夏目漱石「こころ」について~先生神話の崩壊
先生、お嬢さん、Kそれぞれの家族の確認。
先生は両親を伝染病で失い、叔父の裏切りから故郷と縁を切る。兄弟もおらず、天涯孤独の身。
お嬢さんも一人っ子で、父親を戦争で失っている。母ひとり子ひとり。奥さんにしてみれば、身寄りのいない先生は、自分の家の再興を考える上において、最高の婿である。相手の家との関係を考慮しなくていいし、自分の家に迎え入れることができる。
Kの両親と養父母は存命だが、縁を切られている状態であり、きょうだいとは疎遠な関係。
つまり、先生とKは、親も、頼る人も