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■ 其の153 ■ 津和野

津和野城 / 森鷗外旧宅 / 安野光雅


島根県の西の端にある津和野町(つわのちょう)は、
山あいにある「ザ・日本のふるさと」のような町です。
写真の右に見えるのは、津和野高校の野球グラウンドで、その右手の山頂に津和野城跡があります。建物は残っていませんが、麓からも立派な石垣を仰ぎ見ることができます。
「自然」の山と、「人工物」の石垣の組み合せが生み出す美しさに魅了される人は多いでしょう。

高校から数百メートル先の川のそばに、明治の文豪 森鷗外(もりおうがい)の旧宅があります。そこからも見事な城跡が望めます。
鷗外が自宅から山頂の城跡を見上げていたことと、才能を開花させて世界へ羽ばたいていったことは、きっと繋がっていると思います。
鷗外は自分の五人の子供に、外国でも通用するような名前を付けました。
 於:オットー   茉莉:マリー   不律:フリッツ
 杏奴:アンヌ   類:ルイ
今から百年以上前、明治時代にこんな命名をしていたことに驚きです。

津和野といえば、もうひとり、絵本作家の安野光雅(あんのみつまさ)さんを思い出します。安野さんの作品は、景観を俯瞰して描いたような作品が印象的です。
安野さんも、子どもの頃から津和野城には登っていたはずです。きっと山城の石垣に腰掛けて町を眺めた記憶が、作品の原点になっているに違いありません。

 

ところで、何年か前、津和野城に登ったときのことです。
眼下にある津和野高校のグラウンドから、風に舞い上がってくるように野球部の声が聞こえてきました。

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