大学時代の友人に勧められて森鷗外の短編小説『半日』を読む。妻と夫の母親との小競り合いが夫の視点で語られる。そこはかとなくユーモアも感じられるので暗い話には傾かない。夫婦には「玉ちゃん」という一人娘がいる。娘の何気ない仕草が可愛くて夫を和ませる。この短編は鷗外初の口語体小説らしい。
◆森鷗外の最高傑作ともいわれる「渋江抽斎」。鷗外の問題意識をつかめず読み終えなかった人もいるだろうから、 たとえば読前に 三谷太一郎「森鷗外の歴史認識」『人は時代といかに向き合うか』224頁 読後に 木庭顕「森鷗外と「クリチック」」『憲法9条へのカタバシス』128頁