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夏目漱石「それから」

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「それから」をはじめから丁寧に読んでいきます。
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記事一覧

夏目漱石「それから」3-4

◇評論  父親と息子の実のない会話は続く。いつまでもお坊ちゃん然とした息子に噛んで含める…

私
2日前

夏目漱石「それから」3-3

◇評論 ・「代助は今 此(こ)の親爺と対坐してゐる。」  代助と父親の、心理的対決の場面。代…

私
3日前

夏目漱石「それから」3-2

◇評論 今話は、代助の閉口する相手である父親が描かれる。世代の違いは考え方や価値観、…

私
5日前

夏目漱石「それから」3-1

◇評論  今話は代助の家族の情報が紹介される。 〇父親について ・名は「長井 得」…「得」…

私
9日前

夏目漱石「それから」2-5

◇評論 ・「代助は平岡が語つたより外(ほか)に、まだ何かあるに違ひないと鑑定した。」  「外…

私
11日前

夏目漱石「それから」2-4

◇評論  「酒の勢で変な議論をしたものだから、肝心の一身上の話はまだ少しも発展せずにゐる…

100〜
割引あり
私
2週間前

夏目漱石「それから」2-3

◇評論  前話の、「此変動の一部始終を聞かうと待設けて居たのだが」、「中々埒を開けない」。代助は仕方なしに、「久し振りだから、其所いらで飯でも食はう」と平岡を「無理に引張つて、近所の西洋料理へ上がつた」を承けた場面。  平岡にしてみれば、自身の窮状に比して、のんびり優雅に暮らしている昔の友人に対する妬みがあるだろう。前に代助の家をほめたのも、その意味と意図がある。昔は同じような境遇だったふたりが、今は違ってしまったのだ。だから再会後のふたりの会話はぎこちない。それが、酒が入

夏目漱石「それから」2-2

◇評論  今話は、代助と平岡のこれまでの関係が述べられる。 ・「代助と平岡とは中学時代から…

私
2週間前
5

夏目漱石「それから」2-1

◇評論  「着物でも着換へて、此方(こつち)から平岡の宿を訪ね様かと思つてゐる所へ、折よく…

私
2週間前

夏目漱石「それから」1-4

◇評論 ・代助はタバコをたしなんでいる。 ・門野は、主人が食事を終えタバコをふかすのを見て…

私
2週間前
1

夏目漱石「それから」1-3

◇評論  前段の最後に、「門野が代助の所へ引き移る二週間前には、此若い独身の主人と、此 食…

私
3週間前
1

夏目漱石「それから」1-2

◇評論  ここもとてもスムーズに物語が語られ流れている場面。「門野」という書生と、もう一…

私
3週間前

夏目漱石「それから」1-1②

◇評論  この部分の要点は、最後の、「彼は旧時代の日本を乗り超えてゐる」に集約される。  …

私
3週間前
1

夏目漱石「それから」1-1①

◇評論  この物語は、いきなり夢落ちで始まる点に特徴がある。素直な読み手は、初め「代助」の空想かと思いながら読んでいると、それは夢だったと突然知らされる。語り始めがこの調子では、語り手の語りの手法についていくためには、用心・注意が必要だと、読み手は警戒するだろう。従って、緊張感をもってこの後の語りを読み進めることになる。  また、長編小説の最後の部分に再び夢落ちが使われるのではないかとか、登場人物が夢のような世界へ迷い込むのではないかといった想像が容易につく。結末部分のページ