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展覧会レポ:横浜美術館ほか「横浜トリエンナーレ<野草:いま、ここで⽣きてる>」
【約4,400文字、写真約50枚】
3年毎に楽しみにしている横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」に行きました。その感想を書きます。
結論から言うと、私の期待と真逆のキュレーションだったため、感想は「がっかり」でした。1)コロナ明け、2)約3年ぶりの横浜美術館リニューアル、3)横浜トリエンナーレはいつも楽しいため、期待していました。しかし、今回は政治的なメッセージが強かったり、怖い作品が多かったため、期待との落差が大きく「アートを楽しむ」ことが難しかったです。
展覧会名:第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」
場所:横浜美術館ほか
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
混み具合:★★★☆☆
ベビーカー:エレベーターあり
会期:2024年3⽉15⽇(⾦)-6⽉9⽇(⽇)
休館日:毎週⽊曜⽇
開館時間:10:00-18:00
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目4−1
アクセス:桜木町駅から徒歩約10分
入場料(一般):2,300円(横浜市民は2,100円)
事前予約:不要
展覧所要時間:1時間+α
展覧撮影:全て撮影可
URL:https://www.yokohamatriennale.jp/2024/
▶︎訪問のきっかけ
3年に1度開催される横浜トリエンナーレに、私は2014年から毎回参加しています。私にとっては遠足的恒例行事です。また、約3年にわたる大規模改修工事を経てリニューアルした横浜美術館に入ることも楽しみでした。
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▶︎横浜トリエンナーレとは
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横浜トリエンナーレは、2001年から始まる3年に一度開催する現代アートの国際展です。国際的に活躍するアーティストの作品を展示し、新進のアーティストも広く紹介することで、最新の現代アートの動向を提示しています。
1〜2つのメイン会場に加え、みなとみらい全体で点々とアートを展示しています。そのため、スタンプラリーのように一日中楽しめます。
▶︎「野草:いま、ここで⽣きてる」感想
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“私たちの暮らしは災害や戦争、気候変動や経済格差、互いに関する不寛容など、かなり生きづらさを抱えています。今回はこの生きづらさがどうして生じてきたのかをたどりながら、みんなで手を携えてともに生きるための知恵を探る展覧会となっています。”
“『野草』には魯迅の宇宙観と人生哲学が込められており、あらゆる制度や規則、統制に超然と立ち向かい、個人の生命の抗い難い力を、高潔な存在へと高めた存在であり、希望ではなく絶望を出発点としています。(略)トリエンナーレのような大規模な国際展は(略)歴史的な深みの欠如や現実との乖離といった課題を抱えていることに気がつきました。(略)このトリエンナーレで今日版の『野草』を構成したいと考えています。”
アーティスティック・ディレクターのキャロル氏がオファーを受けたのは、コロナによるロックダウン中の2021年末でした。コロナ禍に生じた抑圧、鬱屈、悲観といった感情を原点に、本展覧会は構成されていると感じました。
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私のこの日の流れは(11時)横浜美術館→ランチ→BankART KAIKO→旧第⼀銀⾏横浜⽀店→カフェ(16時)→ぶらぶらして帰る、でした。家族みんなで参加したため、個別の作品と深く向き合わず、撮影しながらサクッと楽しむことを目的にしていました。そのため、写真は多め、感想は少なめです。
✔️横浜美術館
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横浜美術館はどんなリニューアルをしたんだろうと、約3年ぶりに館内へ入ると、びっくり。特に変わった様子はない。変わったと気付いたことは、ガラス張りのエレベーターが中央ホールに新設されたことくらいでした。また、天井から自然光が多く取り入れられたことも変更点かもしれません。
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リニューアルした主な内容は以下でした(参考)。
❶ミュージアムメッセージを「みなとが、ひらく」に決めた
❷「子どもと子育て世代にやさしい美術館」を柱に決めた
❸「じゆうエリア」に誰でもくつろいだ時間を過ごせるようにと、いくつもの椅子やテーブルを置く(2024年11月から)
❹コレクション作品の約700点分にやさしい言葉で解説文を書き下ろす「やさしい日本語プロジェクト」を実施
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:入ってすぐの作品がいきなり怖い
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率直な感想として「3年休館してこれだけ?」と思いました。目立った造作や内装の変更もありません(裏側では実施しているかもしれません)。上記の❶❷❹は普段の業務と並行して実施できますし、❸も2、3日閉館すれば可能な内容です。「リニューアル」の乏しさに拍子抜けしてしまいました。なお、2025年2月に全館が始動するとのことです。
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再オープンを待ち望んだ人が多いと思うため、トリエンナーレと並行して「横浜美術館は3年間で何が変わったか?」を館内、web等を通じて、端的に分かりやすく発信すべきだと思いました。
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トリエンナーレの内容としては、災害、戦争、経済格差などがダイレクトに伝わってくる作品が多かったです。全体的に物騒で、子供は泣き出すのではないか、という作品も数多くありました。
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デモをモチーフにした作品も数多く目に付きました。また、展示用の仕切り板やパネルがトタン風だったり、書体も手書き風だったため、そこには楽しさとは真逆の世界観が表現されていました。
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私は、横浜トリエンナーレに楽しいものを期待していました。今までの横浜トリエンナーレもそうだったし、横浜美術館の展覧会や所蔵品は、明るさを伴った示唆を提示する現代アート作品が多いと思うためです。
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そんな私の期待と正反対の展覧会だったことは、少しがっかりしました。もちろん、アートやその作者に罪はありません。せっかく3年ぶりの横浜美術館の開館です。コロナ明けだったこともあり、来場者はきっと私同様に「アートに触れる楽しさ」に期待していたのではないでしょうか。
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アーティスティック・ディレクターのキャロル・インホワ・ルー氏は、大規模な芸術祭に「歴史的な深みの欠如や現実との乖離」に課題があるとはっきりと述べています。もちろん芸術祭で政治的なメッセージの強い作品を置くな、と私は思いません。
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しかし、今回のキュレーションは、今のタイミングの横浜美術館・横浜トリエンナーレに、マッチしていませんでした。アーティスティック・ディレクターの人選ミスか、コントロール不足ではないでしょうか。
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:「移民なしにはやっていけない」とプラカードを持つ移民たち
リニューアルオープンする横浜美術館のミュージアムメッセージは「みなとが、ひらく」です。しかし、今回のトリエンナーレは全然「ひらく」感が薄く、むしろ門戸を閉ざしている気さえしました。
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:こ、怖すぎる
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:ホラー映画に出てきそう
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:これもややホラー
「子どもと子育て世代にやさしい美術館」を目指すことを、横浜美術館側はキャロル氏に伝えていたのでしょうか?過去の横浜トリエンナーレでは、気候変動を取り上げても、楽しく興味をもって鑑賞できる作品が多かったと思います。今回は、全体を通して、好きな作品には出会えませんでした。
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なお「こどものアートひろば はらっぱ」は、とても良かったです。スタンプで遊んだり、展覧会の感想を書いたり、休んだり、いろいろな過ごし方ができます。乳幼児を連れて休憩できるコーナーもありました。
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一緒に美術館に行った子供は「はらっぱが一番面白かった!」とのことでした。中にいるスタッフの方は、保育士免許をもっているのかな?と思うくらい、子供に対して対応が丁寧で、大変助かりました。はらっぱの入り口にフォトスポットがあり、そこで親切に写真を撮ってくれました。
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:内容は大人向けでした(笑
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✔️BankART KAIKO
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横浜美術館から歩いて約15分で「BankART KAIKO」に到着します。この中には5点ほど作品が展示されています。
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:シベリア東部に住むブラギヌ一家の生活を写した映像作品。隣の家と喧嘩しています
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✔️旧第一銀行横浜支店
「BankART KAIKO」と道を挟んで、旧第一銀行横浜支店の1階と3階を使って、約10点のアートが展示されています。
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:クッションに座りながらゆったり見れる。しかし内容はおどろおどろしい
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?横浜トリエンナーレの展示内容は、怖い・政治的なメッセージが濃い・暴力的な作品が多く、私の期待と真逆だったことは少し残念でした。約3年ぶりに横浜美術館に入れること、横浜トリエンナーレに参加できることをとても楽しみにしていましたが…。この違和感が主催者側の狙いかもしれませんが、私の満足度は高くなかったです。
▶︎今日の美術館飯
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