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鷗外さんの「小倉日記」語る会編6月「魚玄機」

北九州鷗外記念会では、毎月、鍛冶町旧居で「語る会」講座を開いています。
今月の語る会は6月1日、勝田理事の「魚玄機」でした。
この作品、鷗外さんが大正4年に書いたもので、鷗外作品の中では結構レアな(あまり知られていない)作品です。
魚玄機とは実在の人で中国、唐代末の女流詩人。長安の人。字(あざな)は蕙蘭(けいらん)・幼微。詩文の才能で有名になり、女道士となったが、召使いの女を殺して死刑になった。森鷗外の小説「魚玄機」の主人公、とあります。

森鷗外旧居のお知らせ

あらすじは、
魚玄機は長安の魚家という娼家に生まれるが、美しく聡明な少女。その家風に染まらず幼い頃から詩を学び、詩人の道を歩む。容貌は美しいうえに詩才は卓抜しており、両親はその才能をのばしていずれは玄機を金のなる木にしたいと願っていた。

高名な詩人・温飛卿と親しくなり玄機の名は次第に高くなり、温の友人で富豪の李億に求愛され側室となる。
しかし、それが李の正妻の知るところとなり、玄機は道教の道士となる。
そこで年下の陳と知り合い恋愛関係になるが、陳は下女と親しげでその仲を怪しんだ玄機は下女を詰問、殺してしまう。玄機は、逮捕され死刑に処せられ26年の生涯を終えた。

唐代といえば、科挙という試験に合格すれば、男なら出自を問わず官僚になれ出世できた時代。聡明な玄機は、「自分も男だったら」と女に生まれた境遇を恨んだに違いありません。

プライバシー保護のためお顔を隠しました

講座の聴講者の中からは、玄機が同性に思いを寄せたりの記述から、LGBTの問題の提起があったり、平塚雷鳥の逃避行を鷗外さんが気にかけていたことから恋愛感情のもつれとか、大正デモクラシーの頃、女性解放のテーマが含まれているのでは、などさまざまな意見が出て、興味深い楽しい講座となりました。
来月も第一土曜日午後2時から講座があります。

#小倉日記 #森鷗外   #北九州森鷗外記念会 #魚玄機 #唐詩人

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