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『コール・ジェーン』から考える女性の生きづらさ
『コール・ジェーン』という映画を試写会で観た。会場にはたくさんの女性がいて、男性はほとんどいなかった。中絶が禁止されていた1960年代のアメリカでバレないように女性たちに闇中絶を実施する地下組織「ジェーン」が中絶の権利を勝ち取る実話に基づいた話だ。ほんの数十年前に中絶に対する運動があったことを知らなかった。どれだけ温床育ちなのだろうと自分の無知さを恥じた。
女性にとっては勇気をもらえる作品だった
『LIGHTHOUSE』若林さんの「飽きた」という発言が素直に羨ましいと思った
『LIGHTHOUSE』で若林さんが仕事に飽きたと言っていた。素直に羨ましいと思った。若林さんが言う「飽きた」はありとあらゆる場所で結果を出してやりたいことがなくなったという意味であり、決して逃げの言葉ではない。
『LIGHTHOUSE』は星野源さんとオードリーの若林正恭さんが、“悩み”をテーマにお互いの悩みを赤裸々に打ち明けていくNetflixのトークバラエティ。
まだ何も成し遂げていない自
『どろろ』正義と正義のぶつかり合いの成れの果てにある世界は果たして美しいのだろうか
それぞれの正義に正しさなどあるのだろうか。正義は別視点から見ると悪に成り下がり、他者を傷つける要因となる。自身も正義を振り翳した結果、たくさんの人を傷つけてきた。後悔の念は消えることなく己の体に深く刻み込まれ、この取り返しのつかない現状がただただもどかしい。
週末を使って、Netflixで配信されている『どろろ』を一気観した。手塚治虫作品は人間の浅ましさが見事に描かれていて、観るたびに心の奥が締
離れてても、同じ空の下
あの日、地元の友人たちが送別会を開いてくれた。
2023年の1月にずっと憧れていた東京に移住した。その理由は、30歳になって、やっぱり一度は東京で挑戦してみたいと思ったためだ。地元を離れるのは寂しかったのだけれど、上京に後悔はない。少し距離は離れているものの、LINEを使えばすぐに連絡を取れる。ひと昔前だったらありえない話だから、ITの発達はすごいなと感心するばかりだ。
僕が東京に移住する前に
『マイ・ブロークン・マリコ』は残酷な現実に放たれた一縷の希望の物語だった
人生とは奇妙なほどに残酷で、時折美しさを見せるものだ。幸か不幸か、どこに生まれるかは自分で選べない。一切の苦労をせずに平凡な幸せを営む人もいれば、生まれてくる場所を間違えたと思うほどに残酷な仕打ちが待ち受けている人もいる。幸いにも『マイ・ブロークン・マリコ』を観終えた瞬間の空は明るかった。もしも夜に本作を観ていたらと考えるだけで、居た堪れない気持ちになる。
痛みが心を支配する瞬間と出会った覚えは
silent:想が綴った「言葉は何のためにあるのか」を再考する
silent(フジテレビ系)の第8話で紬(川口春奈)が想(目黒蓮)に映画を観ようと提案した。どうやら失聴者でも鑑賞できるバリアフリー付きの映画があるらしい。スマホで自分が観たい映画を決めている紬を見て、想は「本当に観たい映画あるの?」と聞く。紬は失聴者の自分に合わせているだけと感じたのだ。
その矢先に、紬のアルバイト先の友人が偶然やって来る。想の病状を知らない友人は、戸惑いを隠せない。想には聞こ
言わせてみてぇもんだ
お昼頃からくだらぬテレビをつけっぱなしにして、気がついたら日が沈んでいた。書いても書いても終わらない原稿にどんどんプログラムが消化されていくテレビ番組。うまくいっていたはずの原稿を気に入らないからという理由ですべて白紙に戻す。
テレビの音声だけを聴きながら、原稿と向き合っていた。ニュース番組には連日、日本代表の話題ばかりが取り上げられている。下馬評を見事に覆し、ドイツに逆転勝ち。スペインとドイツ
『silent』湊斗の「元に戻りたい」という発言について難病の当事者が感じたこと
湊斗の「元に戻りたい」という発言を無責任だと思った。元に戻れるわけがない。そもそも病気のあるなしにかかわらず、それぞれにそれぞれの8年があって、8年という月日は人の価値観や環境を大きく変えるものだ。
仮に昔の関係に戻れたとしても、完全に元通りになれるわけなんてない。加えて、湊斗が元に戻ったと感じたとしても、想の耳は聴こえるようにはならないし、想自身が元通りになったとは思わないだろう。
湊斗は高
『花束みたいな恋をした』を観ても、まったく胸が苦しくならなかった
遅ればせながら『花束みたいな恋をした』を観た。
周りの人から早く観てほしいと言われていた作品で、過去の恋愛を思い出すとか、恋愛と結婚は違うとか、観ていて胸が苦しくなるとか。以前からいろんな感想を聞いていた。
お互いに終電を逃して、運命的な出会いをした麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。サブカル好きという共通点を発見し、徐々に2人の仲が縮まっていく。絹の部屋に入ってすぐに麦が「ほぼうちの本棚じゃん」
『それでも世界が続くなら』に人生を救われた話
声を枯らし、命を燃やしながら歌う彼の姿は優しくて狂気的だった。
『それでも世界が続くなら』と出会ったのは、大学生の頃だ。当時家庭環境が原因で、生きることに絶望していた僕は音楽によって救われていた。
誰も知らない新しいアーティストを発掘するのが好きだったため、大学の授業終わりによくタワーレコードに足を運んでいた。女性のイラストのジャケットに目を奪われて、手に取ったのが『彼女の歌は死なない』と書か
【愛がなんだ】「幸せになりたいっすね」から考える幸せの定義
「幸せになりたいっすね」
映画『愛がなんだ』でナカハラが言った台詞である。以前『愛がなんだ』のテルコにまったく共感できないという記事を書いた。
この記事を書いてから1年近くが経ったが、やっぱりテルコの気持ちはわからないままだ。でも、なぜかナカハラの「幸せになりたいっすね」はずっと胸に残っていて、学生時代に同じ台詞をよく言っていたことを思い出した。
自分が不幸あるいは疲れているときは、他人の幸
RADWIMPS“夢番地”にいつかの自分を重ねて
小さい頃はお花屋さんになりたかった。夢を諦めてからは、ずっとサッカー選手を夢見ていた。かつて夢はたくさんあった。テレビやドラマで活躍するような主人公になれると本気で思っていたし、何者かになるためにもがいていた時期もあった。何も知らないはある意味幸せだ。それだけで強くなれる気がしていたし、たしかにあのときは無垢で自由で、それでいて、可能性を信じて疑わない最強な自分だった記憶がある。
小学生の3年生