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【展覧会レポ】シュウゴアーツ「森村泰昌 楽しい五重人格」
【約3,700文字、写真約30枚】
六本木にあるcomplex665内のシュウゴアーツで「森村泰昌 楽しい五重人格」を鑑賞しました。その感想を書きます。
※本展覧会はすでに終了しています。
【この投稿で伝えたいこと】
❶六本木に来た際、complex665はぜひ寄っておくべきスポット、❷シュウゴアーツでは、森村泰昌の最新作品をコンパクトに鑑賞できる(無料!)、❸どの作品も一石二鳥の面白さがある、❹美術館が好きな人はギャラリー巡りもおすすめしたい。
展覧会名:森村泰昌 楽しい五重人格
場所:シュウゴアーツ
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★☆☆☆☆
会期:2024.4.19 Fri - 6.1 Sat
休館日:日月祝
開館時間: 11:00 – 18:00
住所:東京都港区六本木6丁目5−24 complex665 2階
アクセス:六本木駅から徒歩で約3分
入場料(一般):無料
事前予約:ー
展覧所要時間:約20分
展覧撮影:全て可能
URL:https://shugoarts.com/news/71005/
▶︎訪問のきっかけ
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訪問のきっかけは、1)森村泰昌に興味があった、2)六本木に「complex665」があることは知っていましたが、行ったことがなかったためです。
▶︎アクセス
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3つのギャラリーが入る「complex665」は六本木駅から徒歩約5分。場所が少し分かりづらいです。まずは「ピラミデビル」という飲食店やギャラリーが入る施設へ向かいます。その横に一本路地があり、その先に行くと「complex665」があります。
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私はこの通りを何十回も歩いてきましたが、その近くに「complex665」があると、初めて知りました。通りから見えづらく、一般の人は入らない路地にあるため、目的をもって訪問する人しかいないと思います。
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住所:東京都港区六本木六丁目5番24号
▶︎complex665とは
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complex665は2016年10月オープン。六本木の文化都心計画を推進する森ビルが管理する、3階建てのギャラリーコンプレックスです。3つの現代アートギャラリーと、1つのデザイン家具のショールームが入っています。
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なぜ「665」なのか、調べても分かりませんでした。住所でも電話番号でも面積でもないし…、わたし、気になります!
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くるくるしたロゴは、田中義久によるもの。「665という架空のアーティストが自身の作品にサインをするとしたら?そんなコンセプトで今回のロゴをデザインしました。日本の現代美術を牽引する個性豊かな3ギャラリーをはじめ、complex665に集う各社が共につながり・上昇する、そんなロゴが出来上がった」とのことです。
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▶︎「森村泰昌 楽しい五重人格」感想
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エンターテインメントをめざしているわけではない、でも楽しい見せ物。起承転結のある物語にはなびかない、でもなにかが語られている。物静かな不協和音が、内と外に向けて炸裂する。だから、たったひとりの5人展。
「わたし」をテーマに、およそ 40 年間にわたり制作し続ける(略)森村はそのような「統一感が欠如していること、整理されず散乱していること、異なるキャラクターや価値観が混在していること、ヒエラルキーを生み出さないこと」をむしろ肯定し、「お定まりのアイデンティティに収斂されること」を回避したいと述べる。今展に出品される、森村の最新作、未発表作、近作は、相互に関係性を持たない五つのセクション(=五重人格)を構成し、各種各様に自在な展開をみせてくれる。(略)計 14 点の出品作が奏でる不協和音とともに、「森村泰昌」の多重人格性が、静かにそして楽しく炸裂する。
シュウゴアーツでは、森村泰昌の作品が14点展示されていました。入場料は無料です。会場にあるものは作品のみで、解説やキャプションのパネルもありません。ギャラリーに入るのはほぼ初めてだったため、販売金額などの表示があるのかと思いました。
▼過去に読んだ、画廊に関するおすすめの本
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部屋が真っ白でとても鑑賞しやすい環境だったため、入ってみた率直な感想は「小さな本格的な美術館」という印象でした。
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森村泰昌の作品は、直近で練馬区立美術館などで見たことがあります。ポートレート作品に扮装するものが多いとは知っていました。しかし、ジョアンミロのようなオートマティズムのポートレートを再現するとは、かなり意外性があって面白いです。
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カフカとは『変身』を書いたことで有名な「フランツカフカ」
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ポートレート作品を作る過程の作品
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元ネタは、甲斐荘楠音《島原の女(京の女)》
設置されているライトは、青木淳建築計画事務所によるものです。
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会場には、魯迅に扮した作品も展示されていました。
森村泰昌と魯迅と言えば、横浜トリエンナーレ2024でも作品が展示されていました。私はその作品の前を2、3回通過しました。しかし、私はそれをクイーンズスクエアのPR作品と思ったため、じっくり鑑賞もしなかったし、写真も撮らなかったです…(帰宅後、森村泰昌の作品だったと知りました)。
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横浜トリエンナーレ2024で展示された作品(画像引用)
シュウゴアーツの来場者の会話を盗み聞いていると、楽しそうなことが伝わってきました。これこそ森村泰昌がめざしてるものかな、と思いました。
改めて、森村泰昌が扮装して味付けした作品を現場で鑑賞したり、帰宅後に見直していると、元ネタを調べて知識が深まりました。さらに、プラスアルファされた面白さや、「私」の脆さのようなものに気付いたりと、一石二鳥以上の価値があると思いました。
また、会場にキャプションも何もないと、素直にアートを楽しめると実感しました。そのおかげで、森村泰昌の目指している目的がより達成されると思いました。作品ごとにタイトルや説明が書いてあると、楽しいと言うより、知ることに集中しがちです。
なお、HPやプレスリリースは、展覧会の背景や、作品リストが丁寧に準備されていたため、知る側のニーズもしっかり満たしてくれていました。
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森村泰昌は、積極的に執筆活動も行なっています(2024年も新刊を発行)。Amazonで検索したら、森村の著作は約30冊もありました。
私も過去に1冊読んだことがありあります。中でも「美術なんてコロッケやアイスクリームと同じです」と言うフレーズは気に入っています。アーティストは作品を作るだけではなく、自身の考えも記してもらえると、鑑賞者としては大変ありがたいです。
▶︎シュウゴアーツとは
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シュウゴアーツとは、佐谷周吾が父・和彦の佐谷画廊での勤務を経て、2000年に独立開業したギャラリーです。
ギャラリーは、隅田川の永代橋から清澄のエリアで3度の地上げ・移転を経て、現在は、六本木のcomplex665に「ShugoArts」(2016年)、天王洲のTerrada Art Complex Ⅱに「ShugoArts Studio」(2021年)があります。
「アーティストの自由な表現を最大限に尊重し、美術史に新たな価値創造を加えることを目的として活動を続けています」とのこと。
シュウゴアーツが企画する展覧会は、千葉正也、藤本由紀夫、イケムラレイコ、小林正人、近藤亜樹、リー・キット、丸山直文、アンジュ・ミケーレ、三嶋りつ惠、森村泰昌、小野祐次、髙畠依子、戸谷成雄、山本篤、米田知子など。各ギャラリーには懇意にするアーティストがいるのですね。
建築は、 青木淳建築計画事務所によるもの。青木淳と言えば、ルイヴィトン表参道店、青森県立美術館、京都市京セラ美術館が思い浮かびます。
▶︎まとめ
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いかがだったでしょうか?私はほぼ初めてギャラリーに入りました。シュウゴアーツは見やすい展示室で構成されており、森村泰昌の作品もどれも質の高いものばかりでした。complex665は質の高いギャラリーが3つ集まっており、六本木に来た際は是非寄っておくべき場所だと思います!
▶︎今日の美術館飯
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