記事一覧
ドストエフスキー「罪と罰」
ドストエフスキー「罪と罰」
読むのは3回目だった。読んでいて、クリスチャンの女の子と文通をしていたのを思い出した。その子は大学の同期で、住所を交換して手紙をたまに出し合っていた。そのころ自分はこの本を読んでいて、ソーニャの読み上げたラザロの復活がずっと心に残って、その場面について女の子に手紙を書いていた。けれどその子は他の男と会っていて、その男を私も愛せそうだからといって振られたのを思い出した。
渡辺淳一「ふたりの余白」
渡辺淳一のエッセイはぼくの人生の教科書だ。同じ高校出身の先輩で、医師であるということも関係しているのかもしれない。ともかく渡辺淳一のエッセイは、どこかにぐっと来るポイントがあり、ぼくはいつも少し泣いてしまう。
「若いというのは、風の強いそそり立つ稜線を、ひたすらまっすぐ歩いていくようなものかもしれない。
まっすぐ進めば、いつか強風で吹き飛ばされる。それを承知で、なお進む。どのあたりで飛ばされる
2022年8月25日
人と較べるのに疲れてしまった。人の目を気にするのにもう疲れた。
もっと過敏な人、気にしいな人がいるのは分かっているのだけど、母や父が周りの評価、承認を特に気にする人だったからか、人の目を気にしてしまう。
人と較べず、ひとり遊びができるようになりたいと思う。中島らもさんが、ほんとうの教養とはひとりで時間をつぶせる能力のことだといっていてまさにその通りなんだと思う。
河野裕「いなくなれ、群青」
これは弱者の物語でした。読み始めから文体が村上春樹に似通っていましたが、最後になってその理由がわかりました。羊をめぐる冒険で鼠はこういいます。
「キー・ポイントは弱さなんだ」と鼠は言った。「全てはそこから始まってるんだ。きっとその弱さを君は理解できないよ」
「人はみんな弱い」
「一般論だよ」と言って鼠は何度か指を鳴らした。「一般論をいくら並べても人はどこにも行けない。俺は今とても個人的な話をして