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駄目だった日の煮込み

駄目だった日の煮込み

お気に入りの茶碗を割ってしまったことから始まった日。

改札前で、定期券の期限切れに気づく。
仕事のミスにすんでのところで気づいたものの、リカバリーに本来の倍の時間を使う。
買ったばかりのパンプスのヒールを、側溝の網にはめてしまって傷つける。

思わず深いため息をついてしまうこんな時には、一度ぎゅっと目をつぶってから、ひとつひとつ丁寧に、を心掛け、時が経つのをひたすら待つことにしている。

右足を

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2021年、記憶に残るホテル 20選

2021年、記憶に残るホテル 20選

ホテルに関わる仕事もしているので、今年もリサーチと言いつつ色んなところに泊まった。

そんな今年出向いたホテルの中で記憶に残る20箇所を、自分で撮影した各3枚の写真、場所と金額、短いテキストで記録する。(名前のリンクからホテル詳細に飛べます) 良いことも惜しいことも書いてます。

嵐山邸宅MAMA

この夏京都にオープンしたMAMAは、嵐山駅から徒歩3分、渡月橋からすぐの一軒家。全10室の部屋は全

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どうしようもなく特別だから、恋愛感情なんていらないの

どうしようもなく特別だから、恋愛感情なんていらないの

「恋愛感情としての好きが、あまりにも大きくなりすぎたから」と私に冷静に話してくれた君が、いつか、この先私を嫌ってしまうことがひどく怖い。君にそんなことを言えば、「人して好きという感情が消えることはないから、いなくなることなんてきっとない」と言う。

人として自然と惹かれ合ったわたしたちの間に、恋愛感情なんてものはきっと要らなかった、だけど、そんなこと決められることじゃないものね。

君が私を慕って

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ふわふわした大人

ふわふわした大人

ここ数日毎日お酒を飲んでいる。何だか夢見心地な日々が続いている。
ふわふわした落ち着かない気持ちで日中は仕事をして残業もできずに定時ダッシュで居酒屋に行き、懐かしい話を懐かしい人たちと笑いながらお酒を飲む。家に帰ればすぐに寝て朝また会社に向かう。

会社を年内で辞めることになったので送別会を色んな人が行ってくれる。話すたびに色んな出会いがあったなーと改めて実感をする。それでも毎日毎日、本当に年明け

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あたためた想い

私が「ただの映画好き」から「映画監督未満」になったのは、今から約1年ほど前の話。普段は一晩のうちに2つ以上必ず夢を見る私が一切夢を見なくなったのも、ちょうどその頃の話。映画を作ってみたいという漠然とした願望に脳内が支配された私は、お風呂に入っているとき、歯を磨いているとき、寝支度を済ませ布団に入ったとき、そんな、日常にありふれた何も考えなくてよい瞬間でさえも、答えの出ない問いを永遠に巡らせていた。

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これからについてのお話

これからについてのお話

一週間後に仕事を辞める、円満退社だ。
デスクの前で「二年半長かったな~」と背を伸ばした私を「すいさんは2017年の春に入社したから四年ですよ」と笑ったのは、いつも怖い顔して私を叱ってくれた主任だった。
一昨年の冬、辞めますと言葉にしてから一年という時間が経っていて「引き止めてごめんね」「最後まで頑張ってくれてありがとう」なんて勿体無いお言葉まで沢山頂いた。

この街を出ていく、23歳にしてようやく

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29歳になったらシラフに戻るから

29歳になったらシラフに戻るから

28歳独身、ひとり暮らし。ペットなし、恋人なし。2年間生活を共にしたパートナーとは去年別れた。ないないばかり言ってるけど、実家にはいつでも帰れる距離だし、両親はとても元気だし、こんな時代でも有難いことに仕事もある。おまけにフルリモート勤務なので、wifiとパソコンがあれば、自宅でもカフェでも仕事ができる。

時間もお金も自分のためだけに使える生活。10代の私なら歓喜するだろう。何時に起きてもOK、

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恋とか愛とか名前がついた偽物もあるし、あえて呼ばないだけで本当は恋や愛の気持ちもある。
もちろん等身大の恋や愛もある。
さて、あなたのはどれ。

こんな夜まで、主演でごめん。

こんな夜まで、主演でごめん。

こんばんは。
今夜は、人生を切り開けない気分の、私です。
元気じゃないと。なかなか、ね。

「与えられた役を演じる=人生」
と、思う時がある。

幸せな役なら、のびのび暮らせる。
不幸な役なら、不幸を演じてしまうことになる。
何かに仕向けられ、踊らされる。
あの逆らえない感じは、何なのか。
自分の人生なのに変ね。

今日みたいに気弱な夜は、上手く働けなかった職場を思い出す。
人間関係はもちろん。

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明日世界が終わるとしても、愛を伝え続けたいあなたへ。

明日世界が終わるとしても、愛を伝え続けたいあなたへ。

久しぶりに、彼に会った。

「友達に戻ろう。」そう決めた日から、会うのは今日が初めてだった。

顔を合わせていなかったのはたったの2週間なのに、なんだか懐かしいような、あたたかな感情がじわりと胸に広がる。

「髪、切ったんだね」

「うん、似合う?」

そんな会話すらも、なんだかぎこちない。

時間はほとんど経っていないのに、なんだか数年ぶりに再会したみたいな、居心地の悪い、でもほんの少し甘ったる

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優しさを分け合うのも温かいけれど、誰にも話せない孤独を分け合うのも温かいなあと思う。

赤いドレスは君には似合わない

赤いドレスは君には似合わない

「赤いドレスは君には似合わない」

結婚式のお色直しを終え、赤いドレスを着ているきみが出てきた。盛大な拍手で迎えられる君は、誰がどう見ても綺麗だった。

本来なら君の横には僕がいるはずだった。でも、君の横にいるのは別の男で、僕は大学時代の友人枠としてきみに招かれただけのただの友人でしかない。

ふたりがお別れをした理由は、「価値観の不一致」とありきたりな理由で、価値観が合わないふたりには明るい未来

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