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レントよりゆったりと〔随想録〕

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2019年4月の記事一覧

吐息のポリフォニー

吐息のポリフォニー

 このテキストは思い込みと妄想を主成分としてテキトーに練り上げた製品となっております。お口に合わない場合のクレームは受け付けておりませんので、先にご了承ください。

 エッセイを書こうとするとき、たったひとつのフレーズから閃いて瞬時に文章が展開することもあれば、ああでもないこうでもないと頭を悩ませながら時間を費やす場合もある。小説や論説で前者のパターンは少ない。詩的というと語弊があるが、エッセイに

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針と糸を手に、言葉について考えた

針と糸を手に、言葉について考えた

やりたいこと……をリストアップすると、たいていの場合は1つも出来ずに時ばかりが過ぎる。平成の間に気付いた、自分の習性の1つだ。ということで、自分の中では「やりたいと思ったことは溜めて置かずにやってしまう」という行動習慣にシフトした。これが身近な人には奇異に映るようで、突然の行動で驚かせてしまうこともあるようだ。もっとも、最近は新しいお付き合いも少なくなってきているので、周りには「ああ、れんと君だも

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いいわけ

いいわけ

ジャジャツジャッツジャ!
淋しい夜はごめんだ
淋しい夜はつまんない
淋しい夜は会いたい
淋しい夜はCRY CRY CRY♪

……はい。冒頭で頭の中に音楽が流れた方、最高です。流れなかった方は「いいわけ 淋しい夜」あたりで検索をかけて下さい。もう二度と生では聴けない声がそこにあります。泥臭い音楽は昨今では珍しいので、知っておいて損はないと思います。(追記:末尾にリンク貼りました)

つんく♂になり

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続きがないのが寂しいなぁ

続きがないのが寂しいなぁ

仕事でお付き合いのある方で、ルックスもムードもオーラも高橋一生さんに近い男性がいる。物静かで、物腰柔らかく、知性がラストノートのごとく漂ってくる。押し付けがましさが一切なく、コミュニケーションに余白があって良い。身なり身のこなしも緊張感を与えない。
ある男性たちは、知性の香水を撒き散らして常にトップノートで、しかもトップギアの速度で迫ってくる。彼らと接するとき、思わず目も耳も、鼻さえも塞ぎたくなる

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今日ものんびり生きようね

今日ものんびり生きようね

昨夜、焼き鳥屋に行き、カウンターで連れとの話に夢中になっていた。
狭い店内で僕から見て右奥、視界に入るか入らないかギリギリのところに座る男性が、カウンター内の店主と何やらやりとりをしていた。
どうもサインを書いているようだった。有名人だとしたらプライベートだろうし、敢えて顔は見ないようにしていた。
男性が帰った後、連れが「あれはどなた?」と店主に尋ねると、なんと高名な作家の名が返ってきた。
僕も彼

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アップデートしたい、でもね…でもね…ラブリー…ラブリー…

アップデートしたい、でもね…でもね…ラブリー…ラブリー…

令和コンプレックス:元号が変わることによって、口では「元号変わっても何も変わらないよね」とか言っていながら、無意識下で平成のコンテンツへの言及が増えたり、平成の文化を賛美してしまう現象。およびそのような心理状態。ノスタルジーの一種。(れんと大辞典より)

25年間大事にしているCDがある。ケースは傷だらけ、白い部分は黒ずんでしまっている。子どもの頃に大好きだったアニメのサウンドトラックで、手元には

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小我大我にブレーカー

小我大我にブレーカー

ご老人らの感情の暴走はニュースの中だけでなく、身の回りに散在している。駅のホームに、スーパーのレジに、そして道端にも。仕事柄ご老人の相手をすることが多く、その良い面もたくさん見てきているが、悪い面は数が少なくてもインパクトの桁がちがう。つい一面的な負のイメージが強くなってしまうことがあるけれど、ちゃんと軸を戻さないと全体像を見誤る。

子供たちが外で遊ばなくなったことと、老人の感情の暴走に因果関係

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緑の戦士たちよ

緑の戦士たちよ

むかし親から
「器用貧乏にならないように」
と助言をされたことがある。
「器用」というプラスの意味と、「貧乏」のマイナスの意味の合成語。総じてマイナスの意味で使われるものだが、心地よい響きのある魅惑的な言葉。
どうしても気になってしまう単語で、たまに脳からひょこっと現れて、眼前でぶらぶらするお猿さんのように僕を小馬鹿にしてくる。

以前Wikipediaの「器用貧乏」のページで、「器用貧乏の例:…

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男だって会いたくて震えるのですが……

男だって会いたくて震えるのですが……

「男らしくない」と言われ続けて30数年。男なのに「会いたくて会いたくて震える」ようになってからは20年。男らしくなくて困ることはいっさいありません。こんにちは、〈矢口れんと〉です。〈蓮人〉から改名しました。より多くの年代の方々にコンテンツを届けたくて、読みやすいように改名しました。名前を柔らかくした途端に、硬質な文章を書きたくなったり、性的なアレコレを書きたくなったり、とにかく自身の天邪鬼っぷりに

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なんだか恋するみたいに生きてる(エッセイ)

なんだか恋するみたいに生きてる(エッセイ)

先日、自分が書く論文のテーマについて教授に報告をしたら、即座に「こっちの本の方が面白いよ」と方向転換をされた。その間はおそらく1秒にも満たない時間で、あまりの早さに言葉を失ってしまった。春休みに考えていたことはとりあえず横に置くことになった。とはいえ、早い段階での修正はありがたかった。より良いテーマを示してもらえた可能性があると思っている。もちろん、これから作業が進んでからの大幅修正も控えているの

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ひどい人(エッセイ)

ひどい人(エッセイ)



「(上司は)矢口さんのご学友とうかがっております。高校時代の」

「ええ、よく憶えてますよ。テニスが上手で有名な女性でしたから」

「あ、ご本人を憶えてらっしゃいますか? 彼女は『私のことは知らないと思うけれど、矢口さんと仲の良かった友人と付き合っていた女と言えば分かる』と申しておりました」

「!!?? 誰? その友人って誰!?」



 とまあ、ビジネスの現場で不慮の恋バナが始まってし

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