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夜の静寂に誘われて

夜の静寂が深まる頃、1日をやり過ごしてクタクタになった体ががも眠毛に誘われていく。その瞬間がやってくるたびに、穏やかな心がひとときの安らぎを求めるようになる。睡眠とは、毎日を乗り切るために必要なエッセンスだ。何かを成し遂げたいのであれば、この安らぎの瞬間を求めなければならない。

10代は、どれだけ睡眠時間を削っても次の日に影響をきたすことはなかった。睡眠は次の日を迎えるための義務のようなもので、早く朝が来てほしいと日々の移り変わりを待ち侘びていた。次の日の友達との約束や部活動など興奮してなかなか眠りにつけなかった日もある。睡眠の時間がもったいない。そんなことを思う日もあった。30代を迎え、徐々に失われつつ体力が、睡眠を欲するようになった。いかに体を休め、心をリセットする時間が大切かを痛感している。

1週間のほとんどを仕事に費やしていて、突然眠気に誘われる瞬間が増えた。目の前の原稿に集中しようとしても、瞼が重くなって、少しずつ意識が遠のいていく。歯を食いしばれる日もあるけれど、無理に抵抗せずに、仮眠をとる日もある。心地よい眠気が全身を包み込む、ほんの少しの安らぎが血流となっていく。たった少しの仮眠が魔法のように体の疲れを癒す。

睡眠は体力回復だけに留まらない。夢という形でさまざまな体験を運んでくるものだ。それは心身に影響していて、ずっとそこにいたいと願うほど楽しいものもあれば、これが夢なら覚めてくれと絶望を誘うものもある。その日に見た夢によって、心身のチェックを行う。夢は創造力を養うタイミングでもあり、日々のプレッシャーと向き合うタイミングでもある。僕はそうやって、人生と向き合ってきた。

眠気は時に厄介だ。昼休み終わりの打ち合わせの際に襲ってくるそれは目の前に立ちはだかる壁のようである。一度生まれた眠気はすぐには治らない。背伸びをしたり、顔を洗ったりなど抵抗を試みる。いかにして眠気から逃れるか。その一点のみに集中するけれど、その抵抗がいかに疲れが溜まっているかを示唆してくれる。

睡眠は幸福を運んでくるものだ。深い眠りについた時の朝の目覚めの爽快感。日光を浴びた瞬間に生きているという実感を得る喜び。新しい1日の始まりが、睡眠によって示唆されるのだ。眠りは心身を休める至極の時間である。あらゆる疲れとストレスが睡眠によって緩和される。いかに睡眠の質を向上させるのか。そこに意識が向くようになったのは、30代を迎えてからだ。

1日の終わりに、今日起きた出来事を振り返る。全てが上手くいくわけではないけれど、最後は自分を褒めて終えたい。明日に希望を託すことで、ワクワクした気持ちで新しい1日を迎える。睡眠までの一連の流れが、前向きに生きるエネルギーを生み出す。疲れがピークに達した瞬間に、誘う眠気に身を任せ、心身をスッキリさせるために、そっと瞼を閉じる。そうやって新しい1日の準備を行うのだ。

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