サトウリョウタ@毎日更新の人

ライター兼編集者。広報/PR関連の取材執筆、メディアのディレクション、編集業務に携わっています。ベーチェット病と闘病しながら楽しく生きる方法を日々模索中。

サトウリョウタ@毎日更新の人

ライター兼編集者。広報/PR関連の取材執筆、メディアのディレクション、編集業務に携わっています。ベーチェット病と闘病しながら楽しく生きる方法を日々模索中。

マガジン

  • パンとコーヒー

    • 83本

    ゆったりとした朝にほっとする文章を。16人のライターで書いてるエッセイ集です。更新もゆるいです。

  • 映画と音楽

    「好きなものを好きなだけ」 映画と音楽に纏わるエッセイやコラムを集めたマガジン。」

  • エッセイ集

    自身がこれまでに書いたエッセイ集

  • 東京百景

    自身の東京の思い出を綴るエッセイです。

  • 何度も読みたい

    また何度も読みたいと思った方のnoteを集めたマガジン。応援と好きという気持ちを込めてます!

最近の記事

  • 固定された記事

SNSのない世界にいた

先日、SNSを一切使わない女性と出会った。彼女いわくSNSはよくわからないものらしい。「インターネットに時間を取られるのがいや。現実世界を生きていたい」が彼女の持論だった。 アパレル業界で働く彼女は、綺麗なネイルを塗り、おしゃれな服装をしている。アパレルで働く欠点は、好きでもない服を買うことだと言って、頬を膨らませていた。先日から出張続きで、どうやら昨日地方から帰ってきたようだ。 「インスタ映えも楽しいかもしれないけれど、インスタに熱中するのではなく、いまに熱中したほうが

    • すきだらけ

      隙がなさすぎて難しいよと君は言った。そういえば自分に隙があるかどうかなど考えたことがなかった。部屋の埃ひとつも落ちてないじゃん。部屋が汚かったらそこをいじってやろうと思ったのに、それすらできないと君は言った。 春を迎えたため、思い切って爪の上にピンクを乗せてみた。これは誰かに見せるためではなく、自分が憂鬱な春を乗り越えるためのおまじない。季節の変わり目はいつだって憂鬱が付き纏う。せめて気分が上がるようにしたいと思って、爪の上に色を乗せ始めた。家は生活空間というよりは、寝る場

      • 四季の面影に揺られて

        春になれば桜を一緒に見ながらお酒を飲むのが好きだった。少し赤くなる君の頬。頬を膨らませるその姿に愛しさを感じていた。花が芽を出し、恋心も芽生えるようになった春だった。青春の幕開け。終わりのない永遠のようにも思えた青春。 ・ 嫌いだった夏の楽しみ方を教えてくれたのは君だった。浴衣姿の君に見惚れて、いつまでも君の笑顔を守りたいと思える瞬間だった。ゆっくり落ち行く線香花火はまるで、恋に落ちる2人のようで、出会えたことがたとえ運命じゃなくても嬉しいねって

        • もうええよ

          連日、体調不良に悩まされている。ようやく熱は下がったのだけれど、咳と体のだるさはまだなくなっていない。季節の変わり目はいつも体調を崩す。30年も生きているのに、ろくに学びやしない自分の滑稽さに呆れる。一番酷いときは10分に1回はティッシュペーパーで鼻をかんでいたのだけれど、あまりにもとめどなく流れる鼻水によって起きるかもしれない水分不足にずっと怯えていた。 体調不良に見舞われると、起きているときの体感スピードがいつもより遅く感じる。流れている時間は同じなのに、苦しさは本来の

        マガジン

        マガジンをすべて見る すべて見る
        • パンとコーヒー
          しみ 他
        • 映画と音楽
          サトウリョウタ@毎日更新の人
        • エッセイ集
          サトウリョウタ@毎日更新の人
        • 東京百景
          サトウリョウタ@毎日更新の人
        • 何度も読みたい
          サトウリョウタ@毎日更新の人

        記事

        記事をすべて見る すべて見る

          道化師

          人間は最後ににおいを忘れるだなんて、顔も声も温もりも君の癖もまだ全部覚えているから、においを忘れるのは一体いつになるんだろう。忘れた頃にくるLINE。都合のいい女だと理解しつつも、都合のいい返事しかできない。 見返りばかり求めても、仕返しばかりが返ってくる。好きと嫌いの狭間を行ったり来たりして、顔を見るたびに好きに戻る。人のいない駅前でキスをしながら腰に手を回して、君の温もりに触れて、別れた瞬間に正気に戻る。 君を好きな理由ならいくらでも見つかるの

          我儘

          街にありふれた景色も君の手にかかれば綺麗に彩られるからこれからもたくさんの景色を共有していようよ。好きとか嫌いとかそういう類のやつはよくわからないけど、同じ景色を見るぐらいなら許されるでしょう?それすらも許されない関係にもはや未来はない。 いつだって作り上げたい未来は君がいる未来でそれが叶うならもうほかにはなにもいらないよって。それぐらいの思いで君と向き合ってんのぐらい気づけよ。この鈍感野郎。 あとほんのちょっと君の話を聞いていたかったんだよ。君の好きな人の話なんてさらさ

          春が咲く

          桜が咲いた。そして、散った。僕らは出会った。そして、別れた。まるで出会ったときからいつかやってくる「さよなら」を育んでいたかのように僕らは出会う。2人で育てた「さよなら」はいつの日か大きな悲しみになってしまった。 必然だった終わりはなにかの始まりで。僕らは誰かとまた出会い、またしても「さよなら」を育んでしまうのかもしれない。それでも何かに期待して、また傷ついてをあいも変わらず繰り返している。 春が咲いた。出会いと別れがやってくる。嬉しさと悲しさの両方を胸に抱えて、僕らはま

          いっそ、夜に溺れる

          夜遅くまで起きていると、街が静かだから心が落ち着く。日々、たくさんの業務に追い回されているからこそ、深夜の静けさが身に沁みる。誰もいない街に繰り出したくなるけれど、夜道は危険が伴うため、そこまで足が伸びない。 街にはもう桜が咲いているらしい。とはいっても、週末は雨予報のため、このまま花見をせずに桜のシーズンを終えるかもしれない。桜は飽きられるまに散る。加えて、例年同じ時期に花を咲かすため、冬が終わる頃にはいつになったら桜が咲くのだろうと心が躍る。街中を自転車で走っていると、

          離れてても、同じ空の下

          あの日、地元の友人たちが送別会を開いてくれた。 2023年の1月にずっと憧れていた東京に移住した。その理由は、30歳になって、やっぱり一度は東京で挑戦してみたいと思ったためだ。地元を離れるのは寂しかったのだけれど、上京に後悔はない。少し距離は離れているものの、LINEを使えばすぐに連絡を取れる。ひと昔前だったらありえない話だから、ITの発達はすごいなと感心するばかりだ。 僕が東京に移住する前に、中学生からずっと仲が良い2人の友人が送別会を開いてくれた。会っても寂しさが募る

          ぜんぶ低気圧のせいにする

          今日は低気圧のせいか、1日のほとんどをベッドの中で過ごした。午前中は恋人とホットケーキを焼いたのだけれど、食べ終わってすぐにまた眠りについた。 今日中に執筆を終えたい原稿があったため、仕事をしようと思いながらも、体が思うように動かない。どうしたものかと、気圧を見てみると15時までは爆弾低気圧のようだ。合点がいった。これはすべて低気圧のせいだ。 難病になるまでは、気圧によって体調が左右されることはなかった。低気圧に悩む人の気持ちがわからず、どうして気圧によって左右されるのだ

          独自性を磨いていく

          ここ最近は仕事だけでなく、プライベートでもAIの話で持ちっきりだ。たくさんの人が実験的にAIで遊んでいる話を耳にする。もちろん僕もその中の一人で、よくある人生相談をしたところ、悩みを解決するための具体的なステップを教えてくれた。その手法をうまく扱えば、悩みは解消するかもしれないとさえ思ってしまうほどのクオリティだったから、正直驚きを隠せない。 近い将来、AIに仕事を奪われるという話をどこかで聞いたことがあるが、それが今まさに現実になりつつある。現に、無人店舗が増えていたり、

          たかが人生、されど人生

          先日、「生きる意味」を問われる機会があった。さて、生きる意味とはなんなのだろうか。ちなみに、自身は生きる意味は死ぬ前に見つかれば万々歳だと考えている。それは生きる意味に囚われて、大切なものを見失うことが怖いためだ。生きている間に生きる意味が見つからなくても、それはそれで良しである。 自身の思考の癖として、過去に起きた出来事をなるべくマイルドに話してしまう傾向がある。苦しみの核心に触れないように、要所を端的に話す。そして、最後は前向きに話を締めるようにして、その話が誰かのため

          春のさよならを脱ぎ捨てて

          世間はすっかり春だ。街中に分厚いアウターを見かけなくなった。少し気分が滅入るのは春のせいだろうか。春には別れがつきものなはずなのに、僕の別れは冬真っ最中にやってきた。 30年住んだ大阪を離れて東京に移住。それまで共に過ごしてきた友人や家族とも随分と距離ができた。以前までなら連絡をすればすぐに会えたのに、今では会うことさえも大きな手間がかかる。 東京、新しいものとの出会いに忙殺される日々。手に入れたものはあるのだろうか。失ったものはあるのだろうか。ほんの少しでも気を抜いてし

          磁石

          まるで磁石のように惹かれあった2人。今では反発してしまった2人。君の瞳の奥にはもう私はいなくて、私の瞳の奥にはまだ君がいるのは、まだ私が前に進めていない証拠。 目をつぶればそこには笑顔の君がいて、目を開けばもうそこには君はいない。かつては当たり前だった2人。今では特別にすらなれない2人。2人で1つだなんて、嘘で騙して、私を乱して、用がすんだら、はい、ばいばい。 2人で回したねじまき時計。今ではすっかり動かずに、2人の時間とおんなじだねって。2人で約束した永遠は、手放すこと

          恋の終わりを春に重ねて

          いつもの帰り道に君をふと重ねて、いつも通り君との過去を後悔していた。夏の花火のようにパッと消える淡い思い。秋の肌寒さに切なさを思い出さない程度の思い。冬の雪が溶ける頃に君との思いも一緒に溶かして。春の桜は飽きられる前に散ってしまうから、その潔さを是非とも見習いたくて。ふと見せる悲しい君の顔の意味も最後までわからなくて、君の笑顔にまんまと騙されてたよ、ごめんね。 君を思い出にできるほど大人になれなくて、あの頃に戻りたいと思えるほど子どもになれなくて。青春なんて

          今日は自分を甘やかす

          昨日の深夜にカップラーメンを食べてから寝たら翌日にお腹を下していた。少し前なら全然平気だったのに、30歳を迎えるとこうも胃が弱くなるのかとびっくりしている。おかげさまで朝からトイレがお友達になっている。久しぶりの腹痛は想像以上に辛い。早く治ってほしいし、昨日の自分を責めたい気持ちでいっぱいだ。とはいえ、人間は何歳になっても同じ過ちを繰り返すため、致し方ないとも思っている節がある。 筋肉痛は翌日に来るため、まだ大丈夫だと思っていたのに、気がつかないうちに20歳のときとは違う体