三島由紀夫の恩賜の時計について
三島由紀夫は、1944(昭和19)年、学習院高等科を卒業するにあたり「恩賜の時計」を拝受した。「恩賜の時計」は、陸軍士官学校、陸軍大学校、海軍兵学校、海軍大学校、学習院等官立学校の最優秀卒業者1名乃至数名に記念品が天皇から下賜される制度あるいは慣行である(慣行と表現したのは、直接の根拠法令を知らないからである)。
彼の前半生における大きな誉れの一つであり、半自伝”的”小説「仮面の告白」のなかでも、学習院院長である海軍大将と車に同乗して宮中にお礼言上に行く場面が書かれてい