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【感謝!】おカネの教室 ビジネス書グランプリ4位!【プチジャイキリ】

昨日2月19日、都内でビジネス書グランプリ2019の授賞イベントがあった。私のデビュー作「おカネの教室」も、版元のインプレスさんが気を利かせて知らぬ間にエントリーしてくれていたので、ちょっと顔を出してみた。

ビジネス書かもビミョーな変な本だし、売れ行きから考えても受賞は初めから絶望的。万が一、奇跡が起きてたら事前連絡があったはずだろうから、昨日、イベントに行く時点で「敗者としての観戦」は確定していた。

そんな私のお目当ては、トークイベントに登壇された佐々木俊尚さんにご挨拶することだった。
佐々木さんには個人出版のKindle版の頃から「おカネの教室」をプッシュしていただいた御恩があるのだが、直接お会いする機会を見つけられないでいた。イベント開始前に少々お時間をもらい、自分の口でお礼を伝えられて、ようやく人としての義務を果たすことができたとホッとした。

なぜここに?謎の手塚本コレクション

目的を達した私にとって、後は「おまけ」だったのだが、これが予想外の嬉しい豊作となった。

まずイベント前の前菜。
会場はパレレスサイドビル(竹橋の毎日新聞のビル、と言った方が通りは良いだろう)内にあるメディアドゥのイベントスペースだったのだが、ここにトンデモナイお宝たちが鎮座していたのだ。

なんと、ほぼ完璧な手塚治虫コレクションである。上の写真、並んでいるのはすべて手塚作品だ。
もうとにかく、全作品、全バージョンあるのでは、という勢いでそろっている。イベント後に身を隠して人がはけたら徹夜で読んでやろうか(←不法侵入)と迷ったほどの充実したラインナップだ。

それもそのはず、その辺にいたスタッフに「なぜこんなものが?」と聞いたら、どうも手塚プロが置き場に困り、では引き取りましょう、みたいな流れで管理を請け負っているらしい。
「借り物」なので汚すとまずいから読んじゃだめよ、という実に残酷な生殺し状態であることも分かったので、隠密マラソン読破は断念(←不法侵入)。
でも、手塚先生なら、「マンガを並べておいてどうする!読んでもらえ!」とおっしゃるんじゃないだろうか。ねえ、手塚先生。

佐々木さんへのご挨拶と手塚コレクションで「元は取った」(いや、参加無料でしたけどね)という気分だったので、受賞イベントは肩の力を抜いて完全な野次馬根性で楽しむつもりだった。

まさかのジャイキリ

ビジネス書グランプリは6部門プラス総合グランプリという構成で、「おカネの教室」はリベラルアーツ部門にエントリーしていた。
リベラルアーツ、である。
繰り返します。

リベラルアーツ!

そこのアナタ、笑わないように。私は最初に聞いたとき声をあげて笑ってしまったが。
さて、リベラルアーツ部門の候補13作品を列挙してみよう。

読書という荒野  見城 徹
ホモ・デウス ユヴァル・ノア・ハラリ
世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事 津川 友介
会計の世界史 田中靖浩
「民族」で読み解く世界史 宇山卓栄
数に強くなる本 人生が変わる授業 永野 裕之
THE RHETORIC ジェイ・ハインリックス
瞬読 山中 恵美子
海の歴史 ジャック・アタリ
1日1ページ 読むだけで身につく世界の教養365 
  デイヴィッド・S・キダー,ノア・D・オッペンハイム
AI vs. 教科書が読めない子どもたち 新井紀子
歴史は実験できるのか ジャレド・ダイアモンド
おカネの教室 高井浩章
(一部タイトル・副題を省略)

冒頭に「絶望的」と書いたのがご理解いただけるだろう。
いかに私がノーテンキな人間でも、「ホモ・デウス」に勝てると思うほどのアホではない。
それ以外にもこの1年、話題書コーナー平積みレギュラー陣がわらわらと並んでおり、「まあ、よくエントリーしたな」と改めて版元の神経の太さに感心した次第である。

さて、引っ張ってもしょうがないので、まずは結果を。

(インプレス井上さん、安定の手ブレショット)

ホモデウス、AIvs、幻冬舎社長本までは順当というか予想通りだが…

なんと、「おカネの教室」、まさかの4位!

参考までにベスト5の売れ行きを列挙する(ネット情報。目安、ね)

1  ホモ・デウス → 世界で400万部超 
2 AI vs → (少なくとも)25万部突破
3 読書という荒野 → 発売後すぐ10万突破(現状数十万?)
4 おカネの教室 → 5万部ぐらい…
5 1日1ページの教養 → 世界でミリオン、日本だけで33万部超

実は発表直後はエントリー数が13冊もあったのをすっかり忘れていて、「5冊中4位か…ビリ回避!」とか担当編集さんとLINEしてたのだが、再確認したらジャック・アタリ先生やらジャレッド・ダイヤモンド先生やらと一緒にゲートインさせられていたのだった。津川先生の「究極の食事」なんて良書までライバルとは、つくづく版元の神経の(以下略)

ツイッターで実況中継的に報告したら、仲良しの書店員の益子さんがすぐにリツイートしてくれた。

いやほんと。
大番狂わせ! ナイス、プチ・ジャイアントキリング!
我ながら「やるな」と感心しまして、フォロワーのいわぽんさんがエントリー直後に書き込んでくれた、嬉しいツイートを思い出したのだった。

「読者の一番近くにいる」。
いいフレーズだなぁ。オジサン、泣いちゃうよ…。少なくとも、エントリー作品中で一番ハードルが低い本では、とは思います。

受賞作品の発表後は、イノベーション部門トップで総合4位の破天荒フェニックスの著者・田中修治さんの公開インタビューや、「The four GAFA」と「1分で話せ!」の担当編集者お二人と佐々木さんによるトークショーがあった。
いずれも本づくりの裏側や「なるほどねえ」と頷くマーケティング戦略を知る貴重な機会になり、こちらも豊作であった。

印象に残っているのは、佐々木さんの「今はロングセラーを作るのが本当に難しい」という言葉だ。
書店に足を運んで棚をチェックする機会が増えたので、おっしゃることはよく分かる。滞空時間が1年くらいあるベストセラーは少なくない。というか、
「ある程度売れると『売れてる本』として棚が取れて、次の『売れてる本』が登場するまでは高露出でペースがキープできる」という印象を持っている。「売れてる本」に出版社が広告宣伝費を集中投下する傾向もある。
もちろん、中身がダメならそもそも売れないのだけど、「ドカン!」と行った本がどれほど「残っている」かは、こちらの紀伊國屋書店の2015年のベストセラーリストを見れば、なかなかに厳しい現実がある。

さて、「おカネの教室」は「残る本」になること、つまりロングセラー化を狙っている。
ま、ドカンと売れるはずもない本なので他の選択肢は「そっと消える」ぐらいしかないわけだが、佐々木さんのお言葉を聞いて、「ああ、地味だけど、これはなかなか無茶な目標なんだな」という思いを強くした。
でも、行けるんじゃないかなー、とも思っている。
何といっても、

リベラルアーツ!

だし!
イマイチ根拠ないな…。

ということで、関係者の皆さま、お疲れ様でした&ありがとうございました!

最後に受賞者のみなさんの集合写真を。

よく考えると、嬉々としてこれ撮ってるあたり、敗者側感すごいな…。
ま、いいか。

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ご愛読ありがとうございます。ツイッターやってます。
そしてこちらがリベラルアーツ部門4位の話題作!です。



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