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2024年2月の記事一覧

展覧会レポ:アーティゾン美術館「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治」

展覧会レポ:アーティゾン美術館「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治」

【約2,600文字、写真約40枚】
アーティゾン美術館の「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治」を鑑賞しました。写真をメインに、その感想を書きます。

結論から言うと、1)アーティゾン美術館所蔵の質が高く、センスの良い作品を数多く見ることができるため満足度は高い、2)5階・4階のコレクション展は、企画展と同レベルでメインのような存在、3)好きな作品をじっくり見たり、自分の新たな「好

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【Yin&Yang】白井美穂 森の空き地 & 豊嶋康子×白井美穂アーティストトーク 府中市美術館

【Yin&Yang】白井美穂 森の空き地 & 豊嶋康子×白井美穂アーティストトーク 府中市美術館

白井美穂氏の名前、作品はここ府中に来るまで存じ上げず、すべての作品が初対面となった。因みに、Mio Shirai と記述される通りに読むと「しらいみお」。みほさんではない。

今回は展覧会とそれにまつわるアーティスト・トークに参加した話を書き残す。展覧会の会期は2024年2月25日までなので、お早めに。

【特に印象的だった作品】

展示室内撮影禁止のため画像は以下オフィシャルリンクより。

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【じゃない方の椅子】アブソリュート・チェアーズ 埼玉県立近代美術館

【じゃない方の椅子】アブソリュート・チェアーズ 埼玉県立近代美術館

椅子の展示??…
インテリア系?
インダストリアルデザイン?
プロダクト系?

ではない文脈の、椅子をテーマとした展覧会である。

このテーマの切り口がめちゃくちゃ面白かった。
身近だが、それ故に深く考えることもなく日々腰掛ける椅子。その椅子についてアートはどう関わってきたか。

うーーん、埼玉県立近代美術館はいつも多彩な変化球を投げてくる。
そんな概要はこちら。

館内、写真バツマークのみ撮影禁

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京都市京セラ美術館 京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」~展覧会#51~

京都市京セラ美術館 京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」~展覧会#51~

世界の村上大個展「日本の現代アーティストで、世界にその名前が知られている人物を3人挙げよ」と言われたら・・・。
1位は間違いなく草間彌生だ。そして2位か3位には村上隆が入るだろう。アメリカを始めヨーロッパでも個展を開催し、高い評価を受けている村上の作品は、世界各地の美術館のコレクションとなっている。海外での知名度も高い。

村上隆は、東京藝大で日本画を学んだが、京都は伝統的な日本画の発祥の地である

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ハードボイルド書店員日記【173】

ハードボイルド書店員日記【173】

書店の1日は荷開けから始まる。

雑誌と新刊、そして補充分。雑誌は付録を付けて棚に出す(コロコロコミックやゼクシィみたいに大量に入るものは、積める分だけ開ける。残りは仕入れ室にストック)。書籍は新刊と補充分を分け、ジャンルごとに長机の上へ置く。置けなくなったら各担当が使うブックトラックへ移す。

すべての書店が同じ方式で動いているわけではない。都内の大型店だと雑誌と新刊は前日の午後に入る(雑誌とム

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エッセン 世界遺産の炭鉱業遺跡群

エッセン 世界遺産の炭鉱業遺跡群

エッセンという街の名前をご存知なくとも、ルール工業地帯という言葉は、誰もが知っているだろう。
産業革命後、ヨーロッパの工業化の中心となった地域だ。

エッセン Essen
この街にあるZollverein ツォルフェラインは、2001年に世界遺産に登録された炭鉱業遺跡群。
大きく分けて、炭鉱、採掘坑、コークス工場の三つの施設群で成り立っている。

敷地面積は、100ヘクタール。
これは、ディズニー

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ハードボイルド書店員日記【172】

ハードボイルド書店員日記【172】

「ない? ああそう」

閑散期の平日。しかし荷物は多い。先月ひとり辞めたから尚更そう感じる。混み具合に留意しつつレジを抜け、品出しを急ぐ。昼休憩を半分削るという切り札が脳裏を掠めた。だがよくよく考えたらそんなカードは配られていない。あったとしても私には見えない。少なくとも最低賃金でサービス早出を繰り返す非正規書店員の手元には。

「取り寄せもできないの?」「すんません」「そこは『申し訳ございません

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