麗子のことなど(1) -再掲-
某氏の「玲子」という女性にまつわる連詩に触発され、同名の女性を追憶した残滓である。
大学一年生の夏、文芸部に入部した。
一ヶ月前に新築の建物に移転したものの、部屋は建材見本のように真新しいはずだった壁はすでに汚れ、黒鉛筆と赤インクで落書きされていた。かつての部室から運んだものらしい木造の傷だらけの歪んだ長机、まともに座れそうにもない椅子が散らばっていた。ページが開かれたまま、あるいは表紙がちぎり取られた雑誌が、あちこちに崩れかけた堆積になっている。まるで遺跡発掘直後の散