夏目漱石「それから」2-2
◇評論
今話は、代助と平岡のこれまでの関係が述べられる。
・「代助と平岡とは中学時代からの知り合」
・「殊に学校を卒業して後、一年間といふものは、殆んど兄弟の様に親しく往来」。「其時分は互に凡てを打ち明けて、互に力に為(な)り合ふ様なことを云ふのが、互に娯楽の尤もなるものであつた。この娯楽が変じて実行となつた事も少なくないので、彼等は双互の為めに口にした凡ての言葉には、娯楽どころか、常に一種の犠牲を含んでゐると確信してゐた。さうして其犠牲を即座に払へば、娯楽の性質が、忽然苦