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[すこし詩的なものとして]0097 明け方に吹く風

空が白んできた
もう夜は明けるだろう

少し思い返す
夜の瞬くイタズラな時を

もう終わるんだ
そんな時間も
祭りの後はいつもと同じ

奇跡に願う僕は
なるようにしかならない現実に
少しばかり辟易しながら
趣味の悪いネクタイをしめようとしている

結局のところ
知的に振る舞おうとしても
イメージ通りにはならない

明け方は
僕の見た空を風とともに洗い流す
君が隠した地図はまだ見つからない

鳥は空を渡る風のように
水面には魚が滑るように
闇は光を走らせる

さっきまで見せた笑顔は
虹が渡るように
揺らいでは消えていった

僕は小さなさざ波となり
君を時間の中で追いかけよう

さらば
果てしない夜
めざせ
朽ちた太陽の果てに

鳥が目を瞑ってさえずり
いつもの朝を迎えよう
空き缶の鳴る音
はしゃぎすぎていた
僕らの悲しみ
僕らの憂鬱
雲に隠して
言葉だけを残しておこう

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明け方の空はグッと透明度が高いなと思う。空を眺めていると、心のすべてが見透かされているようだ。楽しかった夜は冷め、後悔や憂鬱が曝け出されてしまう。そんな時間がとても悲しくて虚しさを感じてしまうから、みんなで「もう家に帰ろう」となる。そしてそれぞれの道に戻るのだ。
これは、ポジティブな惜別で、諦めのポイント。
今日もはじまる。

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