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すてき

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#現代詩

【詩】レシート

【詩】レシート

レジの横が騒がしい

夕暮れ時のいつものスーパー

西日の僅かに当たる場所

店員に捕まったのはご年配の男性

彼はレシートを持っていた

なのに終始、項垂れていた

疑い晴れて何度も謝る店員に

彼は戸惑っていた

ずっと項垂れたままだった

冬なのに、春一番が吹き荒れる

新聞は行儀よくラックに並び

鮮やかな見出しの文字が

似たような顔で謳っている

昨日も遠い場所で

大きな不幸があった

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【詩】しんたい

【詩】しんたい

すっかり通り過ぎてから
嗚呼あの電車に乗っておけばよかったと
思う人生かもしれない
ひょっとして僕の人生は
披露する予定もない
Smells Like Teen Spiritを口ずさんでる
そういう人生かもしれない

30、30、30代の身体が
昼に夜にカサカサと音をたてる
こんなに生きてたら
ウンザリしてきやしないか
ここにこうしていることが
お前はどこにいきたいんだ
身体よ

思考は
孤独な最

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「キスに蘇る想い出」

「キスに蘇る想い出」

あなたとの キス
一つ一つに 蘇る想い出

春の 公園で
ブランコを 押してくれた
空に 舞うような気分の キス
蝶々が 横で みつめてた

カモメが 飛び交い
汽笛響かす 小舟
ガラス色の 波をすべる
街の灯り 星屑のよう
海風に 髪を流しながらキス
揺れて チョッピリ塩辛かった

灼熱の 砂の浜
砂の 一粒一粒が 
夏の思い出 記す
波打ち際 横たわり キス
遠い南の国の 味がした

母の命日

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「夏色の街」童話詩

「夏色の街」童話詩

あの地平線 目指してゆけば
夏色に湧く 街がある
あの子と 一緒に
手を取り合って
鳥になって 飛んでいきたい

父さんが くれた
熱い 言葉
母さんが くれた
美しい 夢
全部 カバンに 詰め込んで
広い草原 越えていく

あの子が もしも
涙ぐんでも
白い 渡り鳥が
慰めて くれる

ボクが もしも
心 折れても
大空の 雨粒が
癒して くれる

夏色の街には
妖精たちが 住み
幸せの種を

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[すこし詩的なものとして]0097 明け方に吹く風

[すこし詩的なものとして]0097 明け方に吹く風

空が白んできた
もう夜は明けるだろう

少し思い返す
夜の瞬くイタズラな時を

もう終わるんだ
そんな時間も
祭りの後はいつもと同じ

奇跡に願う僕は
なるようにしかならない現実に
少しばかり辟易しながら
趣味の悪いネクタイをしめようとしている

結局のところ
知的に振る舞おうとしても
イメージ通りにはならない

明け方は
僕の見た空を風とともに洗い流す
君が隠した地図はまだ見つからない

鳥は空

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