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好きなものたち

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私の心にあるものたちです。
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#エッセイ

真珠の首飾り A STRING OF PEARLS

真珠の首飾り A STRING OF PEARLS

母の形見の中に、バロックパールのネックレスがある。
歪な形であるがゆえに暖かみや優しさを持つような気がして、歳を重ねるほどに使用する回数が増えた。
真珠の白い柔らかさで、顔まわりが明るくなるような気がする。
もしくは、グレーのバロックパールを白いシャツの襟を大きめに開けてするのも素敵だ。
そんなお洒落は、若いうちは似合わない。
大人の特権だ。

私は、服も持ち物も、できるだけシンプルなものを選んで

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真珠の首飾り

真珠の首飾り

映画ドリーム(原題Hidden Figures)が好きです。
ストーリーが素晴らしいのが一番ですが、タラジ・P・ヘンソンのハスキーな声も、ジャネール・モネイのツン!とした感じも、60年代のファッションも、もう一度観たい気にさせます。

ジャクリーン・ケネディがシンプルなワンピースに、真珠をしていた頃。
真珠のネックレスは、このストーリーの中で印象的な扱いとなります。

若かった頃の母の写真も、やっ

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梅が香

梅が香

梅雨の季節。
湿気が多くて気怠くなってくると、梅が香を焚く。

雨の日に、
予定が何もないと嬉しくなる。
じっとして、窓の外の雨の音を楽しむ。

『旱天慈雨(かんてんじう)』という言葉ある。

日照り続きに待ち望んでいた雨が降るという意味から、転じて、待ち望んでいたことが叶うことや、困ったときに助けに恵まれることをたとえていう。

「旱」はひでりの意。
「慈雨」はいつくしみ、めぐみの意味。

雨の

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白檀の扇子

白檀の扇子

扇子を持ち歩く季節がきた。

白檀の扇子は、広げても畳んでも美しい。
美しい白い指に支えられた白檀の扇子・・・。
汕頭のハンカチーフ。
そして、日傘。

少し古めかしいくらいの、夏のスタイルが好きだ。

白檀が薫ると、爽やかさで涼しくなるような気がする。
気忙しい毎日の中で、
暫しの時間だけ、扇子を広げて優雅な気分になる。
そうして気持ちをシャンとさせると、背筋も伸びる。

水出し緑茶の中の氷が溶

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猫の舌

猫の舌

我が家の猫マロは、舌を出しっぱなしにしていることがある。
デメルのチョコレート『猫の舌』みたいだなあ・・・と思う。
「ソリッドチョコ 猫ラベル」のパッケージがとても好きだ。
ミルク、スィート、ヘール、の他に、冬季限定でキャラメルも出ていたようだ。
それぞれのフレーバーで箱の地色が違う。
もれなく猫が、金色の舌をベーっ!と出している。

確かに、猫の舌の形のソリッドチョコレートだけれど、
このチョコ

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モード・ルイス 幸せの絵具

モード・ルイス 幸せの絵具

『幸せの絵具 愛を描く人 モード・ルイス』をどうしても観たくて、勤めを休んで観に行ったのが2年前になる。
サリー・ホーキンスの素晴らしい演技力で、モードの人生が綴られていく。
私の好きなイーサン・ホークが夫役で、静かな愛情が心を打った。

田舎の風景、動物、鳥、草花をモチーフに、シンプルなタッチで温かい絵を描いた画家だ。

映画の中で、何度涙しただろう。
不遇な中でも、自分を表現し続けたモードの姿

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雨の日とグレン・グールド

雨の日とグレン・グールド

雨の日に、グレン・グールドをかけるのが好きだ。
小さめの音量で、ピアノの音と一緒に雨の音が混ざり合うのを聞くのが好きだ。

こんな組み合わせはどうなのかわからないけれど・・・、音楽は「音を楽しむ」
のだから良しとして。

そして、のんびり好きな本を読んで、温かい飲み物を飲んで。
演奏が終わると、さわさわと雨の音がする。

ミラーワーク

ミラーワーク

必要な時に、必要なものが降りてくる・・・と信じています。
頭で考えることをやめて、感じることを優先して過ごしてみると、
気づきの連鎖が起きることがあります。

ルイーズ・ヘイのライフヒーリングという本は、ずっと書棚にありました。
急にDVDまで観る勢いで、その世界に。
きっと、今、私に必要なことなのですね。

ルイーズ・ヘイが朝一番にされていたという、ミラーワーク。

"Good morning!

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「トワイライトゾーン」の中の『イェーツ』

「トワイライトゾーン」の中の『イェーツ』

「トワイライトゾーンに、イェーツの詩を朗読するシーンがあるんだ。」
そんな素敵な話を聞いて、見ないわけにはいきません。

『Her Pilgrim Soul』

1日に10年分成長してしまう女性ノーラ。年老いて、いよいよ旅立つとき、ずっと側にいたケビンがイェーツの詩を朗読する・・・。
紹介してくれた友人は、その場面を見ると、「歯磨きしていても嗚咽しちゃう!」と。

映画にもなったフィッツジェラルド

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美しい言葉で暮らすということ

美しい言葉で暮らすということ

就職したての20代の初め、早く30歳になりたかった。
美しい言葉で話し、綺麗な表現の文章を書く大人になりたかった。

美大を出て就職したのは、ペンギンのガムで知られている菓子メーカーの宣伝部。
その中で、パッケージデザインの担当は3名の男性と入りたての私。その後に2名の男性後輩社員が加わったが、まだ、男女雇用機会均等法ができたばかりで、女性は、制作担当としては私と同じく美大卒の先輩がひとり、宣伝に

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