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キモかっこいい!?最高峰のフラメンコ|スペインのカリスマ=ヘスス・カルモナ《THE GAME》を観て

1月27日、世界的なフラメンコダンサー、ヘスス・カルモナの舞台《THE GAME》(渋谷区文化総合センター大和田)を観てきました!

NYタイムズが「フラメンコ界の鬼才」と絶賛した、カリスマダンサーの来日公演です。せっかくの機会なので、S席を希望したのですが、運営に関わる友人が1階3列目のA席を勧めてくれました。座席表を見ると、2列~5列がA席でした。良い席なのにA席??


すると友人いわく、1階前方の観客席は段差がなく、ダンサーの足元が見づらい時があるため、A席にしたとのこと。足元がよく見えることは、それだけ大事なポイントなのですね。フラメンコならではかもしれません。
 
そして舞台が始まって、納得しました!
ヘススの踊りは、目を見開いてしまうほど迫力があり、圧倒的な魅力を放っていました。動画をはるかに上回っていました。とりわけ猛烈な速さのステップは圧巻で、同じ位置で足を踏み鳴らし続けた時、脚が二重に見えた瞬間があったんです!(一瞬「レレレのおじさん」…古いっ…を思い出しました笑。)
友人によれば、ヘススは身体能力の高さが並外れていて、その超人的ともいえる動きに、称賛の意を込めてですが、「キモかっこいい」という声もしばしば聞かれるのだとか。
こんなにすごい踊りなら、フラメンコファンは足元まで絶対見たいはず。上述の席がA席に設定された理由がわかる気がしました。
 


改めて、ヘスス・カルモナとは……。
スペイン・バルセロナ出身。驚異的な身体能力と卓越したダンステクニック、洗練された華やかさが特徴の世界的なフラメンコダンサーです。
スペイン舞踊の最高峰であるスペイン国立バレエ団のファーストソリストとして活躍した後、自身のカンパニーを立ち上げ、ダンサーおよび振付師として作品を発表し続けています。フラメンコはもとより、バレエ、コンテンポラリーダンス、古典舞踊、民族舞踊の要素を自在に操り、独自の世界を創り上げています。
ラテンUKアワード(2018年)、スペイン国家舞踊賞(2020年)を受賞。さらに「バレエ界のオスカー」と呼ばれる国際的バレエ賞、ブノワ賞(2021年)も受賞しています。(以上、公演チラシより。)
実力の高さは折り紙付き。カリスマと称されるのもうなずけます。
 
ちなみに、私が初めて彼の舞踊を観たのは、友人が2年前に教えてくれたこの動画 ↓ です。何度も視聴しました。プラド美術館を舞台にしていて、素敵なんですよ〜!


で、これに出ているダンサーの一人(上半身裸の男性)がヘススだと知り、《THE GAME》に行ってみようと思ったわけです。
……そう、友人から《THE GAME》を紹介されるまで、私はヘスス・カルモナの名前すら知らなかったのです(苦笑)。
 
実は、フラメンコを生で鑑賞するのはうん十年ぶり。しかも、スペイン料理店で一度観たきりです(汗)。
そんな私は、ヘススの舞踊を他のダンサーのそれと比較することができません。ほとんど予備知識なく舞踊の一種として観たわけですが、それでも、素晴らしいものはやっぱり素晴らしい!食い入るように見入ってしまいました。
もしかしたら、今回のヘススの踊りが、私にとってフラメンコを観るときの基準になってしまうのかも……。
 
 この舞台の出演者は、ヘススの他にヴォーカルとギター奏者がいました。3人の衣装は地味で、普段着に近いものでした。
舞台上に置かれたのは、何の変哲もない真四角なテーブル3台と椅子が3脚。照明が作り出す光と影がスタイリッシュな印象でしたが、舞台装飾自体はモノトーンで実にシンプルでした。
でも、それで十分でした。3人に存在感があったし、ヘススの舞踊を中心とするパフォーマンスが素晴らしくて、飾り立てる必要性が見当たらなかったのです。
 
3人がいればそれでよい。
 
ギターがなくても構わないとさえ思われました。(実際、終盤はギターなしで進行しました。)
ヘススが踊るときに鳴らす指の音、そして、なにより3人の手拍子が美しく心地良かったからです。寄り添うような優しい空気をはらんだ音。急かすような勢いがある音。温もりを含みつついろんな表情を出せる、手が生み出す音の豊かさに魅了されました。手ばかりか、胸やお腹もたたいていましたっけ(笑)。また、テーブルを太鼓がわりにたたくシーンもありました。なんでも楽器にして楽しんでしまう柔軟性やおおらかさも魅力的でした。
 
歌、手拍子、ヘススの踊り、指を鳴らす音に足を踏む音……。
 
身体性が強く感じられるパフォーマンスに、宗教性は見られぬものの、舞踊の根源的なありようを見た気がしました。
 
3人がいればそれで十分。人がいればアートは生まれる。


……最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




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