1年前
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展覧会┃ブーダンを光らせた「自然と人のダイアローグ」@国立西洋美術館

国立西洋美術館(以下、西美)のリニューアルオープンを記念して開催中の「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」は、ドイツのフォルクヴ…

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1年前
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「ゲルハルト・リヒター展」 ~キーワードとともに語ってみました。

2022年7月初頭、「ゲルハルト・リヒター展」に行きました。 noteを始めたのが今月に入ってから。やむなく、出遅れた感があるかもしれませんが、私なりのキーワードを交え…

NATSUKO
1年前
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パパイオアヌー《TRANSVERSE ORIENTATION》〜美と驚きに満ちた舞台芸術を体感して〜

2022年7月30日、ディミトリス・パパイオアヌーの舞台《TRANSVERSE ORIENTATION》(彩の国さいたま芸術劇場)に行ってきました! パパイオアヌーは、アテネ五輪の開閉会式…

NATSUKO
2年前
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自己紹介|社会人芸大生|2022年8月 note始めました。

自己紹介|社会人芸大生|2022年8月 note始めました。

はじめまして、NATSUKOです。

私は、アートについて書くことを仕事にしたいと思っています。そのせいでしょうか。最近やたらと「note」の文字が目に留まるようになりました。
遅まきながら、これはnoteを始めろという啓示かも?と思い、早速、プロフィールを書いて登録!

主に、次の2テーマに関する記事を書いていきたいと思っています。

① アートの鑑賞経験を言語化すること

② 旅先で出会っ

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「世界のオザワ」が遺してくれた最後のオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』

「世界のオザワ」が遺してくれた最後のオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』

2024年3月23日、小澤征爾音楽塾のオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』を東京文化会館で鑑賞しました。小澤征爾氏が音楽監督を務めた最後のオペラです。


開演に先立ち、献奏が行われました。曲はモーツァルト「ティヴェルティメント ニ長調 K.136 第2楽章」。おだやかな弦楽四重奏が心に染みました。

オーケストラの構成員は、小澤氏の下にオーディションを受けて集った若手音楽家(塾生)たち。献奏前の

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水面のゆらぎ/抽象画の兆し〜展覧会「モネ 連作の情景」@上野の森美術館

水面のゆらぎ/抽象画の兆し〜展覧会「モネ 連作の情景」@上野の森美術館

2024年に入って初めて訪れた展覧会が、「モネ 連作の情景」です。

会場の上野の森美術館はかなり混雑していました。さすがモネ!大人気ですね。

第1回印象派展(1874年)から150年の節目を機に催された本展は、1890年頃(モネ50歳頃)に編み出された「連作」に焦点を当てつつ、画業をたどるという内容。

私が特に注目したのは、「印象派前夜」の時期にオランダで描かれた作品と、水面の表現でした

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アート | されど光〜名和晃平「PixCell」シリーズに見た光の功罪

アート | されど光〜名和晃平「PixCell」シリーズに見た光の功罪

モノを見るには光が必要です。

美術鑑賞の場においても、照明は大事です。作品に光が当たっていればいい、というわけにはいきません。時に光は作品本来の姿を隠すことがあるからです。
その極端なケースを目の当たりにしました。彫刻家・名和晃平の「PixCell」シリーズを鑑賞した時のことです。

まずは、角川武蔵野ミュージアムで開催された「タグコレ 現代アートはわからんね」(2023年2/4〜 5/7)

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記録・技術・アート 〜 展覧会「植物と歩く」@練馬区立美術館

記録・技術・アート 〜 展覧会「植物と歩く」@練馬区立美術館

8月6日、「練馬区立美術館コレクション+ 植物と歩く」(7/2~8/25 練馬区立美術館)を観に行きました。
本展は、練馬区立美術館の所蔵作品を軸にした企画展です。大学生は300円!ありがたい!

お目当ては、大好きな須田悦弘の作品でした。練馬区民ではない須田の作品をここが所蔵しているとは、意外です。
展示ケースに入った作品がありましたが、思いがけない場所にひょこっとあるその佇まいと、あたかも宝

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ディオール展でコラボ!繊細でラグジュアリーな切り絵アート~展覧会「柴田あゆみ かみがみの森」より

ディオール展でコラボ!繊細でラグジュアリーな切り絵アート~展覧会「柴田あゆみ かみがみの森」より

切り絵アーティスト・柴田あゆみさんをご存知でしょうか。

「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」展(東京都現代美術館)のB1展示室で、モネが愛したシヴェルニーの庭を連想させる美的空間を「しらかみ」だけで創出したのが、柴田あゆみです。

草木が豊かに茂る川辺に、色とりどりに咲き誇るロマンティックなドレスたち。そこは春爛漫、かぐわしさを感じる空間でした。
使われている紙自体が薄くて白いので、密

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展覧会「ルーヴル美術館展」@国立新美術館〜太陽王は魔女アルミ―ダの恋物語がお好き♡

展覧会「ルーヴル美術館展」@国立新美術館〜太陽王は魔女アルミ―ダの恋物語がお好き♡

3月3日、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(国立新美術館)に行きました。
夜間開館を利用して鑑賞しました。会期がはじまったばかりで、お客さんは少なめ。おかげで作品が他の方々にさえぎられることがほとんどなく、ストレスのない状態で観られました。

ルーヴル美術館のコレクションは、太陽王ルイ14世(在位1643年−1715年)の美術コレクションを礎にしています。
絶対王政の全盛期を築いたルイ14世は、国

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展覧会「エゴン・シーレ展」@東京都美術館✖「肉体と精神、タブー」@mumok(ウィーン)から見えてきたこと

展覧会「エゴン・シーレ展」@東京都美術館✖「肉体と精神、タブー」@mumok(ウィーン)から見えてきたこと

2月4日、東京都美術館(以下、都美)で開催中の「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」を観に行きました。

本展はエゴン・シーレの個展ではありません。ウィーンにあるレオポルド美術館の所蔵品を中心に、シーレとその時代、すなわち19世紀末から20世紀初頭のウィーン・モダニズムを、シーレを中心に概観するものです。

会場は1章~14章に分けられています。この多さは、最近観た展覧会

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キモかっこいい!?最高峰のフラメンコ|スペインのカリスマ=ヘスス・カルモナ《THE GAME》を観て

キモかっこいい!?最高峰のフラメンコ|スペインのカリスマ=ヘスス・カルモナ《THE GAME》を観て

1月27日、世界的なフラメンコダンサー、ヘスス・カルモナの舞台《THE GAME》(渋谷区文化総合センター大和田)を観てきました!

NYタイムズが「フラメンコ界の鬼才」と絶賛した、カリスマダンサーの来日公演です。せっかくの機会なので、S席を希望したのですが、運営に関わる友人が1階3列目のA席を勧めてくれました。座席表を見ると、2列~5列がA席でした。良い席なのにA席??

すると友人いわく、1階

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もの派がもつ日本的なもの/変貌する余白~展覧会「李禹煥」@国立新美術館を起点に考えたこと

もの派がもつ日本的なもの/変貌する余白~展覧会「李禹煥」@国立新美術館を起点に考えたこと

11月5日、終了間近の「李禹煥」展(8/10〜11/7国立新美術館)へ行きました。
「ものともの」「ものと人」の関係性を問う「もの派」を牽引し理論化した、李禹煥の回顧展です。平面作品と立体作品(インスタレーション)の両方を作り続けた李の仕事を見渡せる内容となっていました。

この展覧会を起点にして、「もの派」と李作品について、平面作品を中心につらつら考えました。時間は空きましたが、備忘録として

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展覧会┃ブーダンを光らせた「自然と人のダイアローグ」@国立西洋美術館

展覧会┃ブーダンを光らせた「自然と人のダイアローグ」@国立西洋美術館

国立西洋美術館(以下、西美)のリニューアルオープンを記念して開催中の「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」は、ドイツのフォルクヴァング美術館とのコラボ企画です。両館の収蔵作品で構成されています。

展覧会名を見ると明らかですが、フォルクヴァング美術館の名前を前面に出していません。海外から持ってきた作品群を人寄せパンダにしない、どこか毅然とした姿勢が感じられ、好感を

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「ゲルハルト・リヒター展」 ~キーワードとともに語ってみました。

「ゲルハルト・リヒター展」 ~キーワードとともに語ってみました。

2022年7月初頭、「ゲルハルト・リヒター展」に行きました。

noteを始めたのが今月に入ってから。やむなく、出遅れた感があるかもしれませんが、私なりのキーワードを交えて、感想などをシェアさせていただきます。

本展は、巨匠リヒターのおそらく生前最後となるだろう回顧展です。自ずと気合が入ります。予習をして行く人も周りにいましたが、私はあえて不勉強のまま臨みました。事前にプロの論考を読むと、作

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パパイオアヌー《TRANSVERSE ORIENTATION》〜美と驚きに満ちた舞台芸術を体感して〜

パパイオアヌー《TRANSVERSE ORIENTATION》〜美と驚きに満ちた舞台芸術を体感して〜

2022年7月30日、ディミトリス・パパイオアヌーの舞台《TRANSVERSE ORIENTATION》(彩の国さいたま芸術劇場)に行ってきました!

パパイオアヌーは、アテネ五輪の開閉会式を演出したことで知られる、舞台芸術の世界的アーティスト。3年ぶりの来日公演です。

「TRANSVERSE ORIENTATION」とは、蛾などの昆虫がもつ、月光をたよりにして飛ぶ方向を定める習性を指すそう

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