◆森鷗外の最高傑作ともいわれる「渋江抽斎」。鷗外の問題意識をつかめず読み終えなかった人もいるだろうから、 たとえば読前に 三谷太一郎「森鷗外の歴史認識」『人は時代といかに向き合うか』224頁 読後に 木庭顕「森鷗外と「クリチック」」『憲法9条へのカタバシス』128頁
鷗外森林太郎の【脚気問題】から、柳田國男や折口信夫の「民俗学」に託されたもの。それはちょうど欧米の学問におけるフロイトやユングによる「深層心理学」の確立に対応したものだと、私には思はれる。漱石夏目金之助における心の闇は【子規問題】で、その表出が小説『こころ』だと、私には思はれる。
◆森鷗外の五条秀麿シリーズ「かのように」「吃逆」「藤棚」「鎚一下」(「秀麿もの」四編).ちくま文庫で読んだが、同文庫は頁を繰らずに脚注を確認できるのでとてもよい。鷗外が創り出す最高峰の日本語の連なりを、時代を越えて読むことができるのは素晴らしいことだ。
森茉莉のエッセー読んでると鷗外の小説はあまり評価してなくて翻訳を評価してる。特にアンデルセンの『即興詩人』。これ郡山に行ったついでに探したらあった。
鼬の道切り(いたちのみちきり) :人との音信が途絶えること。森鷗外の詩「直言」を読んでたら見つけた言葉。