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白猫になった魔女 / 連作短編小説 -1-
――吾輩は猫である。
――名前など、とうに捨てた……。
「もぉ。白猫さんったら、またいけずなこと言わはって」
ひょい、と白猫は少女に持ち上げられる。少女の手首にミサンガで結ばれた小さな鈴が、チリンと可愛らしい音を転がす。
――小娘、いい加減にしてくれぬか。
――このような道の往来で、吾輩を赤子のように抱きかかえるなど。
「だって白猫さん、ずっと早足やし。こーんな短い足やのにねぇ」
――吾輩は猫である。
――名前など、とうに捨てた……。
「もぉ。白猫さんったら、またいけずなこと言わはって」
ひょい、と白猫は少女に持ち上げられる。少女の手首にミサンガで結ばれた小さな鈴が、チリンと可愛らしい音を転がす。
――小娘、いい加減にしてくれぬか。
――このような道の往来で、吾輩を赤子のように抱きかかえるなど。
「だって白猫さん、ずっと早足やし。こーんな短い足やのにねぇ」