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高井宏章 雑文帳

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徒然なるままに。案外、ええ事書いてます
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2019年2月の記事一覧

離れ業の人間賛歌「自虐の詩」

離れ業の人間賛歌「自虐の詩」

独選「大人の必読マンガ」案内(9)
業田良家『自虐の詩』お気に入りの小説やマンガが映画化されると聞くと、「やめておけばいいのに……」と思うことは少なくない。原作に対する愛着が深いほど、「汚される」という懸念が強まるからだ。

これまで、「映画化なんてムチャはよせ」と思った筆頭格は、小説ではアゴタ・クリストフの『悪童日記』、マンガでは業田良家(ごうだよしいえ)の『自虐の詩』だ。
前者は劇場に足を運ん

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「欠けたピース」が示す米国の病『大統領失踪』

「欠けたピース」が示す米国の病『大統領失踪』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に1月14日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteにも転載しています。

元米国大統領が書いた、大統領を主人公としたエンターテインメント小説というだけで、「勝負あった」感のある秀作だ。

『大統領失踪』(早川書房)
ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン/著 越前敏弥・久野 郁子/訳

政権基盤がもろく、弾劾の淵にある大統領ダンカンは、米国を突如として

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「早すぎた天才」の実像『真説・佐山サトル』

「早すぎた天才」の実像『真説・佐山サトル』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に12月26日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteにも転載しています。

「真説」というタイトルに偽りなしの、佐山サトル・初代タイガーマスクの評伝の決定版。往年のプロレスファン、あるいは佐山サトルという稀有な格闘家に興味をもってきた読者なら、数々の疑問が解けてスッキリすること請け合いの力作だ。

『真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』集英社イ

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「逆アルジャーノン」のスリル『うつ病九段』

「逆アルジャーノン」のスリル『うつ病九段』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に12月26日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteにも転載しています。

いわゆる「羽生世代」のベテラン棋士にして、軽妙なエッセイでも知られる先崎学氏のうつ病の闘病日記だ。エッセイストとしての先崎学ファン(私自身がそうだ)はもちろんのこと、「将棋」「うつ病」「闘病」といったキーワードがひっかかる人なら、読んで損はない。棋界の人間模様だけでも読み物として

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なぜか「道を聞かれる」ヒト

なぜか「道を聞かれる」ヒト

私のことです。なぜか、昔から、妙に人に道を尋ねられることが多い。
しかも、自分でも思い出し笑いすることがあるような、「なんでやねん」という妙なシチュエーションが少なくない。今日は、そんな話を。

最初の「なんでやねん」体験は、高校生のころ、名古屋でのことだった。
昼過ぎごろだったろうか、私は出来町通りの歩道を砂田橋方面に向けて歩いていた。なぜそんなところにいたのかは思いだせない。
すると、少し腰の

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「大衆」は変わらない 『ゲッベルスと私』

「大衆」は変わらない 『ゲッベルスと私』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に12月17日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteに転載することといたしました。

初めはあまりに淡々とした語り口に違和感を覚える。
だが、読み進むうちに、読者は「語り手と自分に、どんな差があるというのだろうか」という問いを突き付けられ、知らず知らずのうちに鏡をのぞきこむような思いでページをめくらされる。
『ゲッベルスと私』は、数あるナチスドイツ関連の

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本は「天下の回りモノ」である

本は「天下の回りモノ」である

以前、こんな騒動(?)あった。

メルカリのスマホ決裁「メルペイ」が後払いサービスを発表
  ↓
メルペイのトップが「新しい本を『借りるようにして読む』体験を提供できる」と発言。「後払いで買う→読む→本をメルカリで売る→売却代金で支払い」ができる、という話。

これに某氏が「著者及び出版社への敬意が全くない」と激怒。メルカリとの絶縁を宣言。

別の某氏が「それは違うんじゃないか?」と反論

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「おカネの教室」第1章、第2章を全文公開!

「おカネの教室」第1章、第2章を全文公開!

1時間目 そろばん勘定クラブへようこそ 思った通り、2年6組の教室はがらんとしていた。
 ちょっと迷ってから、僕は真ん中から少し窓寄りの列の、前から3番目の席に着いた。校庭からサッカークラブの声が聞こえる。ため息が出た。
 僕の中学校では毎週月曜の6時間目はクラブの時間だ。部活とは別の種目を選ぶのがルールで、僕は今年もバスケと同じくらい好きなサッカークラブを狙っていた。でも、ラッキーだった1年生の

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英語紙芝居 ハックルベリーフィン

英語紙芝居 ハックルベリーフィン

中3の次女が英語の授業で面白い紙芝居を作っていたので、親馬鹿でシェアします。ハックルベリーフィンのチャプター2。イラストを次女と親友のHちゃんの2人が担当。英文はみんなで書いて、次女が多少、手を入れたようです。
ちなみに1枚だけ絵を描いているのを見ていたのですが、サラっと下書きすると、30分弱で出来上がっちゃいます。仕事、はや!

Time he spent in the hut was terr

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「ハリポタ」という深い沼

「ハリポタ」という深い沼

人は、気づいたら深い沼に足をとられていることがある。

例えば私の趣味のビリヤード。初めてやったのは中学生、自分のキュー(棒、ね。ただの木の棒。ウン十万円したりしますが)を買って本格的に初めてから20年ちょっと経つ。
おカネも時間もそれなりに投じている。それなり、というより、怖くて概算を出すのも憚られるほど、投じている。
でも、これは一生の趣味になりそうなので、まあOKってことにしたい。

最近、

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【感謝!】おカネの教室 ビジネス書グランプリ4位!【プチジャイキリ】

【感謝!】おカネの教室 ビジネス書グランプリ4位!【プチジャイキリ】

昨日2月19日、都内でビジネス書グランプリ2019の授賞イベントがあった。私のデビュー作「おカネの教室」も、版元のインプレスさんが気を利かせて知らぬ間にエントリーしてくれていたので、ちょっと顔を出してみた。

ビジネス書かもビミョーな変な本だし、売れ行きから考えても受賞は初めから絶望的。万が一、奇跡が起きてたら事前連絡があったはずだろうから、昨日、イベントに行く時点で「敗者としての観戦」は確定して

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単発「~たり」禁止教団への抵抗

単発「~たり」禁止教団への抵抗

最近、家族に注意されたりするほどツイッター(アカウントはこちら)を徘徊している。今朝も寝起きにつらつらとタイムラインを眺めていたら、こんなツイートが流れてきた。

(読みは「こずえ」?なら、なぜ(あこ)?)

私もライター(みたいなもの)だし、「全員読むべき」とあるし、ちょっと朝からお勉強するか、なんて殊勝な気分になり、Mitsufumi Obaraさんという方のこのnoteを読んでみた。
ちなみ

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全文公開 童話「ポドモド」

全文公開 童話「ポドモド」

Kindleストアで発売中の童話「ポドモド」を全文公開します。
お話を父・高井浩章、表紙・イラストを次女が担当した親子合作童話です。元は2000年生まれの長女が低学年だったころに家庭内連載したファンタジーで、「おカネの教室」同様、我が家で三姉妹が楽しんでいた読み物でした。2017年夏にKindle版を出す際、中学生だった次女がイラストを追加してくれました。
以下、Amazonの紹介文を抜粋します。

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「『おカネの教室』ができるまで」全文公開しました!

「『おカネの教室』ができるまで」全文公開しました!

タイトルのまんまです。
noteの連載をまとめてKindleで個人出版した「『おカネの教室』ができるまで」を全文公開しました。
リンクはこちらです。

公開したのは「おカネの教室」本体ではございませんので、関係各位および読者の皆様、早とちりなさらないでください(笑)

こちらではなく、

こちらです。

「いや、そもそもnoteで無料公開したまとめでしょ?」と自分でもツッコミを入れているところです

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