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【展覧会レポ】小山登美夫ギャラリー「菅木志雄<あるというものはなく、ないというものもない>」

【約2,500文字、写真約15枚】
六本木にあるcomplex665内の小山登美夫ギャラリー「菅木志雄<あるというものはなく、ないというものもない>」を鑑賞しました。その感想を書きます。

※本展覧会はすでに終了しています。

【この投稿で伝えたいこと】
村上隆や奈良美智を有名にした小山登美夫ギャラリー、❷菅木志雄の作品は面白い、❸「ギャラリー」の知識が少し深まった、❹六本木に来た際は、是非complex665に行こう(無料)!

展覧会名:菅木志雄「あるというものはなく、ないというものもない」
場所:小山登美夫ギャラリー
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★☆☆☆☆
会期:2024.4.27 [Sat.] - 6.8 [Sat.]
休館日:日月祝
開館時間: 11:00−19:00
住所:東京都港区六本木6丁目5−24 complex665 2階
アクセス:六本木駅から徒歩で約3分
入場料(一般):無料
事前予約:ー
展覧所要時間:約20分
展覧撮影:全て可能
URL:http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/kishiosuga2024/ 


▶︎訪問のきっかけ

シュウゴアーツで森村泰昌の展覧会を見た後に寄りました。

▶︎菅木志雄「あるというものはなく、ないというものもない」感想

《素空》

菅は弊廊において2015年から毎年精力的に新作を発表しつづけており、今回実に9回目の開催となります。(略)菅は、木、石、金属、ロープなどのありふれたものを時に融和、時に対峙させながら配置し作品として表します。それはものを単独で存在させるのではなく、「もの」と「場」、「もの」と「もの」が相互に依存し合う「連関性」 や「差異」、「複雑性」を 表わす事で、その「もの」ならではの存在性を最大限に引き出しており、見たことのない新しい景色、状況を鑑賞者に提示してきました。

公式サイトより

会場内には概念的な作品が並びます。

《散境間》
《深縁》
中央《天間》

すごく「もの派」的な作風だと感じました。実際に、菅 木志雄すが きしおは60年〜70年代に「もの派」の主要メンバーとして活動後、50年以上にわたり独自の作品を制作しているそうです。

最近鑑賞したカール・アンドレに通じるような、来場者に感じ方を丸投げするスタイルは私の好みでした。東京都現代美術館MOTが好きそうな作品群だと思いました(実際、MOTは菅木志雄の作品を14点収蔵)。

向きがバラバラですが、何となく統一感があります

地面に置かれたビニール袋の作品が気に入りました。まるで「平成の空気缶」のような印象をもちました。

 平成の空気缶(画像引用

”『ものは、あるようにある』。存在をあるがままに認めること、つたなくとも自分で語ることが大事だと思う。それはその人がどう生きるか、ということだから”

菅木志雄のコトバ

規模的に10分くらいで見終わると思っていました。しかし、意外とゆっくり20分くらい見てしまっていました。

《偏無間》
《端縁立困》
保管する時、右下の部分を折りそうで怖い
商談室にも作品が掛けてありました
時計っぽい
英語を話せる日本人ガイドが、外国人を連れて来場していました

作品にタイトルやキャプションなどの掲示は一切ありませんでした。これはシュウゴアーツも同様でした。紙の作品リストは受付で配布していました。

▶︎小山登美夫ギャラリー六本木とは

ギャラリーの入り口

1996年、江東区佐賀町に小山登美夫ギャラリーが開廊。2016年より「小山登美夫ギャラリー六本木」に拠点を移し、2022年、天王洲に「小山登美夫ギャラリー天王洲」をオープン。現在、合計2拠点あります。小山登美夫ギャラリーは、かつて村上隆や奈良美智を世界に紹介したことでも有名です。

トム・サックスの評価が途上であったときも、2000年に個展を開催しています。現在は、菅木志雄、杉戸洋、蜷川実花、リチャード・タトルなどのアーティストに加え、陶芸アーティストも紹介しているそうです。

今回の菅木志雄の展覧会は、小山登美夫ギャラリーで9回目の開催。ギャラリーでは懇意のアーティストがそれぞれおり、そこで個展を開いて作品を紹介するシステムがあるのですね。

”アーティストがつくった変なものを買いたいと思っています。変なもの、という表現だと語弊があるかもしれませんが、「こんなものをつくって本当に大丈夫なのか?」と思わせる作品はおもしろいですよね”

小山登美夫のインタビューより

過去に私は、小山登美夫の著書『現代アートビジネス』を読みました(2017年読了)。日本における現代アート観は、保守的、閉鎖的、権威的であることがよく理解できた記憶があります。

”政治的な想像力が強い作品などは、非常におもしろいと思うのだけど、そういう作品を僕はリアリティを持って扱えません。だから、うちは政治性が強いものは扱っていないんです。”

小山登美夫のインタビューより

内装設計を担当したのは、ムトカ建築事務所。小さなギャラリーですが、安らぎやインスピレーションを感じる内装でした。

入り口にレンガにこだわりを感じる

ギャラリーの入場料は無料。展覧会で利益は出ないため、どのようなビジネスモデルなのか気になりました。今回の菅木志雄の個展で「この作品はいくらですか?」とレセプションで聞く人もいるのでしょう。

継続的に個展を開催することで、アーティストやギャラリストを呼び込む循環を作り、作品を売買・レンタルすることで運営しているのかな。

私はいつも展覧会を探す場合、「アートスケープ」「アートアジェンダ」「美術展ナビ」を使うことが多かったです。しかし、これらで検索しても、小山登美夫ギャラリーはヒットしませんでした。「美術手帖」の展覧会検索が最も網羅性があるんですかね。

奥の展示室からの風景

▶︎まとめ

いかがだったでしょうか?村上隆や奈良美智などを有名にした小山登美夫ギャラリーへ訪問することができて良かったです。「ギャラリー」についての知識も少し深まりました。私は菅木志雄について知りませんでしたが、ギャラリーの無機質ながらどこか暖かみがある雰囲気と作品がマッチしていることに加え、作品自体にも面白みを感じました。六本木に来た際complex665にサクッと寄ると面白い作品に出会えるのでおすすめです。

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