土屋信

詩作、読書、映画鑑賞 https://garnet1789.blog.fc2.com/

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最近の記事

一つの扉

薄いヴェールを透して 目覚める光 透けている葉脈 喧騒が近づき 取り巻く世界 スプーンでかき混ぜる ミルクティー 一つの扉を開ければ もう一つの扉が閉じる ダーヴィッシュをイヤフォンで 聴きながら死んで 生きて 生きて死んでを 繰り返す

    • 夢の雫

      小さな青い星の 夢の雫が落ちる 真空の闇が包む 斑らな喜怒哀楽 冷たく熱い石の夢が 揺籠を覆っている 遠目で見ればそれが全て 足跡は残るのか? ミトコンドリアイヴのように 宇宙の海図を広げて 夢の雫の探索に乗り出す ※見出し画像はネットから ペイル・ブルー・ドット

      • LEICA ⅢF Summitar 50mm かすみ草 2004年頃

        • 自壊

          宇宙から来た 石の陰影に満たされて 瞬間が崩壊してゆく  自壊の岸辺に打ち上げられる 飽和した記述 自動筆記の タイプライターが闇に鳴る オフィスと浴槽は瓦解する 岩の城の下敷きになって キリギリスの詩人は 蟻の地下要塞を無視して 暑いさなかに冬に怯えている

          風に舞う

          地球の裏側の 羽ばたき 海底のうごめき 真逆の彼方の暗示 波間の表面に 浮かぶ表情が 古代の顔を 投影して歪む 全ての形が 分からなければ 知り得ないもの 直線と思っていた地平が 回転する球を形造る 歴史の一コマは 鍵であっても 謎の一コマ

          風に舞う

          蝋燭は燃え尽き

          蝋燭は燃え尽き 底無しの夜空の星が 落ちてくる 去った歌びとが 残していった古い恋愛詩集 消え去るものを 惜しむ理由はない 滅びる文明も民族も あなた方のティータイムの 話題にもならない 滅びの種子が潜んでいる 無数の星々の中にも 終末の祈りが漂い 陰に過ぎない煌めきが瞬く ※プロフィール画像はネットから プレアデス星団(すばる)

          蝋燭は燃え尽き

          マルクス・アウレリウス・アントニヌスのダブルデナリウス銀貨。 古代ローマの銀貨はだいぶ手放したがこれだけ持ってる。ヤフーニュースで邪馬台国の新説が載ってて興味深く読んだ。同じ時代頃。古いコインは歴史を感じられて好き。

          マルクス・アウレリウス・アントニヌスのダブルデナリウス銀貨。 古代ローマの銀貨はだいぶ手放したがこれだけ持ってる。ヤフーニュースで邪馬台国の新説が載ってて興味深く読んだ。同じ時代頃。古いコインは歴史を感じられて好き。

          絵本の外に

          絵本の表紙を広げると 木陰の花に囲まれて 流れる雲を見上げる少女 携帯用の蓄音機を 鳴らす父親 古いSP盤の音 何気ないものが難しい 芝居のようには 入れ替わらない登場人物 悪役は悪役のまま 絵本作家のおばさんには 容易なこと駒のピースを 操ることは ある日駒は 絵本の外に出てみる

          絵本の外に

          インプロビゼーション

          聳え立つ 壁の至る所に貼られた 厳めしい文書の数々 上は霧に覆われ 玉蟲色の服を脱ぎ捨て 一つのメモから 他のメモへ移り行く 古びた文書の影 紫煙に包まれあらぬ言葉を 口走る 燃え広がれ 魂の松明となって 時を駆け風に乗り 焼き尽くす数々のレッテル 生まれ出てくるもの

          インプロビゼーション

          腐食の華

          抽象の虹が古代の岩石を 通り抜ける 枯れた花が甦る泥土 イドの洞あなの中からは 聞こえない音楽と 見えない踊り ひとつの滅びが 新たな甦り 見えない虹に 手を触れる天使たち 絵空事があなたの背後で 開く見えない扉

          腐食の華

          孤舟

          黒衣の魔術師が 黒いフードを目深に被り 内ポケットから 羅針盤と星座表のような物が 一緒になったボードを出して 指で操っている これは鏡だよと呟いて こちらの胸元を指差し 君の中にもある 無数の眼差しが瞠目する時を 待っている 気がつけば絶海の孤舟ではなく 見えない船団に導かれている

          音階

          ポケットの星の粒を 宙に投げる 追いかける谺 固有の響きに応じ 何処かで眠っている 卵が孵化する 数多くの雑音の中で 正しい音階を選び出す 殺戮の物語の中で 全てが死滅し 鉄の時代の血塗れの 夕日が沈んでも その極みの果てで 青褪めた曙が昇ってくる

          森開社 版 『千田光全詩集』。 小野さんから直接購入して 10年になるのか。100部限定。 旧漢字旧仮名遣いの拘り。 青空文庫にはなかったかもしれないけど、ネットにあったと思う。 ヤフーブログがあった頃、小野さんのブログ時々読んでた(螺旋の器) 今年は新年に更新してる。

          森開社 版 『千田光全詩集』。 小野さんから直接購入して 10年になるのか。100部限定。 旧漢字旧仮名遣いの拘り。 青空文庫にはなかったかもしれないけど、ネットにあったと思う。 ヤフーブログがあった頃、小野さんのブログ時々読んでた(螺旋の器) 今年は新年に更新してる。

          胎動

          無数の破片がきらきら  散らばって 光と陰の中を動いて ことばを探している かたちを求めて 砕けた母体から 放射状に彷徨い 永い瞬きの旅に出る 神話の彫像は 止まったままで 永遠のひとコマを演じ 夜の彼方の胎動に 耳澄ます子供は 白日の哄笑に目を閉じる

          アダージョ

          あなたの内側の ドアが一度も 開かれずに萎んでゆく あなたが其処を去る時 夢の中で目覚める 鏡の世界の入り口 架空の歴史も実在した 時代も入り乱れて揺れ動く 一瞬きらめく 雫の中の世界 瞠目するあなたの内なる瞳 並行世界の天秤が 瞑目するあなたに重なる 静かに流れるアダージョ

          アダージョ

          id

          井戸から抜け出すのは 難しい 這い上がる すべを知らない ヴィヨンが閉じ込められていた 牢獄のように窓もなく しかし地下水は繋がっている 未知のドアは隠されている 時が八時を打つと カードが逆さになって 意味が変わる 素直に見つめれば 何でもないことが分かる 生死の瞬間が 其処に在るだけ