マガジンのカバー画像

介護

65
介護業界・現場・運営に関する問題や疑問などの記事をまとめております。
運営しているクリエイター

記事一覧

「自分が勤務のときばかりトラブルが多い」と嘆く場合、その介護スタッフ自身に原因があるかもしれない

「自分が勤務のときばかりトラブルが多い」と嘆く場合、その介護スタッフ自身に原因があるかもしれない

介護施設で働くスタッフの中には「自分が勤務のときばかりトラブルが多い」と不満を言う者がいる。

具体的には、利用者(高齢者)の失禁によりトイレの中や寝具が汚れて着替えやシーツ交換をする羽目になったり、普段はぐっすり寝ている方が深夜になっても何度も何度も起きてきたり、そのスタッフに対して暴力行為をしようとしたり・・・と様々だ。

このような不満を口にするのは、普段は個々にそこそこ問題があっても基本的

もっとみる
認知症でも「人を選ぶ」。それならば選ばれる介護者になろう

認知症でも「人を選ぶ」。それならば選ばれる介護者になろう

認知症になっても人を選ぶ

介護サービスは高齢者にマンツーマンで必要な支援を行う。

そこでは当人の身体や生活環境などのプライベートな部分に踏み込むわけだから、介護スタッフとの信頼関係が必要になる。幾度も関わり合うことによってそれは養われていく。

とは言え、いつも同じ介護スタッフが支援を行うわけにはいかない。
その高齢者が毎日介護を要する場合だと、特定の介護スタッフが休めなくなってしまう。また、

もっとみる
欠勤者が出て人員不足になったときこそ、何とか乗り切れるため業務改善という名の「実験」をする

欠勤者が出て人員不足になったときこそ、何とか乗り切れるため業務改善という名の「実験」をする

介護スタッフの急な欠勤

介護施設は24時間稼働している。その中で大体はシフト制によって人員配置を組んで1日1日を橋渡ししていると思う。

しかし、豪雪の影響で業務時間に間に合わなかったり、体調不良や家庭の事情などで急にスタッフが休みになるということは珍しくない。

そのようなとき休みのスタッフに声をかける(出勤してもらう)ということもするだろうが、私が現場勤務のときはできる限りそれは避けている。

もっとみる
認知症の方に対して感情的になる介護者になるか? 認知症について学んで自身の心身を守れる介護者になるか?

認知症の方に対して感情的になる介護者になるか? 認知症について学んで自身の心身を守れる介護者になるか?

認知症対応共同生活介護(以下、グループホーム)は、名前のとおり認知症の高齢者が施設で共同で住まう場所である。

まぁ、介護施設と言ってしまえばそれまでだが、一応のところ施設スタッフは認知症ケアのプロとして入居者の支援をしている。”一応のところ”と前置きをしたのは、スタッフによって認知症ケアのスキルなどはピンキリだからだ。

入居者の認知症の症状が1人1人異なるように、施設スタッフもまた基本スキルも

もっとみる
「放っておいてほしいけど、構ってもほしい」というアンビバレントな高齢者

「放っておいてほしいけど、構ってもほしい」というアンビバレントな高齢者

「放っておいてほしい」けど「構ってほしい」

運営している介護施設(グループホーム)において、物静かな男性入居者がいる。物静かというか「放っておいてくれ」「俺に話しかけるな」オーラを発している(ように見える)。

レクリエーションや行事にお声掛けすると一応は参加するけれど、いざその場が進行すると「やりたくねぇ」「いつ終わるんだ?」と言って座ったままその時間を過ごして終わることが多い。

認知症ケア

もっとみる
ご家族の介護の悩みを、医療に橋渡しすることも介護の役割

ご家族の介護の悩みを、医療に橋渡しすることも介護の役割

医療に「伝える」ことも介護の役割

介護と言えば、オムツ交換や入浴などの高齢者の身体に直接触れる仕事をイメージされると思う。掃除洗濯といった家事代行のようなイメージもあるかもしれない。

しかし、介護の仕事は細かく見ればかなり幅広い役割を担っている。その1つに病院への付き添いがある。これもご存知の方も多いと思うが、ただ病院に付き添っているわけではない。

利用者たる高齢者の日常生活や健康状態などを

もっとみる
「やっちゃダメ!」と言うよりも「あきまへんで~」と言ってみる

「やっちゃダメ!」と言うよりも「あきまへんで~」と言ってみる

入居者の行動を制止せざるをえない

介護施設は入居者(高齢者)にとっては住まいである。介護施設では食事時間などは決まっているが、基本的には入居者の自由にお過ごしいただける。身の回りのことで自分でできないことや困りごとがあれば、施設スタッフの力を借りることもできる。

一方、その介護スタッフにとって介護施設は職場である。入居者が安全で安心できる生活を送っていただくように支援する。しかし、入居者が安全

もっとみる
認知症の方でも「人のふり見て我がふり直せ」ができることがある

認知症の方でも「人のふり見て我がふり直せ」ができることがある

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)という施設に住まう利用者を見ていると色々と面白い発見がある。
その1つに、認知症の方でも「人のふり見て我がふり直せ」ができることがあることだ。

予めお伝えしておくと、これはあくまで個人的な見解である。心理学や認知症の症状から深く探れば根拠はあるのかもしれないが、本記事ではそこまでは追求しないこととする。

帰宅願望の強いAさんという利用者がいた。認知症の

もっとみる
感覚に頼った業務を「誰でも再現可能にする」だけで介護現場は楽になるはず

感覚に頼った業務を「誰でも再現可能にする」だけで介護現場は楽になるはず

介護現場は感覚に頼った業務が多い

右も左も分からない介護の素人だった私であるが、今では運営という立場でもあり現場の介護職員としても普通に働いている。

特に現場業務においては、ベテランスタッフに教えてもらったり自分で日々勉強しながら四苦八苦して身につけていった。仕事なのでそれを努力とは思っていないが、そこそこ頑張ってきたなと自分で思う。

さて、現場業務を覚える過程で思ったことがある。

それは

もっとみる
認知症で何も分からなくても、季節ものの行事は行う意義はある

認知症で何も分からなくても、季節ものの行事は行う意義はある

認知症という状態

認知症になると何も分からない・何もできなくなるという印象が世間にはまだまだあるが、決してそんなことはない。このあたりを誤解している方たちが多いから「認知症は怖い」「認知症になったら終わり」という風潮があるのだろう。

しかし、現状において認知症は改善することがない。徐々に症状が進行していくことは確かな状態である。そのため、病気や怪我のように治ってから「いやぁ、あのときはこういう

もっとみる
認知症の方と接するとき、場合によっては「何も考えない」ことも必要

認知症の方と接するとき、場合によっては「何も考えない」ことも必要

余裕がなくなると相手を制御しようとする

認知症ケアの基本はコミュニケーションである。そのために相手の言葉や振る舞いを見て、相手が何を求めているのかを探ることが重要になる。

認知症の高齢者を相手に「この人は何が言いたいのだろう?」「どうしてこのような行動をするのだろう?」と考えて対応することになる。

しかし、人間はどうしても内面よりも表面を見てしまうもの。

認知症の症状と分かっているとは言え

もっとみる
排泄管理も介護の1つであり、認知症ケアにも意義がある

排泄管理も介護の1つであり、認知症ケアにも意義がある

■ 排泄管理も介護の1つ

介護の仕事というと、オムツ交換や入浴などの身体に関わる直接的な介助をイメージされるかと思う。

しかし、広い意味で見ると健康管理も大切な仕事の1つである。特に独り暮らしの高齢者は健康管理が雑になりがちである。記憶力や理解力の低下などの課題から、介護者が受診に付き添ったり内服薬の準備などが必要となる。

そして意外に介護の仕事として目立たない役割として「排泄管理」が挙げら

もっとみる
重度の高齢者ほど愛情を抱きやすいが、軽度の高齢者は放置されやすい。

重度の高齢者ほど愛情を抱きやすいが、軽度の高齢者は放置されやすい。

■ 重度の高齢者の介護は心身ともに大変

介護の仕事は、1人1人の利用者(高齢者)の心身の状態や生活環境に合ったサービスを提供するのが基本姿勢である。

そのため、重度の利用者ほど手間がかかることになる。分かりやすく言えばベッド上での生活の方は排泄もオムツ交換が必要で、お風呂も2人の介助員を必要とすることになるというイメージである。身体状態によっては食事も着替えも体位交換も、すべてが介助を要するこ

もっとみる
レクや行事参加を拒む高齢者はいるが、実は介護スタッフの中にも一定数いる

レクや行事参加を拒む高齢者はいるが、実は介護スタッフの中にも一定数いる

■ レクや行事に参加しない介護スタッフ

介護施設やデイサービスなどにおいて、高齢者の社会参加、機能訓練そして楽しみといった目的からレクリエーション(以下、レク)や季節の行事が行われることが多い。

しかし、中にはこれらに参加することを拒む高齢者も少なからずいる。それは「参加したいけれど自分から行くことに二の足を踏む」タイプと「集団でワイワイやることが苦手・嫌い」というタイプに分かれる。

前者の

もっとみる