Thomas Lyndon

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MIMMIのサーガあるいは年代記

1/n                承 前 「全宇宙の高貴にして偉大なる支配者かつ全知全能の神に等しきMIMMI皇帝! 皇帝陛下にとこしえの栄えあれ!」  まずはこの物語を始める前に、宇宙一邪悪で狡猾、残忍と言われるMIMMI皇帝の姿について語らねばなるまい。ミンミ皇帝は壮年のたくましい男性として描かれ帝国内に流布されているが、真実は分からない。  クリンゴン星の荒野に潜む隠者は、本当は電脳の集合体でバーチャルな存在だが統治の便宜上、ホログラムであのような姿を創出して

    • 夏あざみの弔い(その3)#詩のようなもの

           1 影をなくした日時計の周りで 鶺鴒が 斃れた兵士たちの 眼球をせわしなくつつきあい 腐臭と腐肉 蛆の塊と 赤土の泥と襤褸がとけあった 白骨街道 そうして曙光が 朝露を懐胎した桔梗を色づかせ 鶏頭花が中空をめざして競い合う 力尽きたわたしの 頸を切りおとした あの雑兵を 呪ってはいないし 地獄におとされたことも もはや愛しい……        2 つぎの曲がり角で 腰をおろそう 一息つこう 帯解で クマ蝉たちが背押す坂を 草いきれに酔い 死病をおし

      • 夏あざみの弔い(その2)#詩のようなもの

           1 雷鳴に驚倒するように 枯れはてた夏薊が 血を滴らせ あざやかに蘇える 手向けたのは 誰だろう? 家鴨の首と一緒に この湿った墓に供えたのは 青鷺が 闇夜の中空に浮遊するビニール袋のように 不吉に漂いまわり 驢馬が後ろで 大きく湿った 老いたくしゃみを続けている あたりは無人のぬかるんだ墓地で 憂鬱と 皮肉と 生者のささやかな喜悦で 腐りきっている わたしの墓標に刻まれたラテン語は たしかに 熱病にうなされて一度口にしたものだ しかし何故? 識られた? 蘇らせた

        • 過日、葬儀に参列したのだが、ふと思った。 香奠である。新一万円札がキラキラして、忌みごとに不相応ではないか。 日銀は、最新の偽造防止技術、ユニバーサルなど観点で新造し、香奠使用時の印象など考慮外とは承知しているが、違和感があった。あたかも、結婚祝いに禍々しい祝いをするような。

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        MIMMIのサーガあるいは年代記

        • 夏あざみの弔い(その3)#詩のようなもの

        • 夏あざみの弔い(その2)#詩のようなもの

        • 過日、葬儀に参列したのだが、ふと思った。 香奠である。新一万円札がキラキラして、忌みごとに不相応ではないか。 日銀は、最新の偽造防止技術、ユニバーサルなど観点で新造し、香奠使用時の印象など考慮外とは承知しているが、違和感があった。あたかも、結婚祝いに禍々しい祝いをするような。

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        • 麗子のことなど
          3本
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          稚児化粧の日  #詩のようなもの

          秋の空からは 管楽器のしらべが 降ってくると 詠った吟遊詩人のたわごとは 信じないし 銀木犀は 育ちすぎて もう香らないし 秋涼なんて言葉も 百年前の小説でよんだきり   あるむかし ひるの風呂場が 寒くて暗く 水垢離は もっとつめたい でも 飛沫は ほのかに秋桜色をやどしている   うす白粉ぬって 薔薇色にほお紅はたいて 化粧筆で口紅を 母がさしてくれる 稚児化粧 なれない香料が 鼻にさえずり 紗が貌を歪ませる きれいな おべべ着せられて 姿見の

          稚児化粧の日  #詩のようなもの

          本邦キラキラネームの起源とも言われる森鷗外の長男の名前についての長年の疑問

           文豪森鷗外の長男の名前を「於菟」という。中学校か高校の国語の授業では、鷗外は子供たちの名前をドイツ語風に名付け、「於菟」はオットーにちなんでいる、と教わった。鷗外の経歴からすればおかしくない。しかし、小さな疑問が残ったのを憶えている。  それは「於菟」というあまり見馴れない漢字を使っている点である。オットーの当て字はいくらでもみつかるだろう。  この小さな疑問は、長年放置されていた。いや、忘れていた。究明するには必要性も動機も小さすぎた。  しかし、最近、書店で目についた

          本邦キラキラネームの起源とも言われる森鷗外の長男の名前についての長年の疑問

          地上げと云えば、『地上の星』が流行って随分経った頃、職場の若い同僚が曲名を、 「じあげの星」と読んだ。 わたしは、なんと一般常識と教養にあふれた職場だと、いたく感動した。 そこで、カラオケ用の替歌『地上げの星』を作った。 「つばめよ高い空からおしえてよ 地上げの土地を……」

          地上げと云えば、『地上の星』が流行って随分経った頃、職場の若い同僚が曲名を、 「じあげの星」と読んだ。 わたしは、なんと一般常識と教養にあふれた職場だと、いたく感動した。 そこで、カラオケ用の替歌『地上げの星』を作った。 「つばめよ高い空からおしえてよ 地上げの土地を……」

          世界長者番付トップ10に入ったら、六本木を地上げしてべコ(牛)飼って、港区白金台でコイン精米機数百台を設置したい。夢です。お金儲けの方法知らないけれど。 https://www.jiji.com/jc/article?k=2024090400909&g=int https://www.youtube.com/watch?v=UzRVEQDxiOo&ab_channel=Tacs12%28Keido%29

          世界長者番付トップ10に入ったら、六本木を地上げしてべコ(牛)飼って、港区白金台でコイン精米機数百台を設置したい。夢です。お金儲けの方法知らないけれど。 https://www.jiji.com/jc/article?k=2024090400909&g=int https://www.youtube.com/watch?v=UzRVEQDxiOo&ab_channel=Tacs12%28Keido%29

          夏あざみの弔い  #詩のようなもの

                     Ⅰ   ながい道脇は たけだけしい緑が擾乱していた やっとたどりついたのは リヨンの市場で 城壁のはずれにあった いやになるほど混沌で 騒がしく 卑猥な陽気がつまっている 泥と牛馬の糞尿は混じり合い 幼子たちはま転びる    「ほれほれ、まるまる肥った元気なアヒルだ。    一匹たったのドゥニエ硬貨2枚。小麦粉ならこ    の麻袋一杯にしとくよ。安いよ、買っとくれ」 眇の老いた農婦は 袖口と汚れたペチコートに 研すました青い匕首を隠している ア

          夏あざみの弔い  #詩のようなもの

          川柳

          二年前につくった人生初(たぶん)の川柳です。お嗤いください<(_ _)>  盂蘭盆会 与一も 茄子の馬にのり  *字足らず

          一月にみた不思議な夢(再掲)

           五日ほど前に見た夢である。今までにない形態の夢だった。  夕方か夜の暗いなか、電車で財布を置き忘れた。しかたなく銀行で預金を三万円ほどおろし、クリーム色の綿製の袋に入れておいたのだが、これも座席に置き忘れてしまった。深緑色の、京阪電車普通車両の座席のような色の上に、クリーム色の袋が三角型の形でおかれている情景が目の底に残っている。  駅に紛失を届けようと最寄りの駅で下車するのだが、路線名が分からない、また降りた駅名もプラットホームに掲出されていない。行き先の駅名は書いてあ

          一月にみた不思議な夢(再掲)

          麗子のことなど(1) -再掲-

          某氏の「玲子」という女性にまつわる連詩に触発され、同名の女性を追憶した残滓である。  大学一年生の夏、文芸部に入部した。  一ヶ月前に新築の建物に移転したものの、部屋は建材見本のように真新しいはずだった壁はすでに汚れ、黒鉛筆と赤インクで落書きされていた。かつての部室から運んだものらしい木造の傷だらけの歪んだ長机、まともに座れそうにもない椅子が散らばっていた。ページが開かれたまま、あるいは表紙がちぎり取られた雑誌が、あちこちに崩れかけた堆積になっている。まるで遺跡発掘直後の散

          麗子のことなど(1) -再掲-

          夏がくれば思い出す

           夏がくれば思い出す。夏休みの宿題の読書感想文  何を書けば善いのか未だに理解できない。  文芸評論ともまったく違い、後年、高校生読書感想文最優秀作品なんかを新聞で読んでも、『それでどうなの? その読み方、理解しかないの?』としか思わなかった。    小学生高学年では課題図書の指定がなかったので、海外SF小説を題材にした。感想は『それなりに面白かった』程度の感想しかなくて、指定原稿枚数を充たすため、やたら粗筋だけを書いた記憶がある。  最悪だったのは、中学三年生かに図書指定

          夏がくれば思い出す

          初夏ものがたり

          『人は暗いところでは天使に会わない』  山尾悠子「アンヌンツィアツィオーネ」より    山尾悠子著「初夏ものがたり」を読む。特に第一話「オリーブ・トーマス」が好みである。イラストも題名にふさわしく素晴らしい。    これは彼女の初期作品で、みずみずしく爽やかな小作品である。と同時に、現在の作品につながる特徴が既に多くあらわれている。  近年の作品のような難解めいた文体ではなく、そのためか却って第一話から深読みしすぎていた。率直に愉しめばいいのだ、と第三話あたりから気づいた。

          初夏ものがたり

          盂蘭盆会二題(その2)ーはるか地蔵盆のまえに #詩のようなものになりたかったもの

          オレが憎むのは 夜ふけに歌いだす蝉のゴスペル 蛍光灯のチック症に 蛾のフラダンス それに 汗で生乾きの肌着 奪衣婆が のぞまぬものばかり オレの生皮が重すぎて 衣領樹が 折れはてた と怒る懸衣翁の愚痴をきいても うすら笑うだけ オレの罪業のは深すぎて お釈迦さまでも閻魔さまでも 深海探査艇でも 気がつくめえ 自分では 大天使ミカエルよりも清らかだと言いふらしてるが だれ一人きく耳もってねえ お地蔵さんに ベル薔薇(新品種です)を手向けても なんにもなりゃしねえって 

          盂蘭盆会二題(その2)ーはるか地蔵盆のまえに #詩のようなものになりたかったもの

          盂蘭盆会二題(その1)ー真夏の訪れ #詩のようなもの

          群盗は 山野を侵し 径を灼き尽くし 百日紅を咲かせた それは真夏の訪れの日 乙女の長髪をみだした熱風を はこび 彼女の汗ばんだ肌色を 想いおこさせる また 凍てつく魂までも 奪いつくした すべてが熟れはてる 盂蘭盆会は まだとおい

          盂蘭盆会二題(その1)ー真夏の訪れ #詩のようなもの